アクティブラーニングのサービスでも、判断は社内に残ります
アクティブラーニングを取り入れる際、外部のサービスに任せる場面が出てきます。同じサービスという言葉でも、任せられる範囲には幅があります。その違いは、社内に何が残るかの違いでもあるのです。
任せる範囲で分かれる、三つの形
運営、題材、仕組みの三つ
アクティブラーニングのサービスは、任せる範囲でおおよそ三つに分かれます。登壇や進行そのものを引き受けてもらう形、演習の題材や教材の用意を引き受けてもらう形、そして進め方を支える仕組みや道具を借りる形の三つです。研修の一日をまるごと外部の講師に委ねるのか、当日使う教材だけを頼むのか、あるいは進行のための道具だけを借りるのか。呼び名は同じでも、社外に出る作業の量と種類は大きく変わってきます。
三つは、置き換えの関係ではありません
この三つは、どれか一つを選べば残りが不要になるという関係にはありません。進行だけを外部に頼み、題材は社内で用意することもあります。教材の一部を外注しつつ、当日の進行は自社の講師が担う企業もあるのです。そのため、どのサービスを使うかという問いよりも、どの作業をどこまで外に出すかという問いのほうが、実務の判断には近いものになります。
外に出せる作業と、社内に残る判断
形が違っても、決めるのは社内です
進行を任せた場合でも、その回で受講者に何をできるようになってほしいのかを決めるのは、社内の講師です。題材の用意を任せた場合でも、その題材が自社の業務に届いているかどうかは、社内で判断することになります。では、仕組みや道具だけを借りた場合はどうか。どの回にどの進め方を置くかという設計は、やはり手元に残ります。任せる範囲が違っても、判断そのものまでは社外へ移らないのです。
変わるのは、残る場所のほう
三つの形の違いは、社内の仕事がどれだけ減るかの違いではありません。変わるのは、判断が残る場所のほうです。当日の進行から題材の吟味へ、あるいは研修全体の設計へ。仕事の重心が移っていくと考えたほうが、実態に近いと言えます。だからこそ、サービスを比べる前に確かめておきたいのは、自社で持ち続けると決めた判断が何かという点になります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
言葉になっていない、社内の基準
一人で担うまま、依頼を検討します
企業内の研修講師は、年間計画の作成から当日の登壇までを一人で担うことが少なくありません。年度の切り替わり、期末の繁忙期。外部への依頼を検討する時期は、そうした山と重なりがちです。依頼の中身をどこまで詰めるかを考える時間を、まとまった形で確保できないまま話が進みます。
印象より先に進まない評価
その回で受講者に何をできるようになってほしいのかが文書として残っていないと、提案や納品物を受け取っても、印象より先に進んだ評価ができません。直してほしい箇所を伝えようとしても、どこがどう足りないのかを言葉にしにくくなります。判断の基準は社内にあるはずなのに、取り出せる形になっていないのです。
言葉で詰める要件から、案を見る段階へ
白紙から書き起こさない要件
AIを使うと、手元にある製品資料や業務手順書をもとに、演習の題材の案をいくつか形にできます。白紙に向かって要件を文章にする作業から始めなくても、案を並べて見比べられるようになりました。もっとも、どの案が自社の業務に届いているかを読むのは、これまでどおり社内の講師なのです。変わったのは、考える材料が最初から目の前にあるという点です。
検討を始める時期が動きます
案を見ながら考えられるようになると、社内で決めておくべきことに取りかかる時期が変わります。検討の起点は、成果物を受け取った後から、依頼を出す前へ。案が自社の実務に合っているかを読む手間は残りますが、白紙から言葉を組み立てる負担は軽くなります。負担そのものが消えるのではなく、かかる場所が前に動くと言えます。
依頼の中身が、成果物から達成水準へ
渡す資料に入る、達成の水準
外部に任せる際、コースの長さや実施回数だけでなく、その回の終わりに受講者が何をできていればよいのかを、あらかじめ示せるようになります。運営を任せる場合も、題材の用意を任せる場合も、示す中身そのものは変わりません。渡す資料に達成水準が入っていれば、受け手の側も、どこに合わせて用意すればよいかを読み取れるのです。
同じ基準で、返ってきた案を読めます
提案や納品物を受け取ったとき、社内で決めた水準に照らして読めます。良さそうかどうかという印象ではなく、どの部分が足りないのかを具体的に伝えられます。アクティブラーニングのサービスを複数比べる場面でも、同じ基準をそのまま当てられると言えます。
重要なポイント
アクティブラーニングのサービスは、任せる範囲によって性質が分かれます。ただ、どの形を選んでも、社内に残る仕事がなくなるわけではありません。変わるのは、その仕事が残る場所のほうなのです。サービスを比べる前に、自社で持ち続けると決めた判断を、先にはっきりさせておきたいところです。
持ち続けると決めた判断が言葉になっていれば、返ってきた案を同じ基準で読み直せます。決まらないまま外に出すと、受け取った側に評価の物差しが残りません。依頼書に、その回の達成水準まで書き込めるかどうか。社内の準備がどこまでそろっているかを測る、分かりやすい目安になります。