eラーニングでアクティブラーニングを成り立たせるには
新人向けの製品知識研修をeラーニングに移し、アクティブラーニングを取り入れたつもりでも、受講者は動画を再生し終えるだけで終わることがあります。ただ、見直す起点は配信の形式ではなく、教材の中身の側にもあるのです。
eラーニングで、受講者に何を求めるか
求めるのは、アウトプット
アクティブラーニングとは、受講者が説明を聞くだけでなく、自分の言葉で言い換え、条件を比べて選び、判断を示す場面を含む学び方です。集合研修であれば、グループワークやケーススタディがその場面にあたります。eラーニングには、その場で受講者を指名する進行役がいないのです。受講者にアウトプットを求める場面は、教材そのものに置いておくことになります。
場面が最後の一点に集まる
判断の目安になるのは、その場面が教材のどこに、どれだけ置かれているかという点です。動画を3本見てから、最後に10問のテストを解く形では、受講者が答えるのは学習の最後の一点だけになります。残りの時間は、説明を受け取るだけで過ぎていくと言えます。説明を読んでいる途中に、自分の言葉で言い直したり、二つの条件を比べて選んだりする場面があるか。そこを確かめると、形式の名前だけでは見えない差が見えてきます。
理解のずれが見えるのは、返ってきた後
出しただけでは気づけません
受講者は、自分の理解がどこでずれているかを、自分では見つけにくいものです。読み返して分かったつもりでいた箇所ほど、いざ言葉にしようとすると手が止まります。答えを出した直後に、その答えに向けた情報が返ってきて初めて、どこを取り違えていたかが本人に見えてきます。答える場面を置くだけで返る内容を用意しないままでは、受講者は自分の答えを確かめられないまま次の項目へ進んでいくのです。
前提知識で変わる、返すべき内容
返す内容も、全員に同じものを用意すれば足りるわけではありません。同じ選択肢を選んだ受講者でも、配属直後の社員と経験を重ねた社員とでは、次に確かめるべき箇所が違います。集合研修であれば、講師が受講者の様子を見ながらその場で説明を選び直せます。eラーニングでは、受講者は一人で画面に向かって進みます。誰がどこでつまずくかを、教材を作る段階で想定しておくことになります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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eラーニングが動画と確認テストに落ち着く理由
作り込めるのは、業務を知る人
答える場面と、そこに返す内容の両方を教材に組み込むには、学習目標の整理と、業務そのものの理解が欠かせません。この作業を担えるのは、講師や現場の中核メンバーに限られると言えます。企業では、コース設計から講義、実施後のフォローまでを一人が受け持つことも少なくありません。まとまった時間を確保しにくい立場にあります。
改定のたびに、両方を作り直す
製品や制度が変われば、答える場面も、返す内容も見直しの対象になります。年に何度も改定がある領域では、この作業は後回しになりがちです。手を入れられないまま時間が経てば、動画を差し替えて確認テストを付け直す形へ戻っていくのです。
講師の時間は、書き起こしから確認へ
場面の下書きを、資料から作る
既存のマニュアルや製品資料から、答えてもらう場面と、返す内容の下書きを組み立てる作業は、AIが引き受けられる部分です。講師が一から書き起こす必要は薄れます。空いた時間を、想定した場面が実務に合っているか、返す内容が自社の運用と食い違っていないかという確認に充てられるようになるのです。内容を確かめて公開を認める工程は、これまでどおり講師の側に残ります。
順番を待たない、答えの機会
講師が一人ずつ相手をしなくても、受講者は自分の答えに応じたやり取りを重ねながら進められるようになります。準備にかかる負担が軽くなる分、答える場面を学習の流れの各所に置きやすくなると言えます。ただし、どこまで踏み込んだ内容を返すか、その内容が自社の実態と合っているかを見極める判断は、引き続き講師の手元にあります。
eラーニングは、再生から応答へ
答えながら進む受講の形へ
受講者は、説明を読んだり動画を見たりする途中で自分の答えを出し、返ってきた内容で理解を組み立て直しながら先へ進みます。再生し終えることが学習の区切りだった状態から、答える場面が学習の流れの中に入る形へ変わります。進む速さが一人ひとり違っても、答える機会そのものは全員の流れに組み込まれます。
発言の偏りが小さくなります
集合研修では、答える順番が回るのは手を挙げた数人に絞られがちで、残りの受講者は聞く側に固定されていきます。eラーニングであれば、同じ場面が受講者全員の画面に現れるため、答える回数の差は小さくなるのです。ただし、そこから分かるのは、用意した場面と設問のもとでの学習の状況までです。
重要なポイント
eラーニングがアクティブラーニングとして成り立つかどうかは、対面かオンラインかという配信の形式だけで分かれるものではありません。受講者が答える場面と、その答えに向けて返る内容が、教材の側に組み込まれているか。それも、この学び方を支える条件の一つです。配信の形を変えただけでは、受講者が経験する中身までは変わりにくいものです。
進め方を見直すときに確かめたい点は、二つあります。一つは、受講者全員が答える場面を、教材の中に置けているかという点です。もう一つは、その場面と返す内容を、改定のたびに用意し直せるかという点です。単発で形を整えられても、翌年も同じ形で回せるかどうかは別の問題なのです。