マイクロラーニング導入事例に書かれない、更新の担い手
マイクロラーニング導入事例では、1本あたりの分け方や、スマートフォンで見られる配信の形が中心に紹介されます。ただ、導入から半年後も更新が続いたのかどうかは、その形からは読み取れません。
導入事例に並ぶのは、仕組みの説明
事例は配信の設計から始まります
マイクロラーニングの導入事例は、まず1本あたりの構成から説明が始まります。1回に扱う内容の絞り方、業務の合間でも見終えられる長さ、スマートフォンからの見やすさ。この分け方と視聴の形が、記事の前半を占めます。営業部門の製品知識であれば1製品ごと、製造現場の作業手順であれば1工程ごとと、扱う業務に合わせた区切りの基準も示されます。もっとも具体的に書かれているのはこの部分で、読み手も自社の形を思い描きやすくなると言えます。
もう半分は、展開の段取り
後半に並ぶのは、社内へ広げるときの段取りです。どの部署から始めたか、既存の集合研修とどう組み合わせたか、いつ対象を広げたか。対象と時期の決め方までは、たいてい記録に残ります。受講の呼びかけを誰が行ったか、視聴の状況をどこで確認したかまで書かれている事例もあります。ここまでが、導入事例が伝えられる範囲なのです。つまり事例が示しているのは、始めるときに何をどう決めたかという仕組みの側です。
導入の後に、手を入れ続ける工程
業務が変わると、直す先は1本ずつ
1本あたりを短くまとめる設計は、扱う内容を業務の1つの手順に寄せることでもあります。手順が変われば、直す先はその手順を扱った回に絞られます。裏を返せば、制度や手順が1つ変わるたびに、どの回に手を入れるかを1本ずつ確かめる作業が生まれるのです。まとめて差し替えられる長い教材とは、手を入れる単位が違います。分けた本数は、そのまま見直しの対象の数にもなります。
部署ごとに分かれる更新の対象
導入事例の後半で紹介される展開の段取りも、同じ形で後に残ります。部署ごとに配る内容を分けていれば、業務が変わったときに直す対象も部署ごとに分かれます。拠点の数、職種の数、そして扱う業務の幅。そのぶんだけ、確かめる範囲は広がっていきます。導入時はまとめて組み立てた作業でも、その後の手直しは、変更が起きた部署から順に、ばらばらの時期にやってきます。事例の記事が終わるのは、社内へ公開した時点。社内の作業は、そこから続いていくと言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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作った人に、そのまま集まる手直し
合間に回す、本数分の手直し
企業内研修講師が、コース設計から講義、公開後のフォローまでを一人で兼ねている職場は少なくありません。マイクロラーニングを導入した後も、手直しは通常業務の合間に回すことになります。次の研修の準備と重なれば、本数が増えるほど、手をつけられない回が残っていくのです。
どこを直すかを決める時間
重いのは、書き直しそのものだけではありません。制度や手順が変わったときに、どの回のどの説明が該当するのかを探し当てる工程。ここにも、まとまった時間がかかります。公開から時間がたてば、内容を思い出すところから始める回も出てきます。1本ずつ確かめていくため、変更のたびに全部を見直す運用は続きにくくなると言えます。
書き直しから、直す箇所の判断へ
更新された文書から起こす初稿
制度や手順の文書が新しくなったとき、その内容をもとに、該当する回の初稿をAIが組み立てられるようになりました。講師が一から書き起こしていた工程は、出てきた内容を読んで整える工程に変わります。白紙から文章を作る時間が短くなるため、更新の着手が後ろに延びにくくなるのです。1本ずつ思い出しながら書き直していた負担は、この分だけ軽くなります。
範囲を確かめる工程は残ります
ただし、どの回にどこまで反映するかを決めるのは、引き続き講師の仕事です。業務の例外や部署ごとの運用の違いを知っているのは、その業務を日々担当している人だからです。範囲を確かめ、表現を整え、公開してよいかを判断する工程。初稿が出てくるようになっても、この部分は残ります。専門的な責任がなくなるわけではありません。変わるのは、時間をどこにかけるかという配分だと言えます。
導入時の形から、直し続ける運用へ
自社の更新頻度に合わせた分け方
導入事例に載っていた分け方を、そのまま持ち込む必要はありません。変更の多い手順は細かく分割した単位にまとめ、当面変わらない基礎知識は1つの回に集めます。更新の起こりやすさを基準に、分け方を決められるようになるのです。事例の形をなぞるところから、自社の業務に合わせて組み替えるところへ、判断の起点が移ります。
見直しは差し替えから始まります
制度が変わった後の進め方も、これまでとは違ってきます。該当する回を探し、初稿を起こし、内容を確かめて差し替えるという流れ。ここまでが一続きになれば、半年後の見直しがコース全体の作り直しにならずに済みます。探す工程と確かめる工程は残りますが、更新を後回しにする理由は少なくなっていきます。
重要なポイント
マイクロラーニングの導入事例が伝えているのは、始めるときに何をどう決めたかという仕組みの側です。1本の長さ、分け方、配る対象と時期。その形は参考になりますが、半年後も更新が続いたのかどうかは、同じ記述からは読み取れません。続いた取り組みと止まった取り組みを分けた条件は、公開後に誰が手を入れ続けたかという体制の側にもあります。
事例を自社の判断材料にするなら、形式の説明だけでなく、制作と更新を誰が担ったのかを探して読みます。専任の担当者を置いたのか、講師が兼任していたのか。記事に書かれていなければ、そこが確かめるべき点として残ります。自社の状況と近いかどうかも、同じ形を持ち込めるかを見立てる材料の一つです。