マイクロラーニングの作り方は、分ける基準で変わります
製品知識の研修動画を5分ほどに切り分け、受講者がスマートフォンからいつでも見られる形にした企業は少なくありません。ただ、1本をどこで区切るかという基準までは、再生時間の短さだけでは決まらないのです。
1本をどこで区切り、何を組み込むか
1本の目標は一つに絞ります
マイクロラーニングは、長い教材を再生時間で切り分ける作業とは限りません。1本を独立した学習単位として組み立て、その1本で何ができるようになるかを一つに絞るところから始まります。製品知識の研修であれば、改定後の価格を説明できるか、想定される質問に答えられるか。この水準を1本ごとに決めます。そうすれば、1本の長さは結果として決まります。先に5分と決めてから中身を詰めるのとは、順序が逆になるのです。
説明で終わらせない中身
1本の中身は、短い説明だけで終わらせない組み方が基本です。要点の説明に続けて、受講者が自分の言葉で言い換える場面、二つの手順を比べて選ぶ場面。こうしたアウトプットの機会を1本ごとに置き、答えた内容に解説を返します。説明を短くしただけの教材は、受講者にとって再生して終わる時間になりがちです。配信の単位ではなく、学習の単位として1本を作ること。それがマイクロラーニングの作り方の骨格になります。
分けた後に効いてくる、間隔と順序
間隔をあけて思い出す機会
同じ内容を1回で伝え切る教材と、間隔をあけて複数回触れる教材では、受講者が思い出す回数が変わります。細かく分ける意味は、1回あたりを短くすることよりも、この思い出す機会を作れる点にあるのです。研修当日に一度説明し、その後は資料を配って終わりという流れでは、受講者が内容を引き出す場面は当日の一度きりにとどまります。
並び順で、受講者の迷いは変わります
もう一つの条件は並べる順序ですが、区切り方を決めた時点で、並べ方まで決まるわけではありません。1本ずつが独立していても、業務の手順から離れた並びになっていると、受講者は自分がいまどの段階にいるのかをつかみにくくなります。新入社員研修であれば、初回訪問の準備、商談での説明、社内への報告といった実務の流れに沿って並べることで、次に何を学ぶかを受講者が自分で判断しやすくなると言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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本数が増えるほど重くなる設計の工数
1本ごとに増える設計の判断
1本ごとに目標を定め、アウトプットの場面を用意する作り方では、本数の分だけ設計の判断が生じます。20本のマイクロラーニングを用意するなら、判断も20回。研修講師の多くは、登壇や受講者へのフォローも兼任しており、この作業にまとまった時間を確保しにくい立場にあります。
改定のたびに探す対象が増えます
制度や製品が改定されると、影響を受ける1本を探して直す作業が発生します。細かく分けたぶん、対象を特定する手間も増えるのです。手を入れられないまま時間が経てば、最初に作った数本だけが残り、内容は古いまま配信され続けます。
一から組み立てる作業から、区切りを決める作業へ
区切りの案づくりはAIが担います
既存の製品資料や業務マニュアルを内容のまとまりごとに区切り、1本分の初稿を起こすところまでは、AIが引き受けやすい準備作業です。講師が一から書き起こさなくても、区切りの案と説明の下書きがそろった状態から検討を始められます。ここで軽くなるのは、着手までの工数。区切り方が学習目標に合っているかを判断し、公開を認める工程は、引き続き講師の側に残ります。
講師に残る、判断と確認の工程
段階を踏んだ並べ方についても、同じように案を用意できます。前提知識の少ない受講者に向けて、どの内容を先に置き、どこで説明を補うか。この案を資料から用意できれば、講師は20本分の並びを見渡しながら、実務の流れに合っているかを確かめる作業に時間を回せるのです。並びを最終的に決めるのは、業務を知っている人の判断です。
作り切る形から、並べ替えられる形へ
並びは後から組み替えられます
作り方の重心が、一度に全部そろえることから、並べながら整えることに移ります。受講後の様子を見て、順序を入れ替える、間隔を広げる、1本を二つに割るといった手直しを、そのつど加えやすくなるのです。マイクロラーニングを、公開した時点で完成する教材ではなく、運用しながら形を整えていく教材として扱えるようになります。
改定は1本単位の手直しへ
制度や製品が変わったときも、該当する1本を手直しする形に近づきます。関係する内容を探す作業は残りますが、全体を組み立て直す場合に比べれば、着手までの負担は軽くなると言えます。マイクロラーニングの作り方を、一度きりの企画から、改定に合わせて続けられる運用へと組み立て直せるようになります。
重要なポイント
マイクロラーニングの作り方を左右するのは、1本の長さだけではありません。1本で何ができるようになるかを先に定め、そこから区切りと中身を決めていきます。この順序を踏んでいるかどうかが、短いだけの教材との分かれ目の一つと言えます。長さをそろえても、答える場面がなければ、受講者には再生して終わる時間が並ぶだけになります。
見直すときの判断材料になるのは、1本ごとに受講者が答える場面を置けているか、そして改定のたびの手直しを続けられる作り方になっているか、この二つです。初回に何本そろえられたかよりも、翌年も同じ形で回せるかどうかが問われます。無理なく更新を続けられる範囲から始めると、形は残りやすくなるのです。