研修5カ月間で累計1,400時間の工数削減と顧客接点数135%増を両立。パーソルキャリアが踏み出した「教えない育成」への転換

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doda事業本部 dodaエージェント事業部 組織開発統括部 CA育成部

渡邊 佳奈子 さん

企業概要

項目 内容
社名 パーソルキャリア株式会社
業種 人材サービス業
従業員数 6,721名(有期社員含む グループ会社出向中の者は除く 2026年3月1日時点)
ホームページ https://www.persol-career.co.jp/

 

Performance Learning Award 2025 受賞企業

本事例のパーソルキャリア株式会社は、ユームテクノロジージャパンが主催する「Performance Learning Award 2025」の受賞企業です。同アワードは、学習を企業の業績や経営インパクトに直結させた革新的な取り組みを表彰するものです。パーソルキャリア株式会社は、AIと人の役割を再定義し、1,400時間の工数削減と新入社員の生産性向上を同時実現した点が評価され、2025年度の受賞企業として選出されました。

 

Key Takeaways

  • 課題:手厚い人的フォローが逆に新入社員の「受け身」姿勢を助長し、トレーナーの手が離れた直後に成長が鈍化する課題が発生していた。
  • 解決策:AI活用学習プラットフォーム「UMU」を導入し、知識習得や基礎訓練をAIへ完全移管。「教える」から「問いかける」へ指導方針を転換した。
  • 成果:育成工数を累計1,400時間削減しつつ、新入社員の顧客接点数は昨対比135%、生産性は107%に向上。効率化と売上貢献を両立した。

1. 導入のきっかけ・背景

育成を手厚くするほど「育たない」。大規模オンボーディングが陥ったパラドックス

 

── まず、従来の育成体制における課題感についてお聞かせください。手厚い体制を敷かれていたそうですが、どのような問題が生じていたのでしょうか。

 

渡邊さん:私たちが所属するdodaエージェント事業部のCA育成部では、例年50名から100名近い新入社員を受け入れ、約5カ月間にわたる長期的なオンボーディングを実施しています。専任のトレーナー約7名を配置し、座学から現場配属後のOJTまで、非常に密度の高い支援を行ってきました。しかし、この「手厚さ」こそが、解決すべき最大の課題を生んでいたのです。

 

これだけ手をかけ、時間を費やしているにもかかわらず、データを見ると、トレーナーの手が離れた直後に新入社員の成長カーブが鈍化する傾向が顕著に表れていました。私たちはこの事象を深く分析しました。その結果、トレーナーが懇切丁寧に「答え」や「やり方」を教えすぎるあまり、新入社員が「教えてもらうこと」に慣れてしまい、自ら考え、行動する力が育まれていないという仮説に至りました。また、大規模な人数を少数のトレーナーで育成するため、指導がどうしても画一的な「How(やり方)」の伝達に偏らざるをえず、一人ひとりの思考力を深めるような関わりが物理的に不可能だったという構造的な限界もありました。コストをかけて育成しても、現場で自走できない人材を輩出してしまう。この悪循環を断ち切ることが急務だったのです。

 

2. 選定理由・決め手

脱・属人化への決断。「基礎はAI、応用は人」を実現できるUMUの実装力

 

── そのような背景で、AI活用学習プラットフォーム「UMU」と「AIChatbot」を導入されましたが、数あるツールの中で、なぜUMUを選定し、どのような役割を持たせようと考えたのでしょうか。

 

渡邊さん:私たちが目指したのは、単なるツールの導入ではなく、「すべて人がやる」という従来の育成モデルの破壊と再構築です。「自ら考え、行動する人材」を育てるためには、トレーナーが手取り足取り教える時間を減らし、新入社員が自ら情報を取りに行き、自ら練習する環境を作らなければなりません。UMUは、この環境構築に最適な機能セットを持っていました。

 

具体的には、「知識のインプット」と「基礎スキルの反復練習」をAIとシステムに完全に委譲できる点が決め手となりました。例えば、これまでトレーナーが長時間かけて行っていた講義は動画コンテンツ化し、UMU上でいつでも視聴・テストができるようにする。また、基本的なロールプレイングも対人で行う前に、UMUの「AIエクササイズ」を活用して一人で何度も練習し、フィードバックを受けられるようにする。UMUを活用すれば、「調べればわかること」「練習すればできること」にトレーナーの貴重な工数を割く必要がなくなります。創出された時間で、人は「問いかけ」や「応用的な指導」といった、人間にしかできない高付加価値な業務に集中できる。この明確な役割分担を実現できるプラットフォームとして、UMUが最も適していると判断しました。

 

3. 具体的な工夫

 

まずはスキルの言語化を進めました。

 

 

その後、適切な機能を活用しました。

 

 

AIロープレを単体で提供するのではなく、対人ロープレと組み合わせて提供

 

 

受講生側のマインドセットも実施しました

 

 

4. 導入後の効果・成果

工数1,400時間削減は序章に過ぎない。新入社員の行動量が135%に急増した理由

 

── AIと人の役割分担を明確にした結果、どのような定量的・定性的な成果が得られましたか。

 

渡邊さん:成果は、私たちの予想を上回るものでした。まず経営的なインパクトとして大きかったのは、育成工数の大幅な削減です。講義の8割を動画化し、Q&A対応や基礎ロールプレイングをAIに任せたことで、トレーナーの業務時間は1人あたり月間40時間、期間累計で実に1,400時間もの工数削減を実現しました。これは単なるコスト削減にとどまらず、今後採用人数が増加しても、現状の人員体制で高品質な育成を維持できる「スケーラビリティ」を獲得したことを意味します。

 

さらに特筆すべきは、効率化と同時に「新入社員の生産性」が大幅に向上した点です。新入社員が「わからないことはまずAIに聞く」「AI相手に納得いくまで練習する」という行動様式を身につけたことで、行動量が飛躍的に増えました。実際の面談実施数などの行動量は昨対比135%、生産性も107%向上しています。「手を離すと育たない」という従来の常識を覆し、「手を離し、AIに任せたからこそ、即戦力化が加速した」という事実は、私たちにとって大きな自信となりました。

 

5. 今後の展望・ビジョン

人とAIが互いに高め合う組織へ。パーソルキャリアが描く次世代のラーニングデザイン

 

── 今後はこの成功モデルをどのように発展させていく予定でしょうか。

 

渡邊さん:今回の取り組みで、オンボーディング期間における「自律型人材」の育成モデルは確立できました。次は、この仕組みを配属後の「日常業務」や「継続的な成長支援」にも拡張していきたいと考えています。具体的には、日々の業務指導や1on1ミーティングのプロセスにAIを組み込む構想を進めています。これまでは、業務上の課題特定から解決策の立案まで、すべて上司やトレーナーが対話の中で行っていました。今後は、まず本人がAIを相手に壁打ちを行って現状を整理し、課題の仮説を立てた状態で1on1に臨むフローに変えていく方針です。

 

すでにAIプロンプトの開発とトライアルを開始しており、1on1の質が向上する手応えを感じています。「育成部の預かり期間が終われば終わり」ではなく、現場に出た後もAIが良き伴走者となり、自らPDCAを回して成長し続ける。そんな学習と業務が一体化した組織文化を、UMUとともに作り上げていきたいと思います。

 

 


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