営業ロープレのやり方に、見る側の段取りを組み込んでいますか
営業ロープレのやり方を三人一組で組むと、一人が話している間、残りの二人は見ている時間を過ごします。全体で順番に回す形なら、参加者一人ひとりにとって、その日の大半は他の人の回を見ている時間です。ところが事前に決められているのは、話す側の段取りだけなのです。
見ている時間に、何が起きているのか
自分の回のことしか出てこない
ロープレが終わったあとに感想を求めると、返ってくるのは自分が話した回の話ばかりです。うまく切り返せなかった場面、言い直したかった一言。どれも自分の番の記憶であり、直前まで見ていたはずの他の人の回には、ほとんど触れられません。見ていた人へ気づいたことを尋ねても、特にありません、という返事で止まることがあります。研修を設計する側から見ると、この偏りは不思議に映ります。同じ場面を扱い、同じ時間だけその場にいたのに、見ていた側からは具体的な話がほとんど出てこないからです。実際、他の人が話している間に、配布資料へ視線を落とす人もいます。手が空いているので、次の自分の番に備えて手元を確認しておこうとするのは自然な動きです。ただ、そうなるのは本人の集中力の問題ではありません。見ている時間に何をするのかが、どこにも決められていないからです。営業ロープレのやり方を書き出してみると、場面の設定も持ち時間も進め方も、決まっているのは話す側についてだけです。見ている側については、順番が来るまでその場にいること以外、用意されていません。そのため、見ている時間は待つための時間に変わります。
見ている時間のほうが長い
三人一組で回せば、一人が話す回は三回のうち一回です。残りの二回は、見ている時間になります。参加人数を増やして全体で順番に回す形にすると、この比率はさらに開きます。つまり参加者にとって、ロープレの大部分は見ている時間なのです。設計の対象になっていない時間のほうが、実際には長く場を占めていると言えます。
見ている時間を設計するには
見ている時間が自分の番につながるのは、見る前に一つだけ決めておいたときです。自分なら、この場面のどこで詰まるか。その一点を決めてから他の人の回を見ると、同じやり取りでも自分の順番の準備として受け取れます。何も決めずに見ると、他の人の出来事として通り過ぎていきます。決めるのは一つで足ります。増やすほど、見ることそのものが確認作業に変わってしまいます。
見ている時間がうまく使えていないことは、その場では表に出ません。見ている側は発言する立場になく、困っている様子も見えないからです。進行そのものは滞りなく流れるため、運営を担う側には順調に映ります。うまくいっていない部分が誰の口からも出てこないので、次回の組み立てを見直す手がかりも生まれにくくなります。
では、見る前の一点を毎回どうやって渡すのか。口頭で伝えるだけでは、人数が増えるほど行き渡りません。回ごとに扱う場面が変われば、見るときの観点も変わります。練習に使う道具の側で、その観点をあらかじめ用意して配れるかどうかが、次の分かれ目になります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
見て決めた一点を、その場で試せます
順番を待たない練習
AIが相手役を担うため、他の人の回が終わるのを待たずに始められます。見ながら決めた一点を、記憶が新しいうちにそのまま自分の番で試せます。参加人数が増えても、練習の開始が後ろにずれにくくなります。見る側と話す側を、その日のうちに何度でも往復できるようになります。
言わなかった課題も、記録から見つかります
詰まった箇所が残る
練習ごとに、どの段階で詰まったのかが項目別に残ります。その場で声を上げなかった人の課題も、あとから記録をたどれば分かります。見ている時間に決めた一点を、自分の回で確かめた結果として振り返れます。誰がどこに手が届かなかったのかが並ぶため、次に配る観点も選びやすくなります。
見るときの手がかりを、運営側から渡せます
観点を決められる設定
場面ごとに、どの段階を重く見るかを設定できます。そこで決めた観点は、見る側に渡す一点としてそのまま使えます。設定した内容は次の回にも引き継げるため、回ごとに伝え方が変わりにくくなります。渡す一点を選ぶのは、研修を設計する側の判断です。AIが引き受けるのは、その一点を毎回同じ形で確かめられる場までなのです。
順番を待つ人が出ない形にした例
ワクチンの製薬企業
ワクチン領域を中心に事業を進めるバイオ医薬品の企業では、地域ごとの販売代理店が営業の担い手になっていました。本部の側で用意できるのは研修資料までで、対象者の数を考えると、指導役を一人ずつ付ける形は取れませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
UMU AIロープレを活用し、自社で採用した営業担当者も、代理店側の担い手も、訪問シナリオライブラリを共通で使って練習できる体制を整えました。全員が同じ基準で練習に入れるため、指導役の空きに合わせて順番を待つ人が出ない形にしています。
このページでは、この取り組みで公表されている数字は取り上げず、進め方の部分だけを紹介しています。
通信キャリア系の店舗
通信キャリア系の店舗を各地で展開する企業では、新人スタッフが早く現場で働ける状態になることが急務でした。あわせて、コンプライアンスに関わる事故が店舗で増えており、接客の力と並べて教育を強める必要がありました(出典:導入企業へのヒアリング)。
UMU AIロープレを活用し、接客の練習とコンプライアンスの内容を一つのシナリオにまとめた対話練習を導入しました。練習の開始が指導の場に左右されないため、こちらでも順番を待つ人が出ない形にしています。
こちらの取り組みについても、公開されている成果の数字はこのページに載せず、組み立て方に絞ってお伝えしています。