eラーニングのアクティブラーニングは、一人でも成り立ちます
新入社員研修をeラーニングに切り替えた企業では、受講率も修了率も上がり、報告に残るのは動画を見終えた記録です。ただ、アクティブラーニングを一人で進む学習に持ち込めないわけではありません。
アクティブラーニングは、何を求める学び方か
聞くだけで終わらせない学び方
アクティブラーニングとは、受講者が説明を受け取るだけでなく、自分の言葉で言い換え、選択肢を比べ、判断を示す場面を組み込んだ学び方です。集合研修では、グループワークやケーススタディがその形にあたります。eラーニングでも、設問に答える、手順を自分の言葉で説明する、時間をおいてもう一度思い出すという形で、同じ性質の場面を置けるのです。求めているのは形式の名称ではなく、受け取った内容を受講者自身が処理して外に出すことです。
全員に回っているかどうか
目安になるのは、答える場面が受講者全員に回っているかという点です。集合研修では、進行役が一人ずつ指名して答えを聞くため、発言した受講者と、聞くだけの受講者に分かれます。一人で画面に向かうeラーニングでは、この偏りは起きにくいと言えます。一方で、答える場面をコンテンツの側に用意していなければ、誰も答えないまま最後まで進みます。全員が一度は自分の言葉で答える作りになっているか。コースの名称だけでは判断できない中身の違いは、この一点に表れます。
答える場面だけでは足りない理由
反応が返って、理解は直ります
設問を置けば答える場面はできますが、それだけで理解が直るわけではありません。正誤だけを示して次へ進む作りでは、なぜその答えになるのかが分からないまま先に進みます。答えた直後に、どこで解釈がずれたのかが返ってくると、受講者は自分の理解を組み直せるのです。集合研修で講師が担っていたのは、この返す役割です。答える場面と、返ってくる反応。両方がそろって初めて、聞くだけの学習との違いが出ます。
間隔をおいた、二度目の確認
もう一つの条件は、時間をおいて同じ内容をもう一度確かめることです。受講中に一度答えたきりでは、数週間後の実務の場面で引き出せるとは限りません。受講の途中で一度、期間をおいてもう一度。読み返すだけの復習より、自分で思い出す作業をはさむほうが記憶に残りやすいと言われています。答える場面をこう分けて置けば、受講者は忘れかけた内容を自分で呼び戻す経験を重ねられます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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答える場面を置けるのは一部のコース
反応まで書けるのは、業務を知る人
答える場面を置くには、設問だけでなく、答えに対して返す説明も用意します。どこで解釈がずれやすいか、例外的な取り扱いはどうなっているか。これを書けるのは、その業務を日々担当している講師や現場の中核メンバーです。通常業務を抱えているため、まとまった時間を確保しにくい立場にあります。
対象と改定の数だけ準備が増えます
eラーニングは全社に配れる一方、制度や製品が変わるたびに、設問と説明も見直しの対象になります。部署や役割ごとに調整すれば、その分だけ準備が増えます。結果として、答える場面を組み込めるのは重点コースに限られ、残りは見るだけ、読むだけの教材として置かれたままになるのです。
一から書き起こさずに用意できる条件へ
AIが引き受ける下ごしらえ
答える場面を用意する作業のうち、資料の読み解き、設問の下書き、返す説明の初稿づくりは、AIが引き受けられる部分です。業務を知る人がすべてを書き起こす工程が減れば、その時間を、扱う範囲の見極めや、想定した状況が実務と合っているかの点検に回せるのです。変わるのは労力のかけどころであり、専門的な責任そのものではありません。内容を確かめ、公開してよいと判断する工程は、引き続き人の側に残ります。
重点コース以外にも広げられます
負担の下がり方は、対象の広さにも効いてきます。一部の重点コースにとどまっていた双方向の設計を、部署や役割の違いに合わせて別のコースにも用意しやすくなります。制度や製品が改定されたときの手直しも、まるごと作り直す前提ではなくなると言えます。ただし、どこを直すか探す手間や、直した内容を確かめる手間は残ります。
eラーニングは、見て終わる学びから答える学びへ
講師の手を待たない確認
見るだけ、読むだけで進んでいたコースの途中に、答えて反応が返る場面が入ります。受講者は講師の手が空くのを待たずに、自分の理解がどこでずれていたかを、その場で確かめられるのです。まとまった時間を用意しなくても、移動中や商談の合間の短い対話として続けられます。
研修部門が見える範囲も広がります
受講した数週間後に、同じ内容をもう一度確かめる場面も置きやすくなります。研修部門の側が見えるのは、修了の記録だけではありません。どの内容で理解のずれが起きやすいか。答えの中身からも、その手がかりを得られます。ただし、そこから分かるのは用意した場面と設問のもとでの学習の状況までであり、現場で使えるようになったかどうかは別に確かめる必要があります。
重要なポイント
アクティブラーニングは、グループや教え合いのように、学ぶ相手がいて初めて成り立つ学び方だと見られがちです。ただ、受講者の理解を動かしているのは、自分の答えを出し、それに反応が返り、理解を組み直すという流れです。eラーニングでも、この流れをコンテンツの側に持たせられるかが、成立を左右する条件の一つと言えます。
eラーニングの進め方を見直す際には、二つの観点が手がかりになります。一つは、受講者が答えたあとに反応が返る作りになっているか。もう一つは、その用意と手直しを、研修部門が無理なく続けられる範囲に収まっているかという点です。前者だけを整えても、翌年度に同じ形で回せるとは限りません。