アクティブラーニングのジグソー法は、教材の分け方で変わります
ジグソー法の解説では、グループの分け方と進行の手順がまず紹介されます。ただ、製品知識研修で受講者全員が説明役に回れるかどうかは、手元の資料をパート単位に切り分けられるかにも左右されるのです。
ジグソー法とは、全員が説明役に回る形式
担当を分けて、教え合う形
ジグソー法とは、一つの教材を複数のパートに分け、受講者ごとに担当を割り当てて進める形です。まず、同じパートを担当する受講者が集まり、分からない箇所を互いに補いながら内容を読み込みます。そのうえで元のグループへ戻り、担当分を他のメンバーへ説明する流れ。全員が説明を終えて初めて、グループとして教材の全体がそろいます。パズルのピースをはめていく形に近いことから、この名前が付いています。
聞き役で終わる人がいない
一般的なグループワークでは、発言する受講者が数人に絞られ、残りは聞き役のまま終わることがあります。ジグソー法が違うのは、担当パートを説明できる受講者が一人しかいない状態を、あらかじめ作っておく点だと言えます。誰かが説明を省けば、他のメンバーはその部分を知らないまま終わります。全員が説明する側に回る構造は、進行の工夫ではなく、教材の分け方にあらかじめ組み込まれているのです。
担当パートだけで説明できるか
他のパートを前提にした資料
製品資料や業務手順書は、前の章で説明した用語や前提を踏まえて次の章が書かれています。第3章だけを担当パートとして渡された受講者は、読み進める前に前提の確認から入ることになるのです。そこで手が止まれば、元のグループに戻ってからの説明までたどり着けません。パートに分けること自体は簡単でも、分けたパートが単独で学べる形になっているかは別の問題です。
分ける大きさは前提知識で変わります
分ける大きさに、内容だけを見て決められる正解はありません。配属直後の受講者には手に余る分量が、経験を重ねた受講者には物足りない分量になると言えます。細かく分けすぎると、担当分の説明が数行で終わり、教え合う場は形だけになります。大きく分けすぎれば、担当分を読み込むだけで時間切れ。他社で機能したジグソー法の進め方を、そのまま自社に持ち込みにくいのは、この分量の置きどころが受講者層ごとに違うためです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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パート単位の教材がそろわない理由
分け方を判断できるのは一部の人
資料をパート単位に切り分け、それぞれに前提の説明を補うには、学習目標の整理や、押さえるべき知識の特定といった作業が必要です。どこで切ればパートが単独で成り立つかを判断できるのは、その業務を深く知る講師や現場の中核メンバーに限られます。通常業務を抱えているため、まとまった時間を確保しにくい立場にあるのです。
改定のたびに分け直しが要ります
製品や制度が変われば、教材を差し替えるだけでは足りません。変更した内容がどのパートに関わるかを確かめ、パートの境目も引き直すことになると言えます。年に何度も改定がある領域ほど、この作業は後回しになりがちです。手を入れられないまま時間が経てば、資料を配って読んでもらう形に戻っていきます。
下書きづくりから、分け方の判断へ
切り分けの初稿をAIが用意します
資料をパート単位に分け、それぞれに必要な前提の説明を補った初稿をAIが用意すると、講師が一から書き起こす必要は薄れます。空いた時間を、分けた大きさが受講者層に合っているか、担当パートだけで説明が成り立つかという確認に充てられるようになるのです。変わるのは労力のかけどころで、専門的な判断がなくなるわけではありません。
残るのは、境目を決める判断
どこでパートを切り、どこまで前提を補うかという判断は、引き続き講師の側に残ります。初稿の内容が自社の業務と合っているかを確かめ、公開を認める工程も、これまでと変わらないと言えます。一から組み立てる場合に比べれば、着手までの負担は軽くなります。それでも、手間そのものが消えるわけではありません。
ジグソー法は、単発の企画から繰り返す運用へ
担当分の読み込みは事前学習へ
パート単位の教材がそろうと、担当分の読み込みを研修当日ではなく事前学習に置けるようになります。当日は、説明の仕方が分かれた箇所の検討や、受講者同士の質疑に時間を使いやすくなるのです。半日を確保できた回に限られていた進め方を、日々の研修に組み込みやすくなります。
見直す範囲を絞り込めます
製品や制度が変わったときも、関係するパートだけを見直せば済むようになります。全体を組み直す前提が薄れる分、ジグソー法を一度きりの企画から、年に何度も回せる形へ変えていけると言えます。受講者がどのパートでつまずいたかという学習データも残ります。ただし、そこから分かるのは、用意したパートと設問のもとでの学習の状況までです。
重要なポイント
ジグソー法の特徴は、受講者全員が担当パートを説明する側に回る点にあります。ただ、その構造が働くのは、担当パートが単独で学べ、他のパートを知らない相手にも説明できる形になっているときです。教材の分け方は、この学び方を成り立たせる条件の一つと言えます。進め方の名称を整えても、資料の章立てをそのまま割り当てたままでは、説明までたどり着けません。
見直すときに確かめておきたい点は、二つあります。一つは、手元の資料をパート単位に切り分け、それぞれに前提の説明を補えるかという点です。もう一つは、改定のたびの分け直しを、担当者が無理なく続けられるかという点。一度だけ形を整えられても、翌年も同じ形で回せるかは別の問題です。続けられる範囲で分けておくと、この進め方は定着しやすくなります。