インタラクティブeラーニングは、答える場面から作れます
新人向けの製品研修を動画に差し替えたあと、講師を兼ねる現場の担当者から、次は双方向にしたいという声が上がります。ただ、分岐や画面の作り分けを思い浮かべた時点で、制作の負担を理由に検討が止まりがちです。
インタラクティブeラーニングとは何か
押す回数では増えない、考える機会
eラーニングにおける双方向とは、画面を操作する回数のことではありません。次へ進むボタンや動画の再生を増やしても、受講者が考える回数は変わらないままです。違いが出るのは、受講者が自分の側から何かを出す箇所が、教材の中に置かれているかどうかです。選択肢を選んで理由を書く、手順を自分の言葉で説明する、判断の根拠を残す。こうした出力が挟まっていれば、同じ内容の教材でも、受講者の関わり方は変わってきます。
出力の求め方は、二通りあります
出力を求める作りは、大きく二通りに分かれます。一つは、受講者に答えてもらう形です。設問を置いて自分の言葉で書いてもらう、選んだ理由を添えてもらう、といった作りが当てはまります。もう一つは、受講者の答えに応じて教材の側が変わる形です。選択によって次に出る内容が入れ替わったり、理解の度合いに合わせて説明の量が変わったりする作りを指します。どちらもインタラクティブeラーニングと呼ばれています。
分岐を作るかどうかで変わる、準備の重さ
業務を知る人が用意できる範囲
答えてもらう形の設問では、教材づくりの専門知識よりも、業務の中身を知っていることが効いてきます。新人がどこで迷うか、どの判断を間違えやすいか。日々その業務に向き合っている人ほど、具体的に挙げられます。最初から数をそろえる必要もありません。事業部門で講師を兼ねる担当者が、自分の手で用意できる範囲に収まることが多いのです。
作り分けは、答えの数だけ増えます
一方、答えに応じて教材が変わる形は、事情が違います。想定した答えの数だけ道筋を用意し、それぞれの先に出す内容を書き分けなければなりません。分岐が二段になれば、確かめるべき組み合わせも増えていきます。どこか一つの道筋を直すと、他の道筋との整合も取り直すことになるのです。この作りに価値がないわけではありません。ただ、必要な時間と人手は跳ね上がるため、最初の一歩として選ぶには重い作りです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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本業の合間に、設問を用意する時間が残りません
資料の読み直しから始まる設問づくり
設問を業務の判断に対応させる作業は、手元の資料を読み直し、どこが判断の分かれ目かを取り出すところから始まります。講師を兼ねる担当者にとって、この作業を進める時間は本業の合間にしかありません。結局、既存の資料をそのまま流し込んだ読み物になるか、制作の見積もりを取ったところで止まるか、どちらかに寄っていきます。
改定のたびに、同じ作業が戻ります
製品や手順が変われば、設問の中身も合わせて直すことになります。ところが、この手直しは教材の更新の中でも後回しになりやすい部分です。一度作った設問が古いまま残り、受講者がいまの実務とは違う判断を練習してしまうこともあるのです。
業務文書から起こす、設問の下書き
手元の文書から出てくる設問案
AIを使うと、すでに社内にある製品資料や手順書を起点に、設問の案をいくつか下書きできます。手順書には、どの順番で何を確かめるかという業務の判断が、すでに書き込まれています。白紙から文言を考える時間が減るぶん、担当者は、その設問をどの業務判断に結びつけるかを考えることに時間を使えるのです。どの案を採り、どこを書き換えるかを決めるのは、これまでどおり担当者の側です。
改定のときに、下書きから直せます
手順や製品が変わったときも、変更後の文書をもとに設問案を出し直せます。すべてを作り直すところから始めなくてよいぶん、改定のたびに教材へ手を入れやすくなります。年に何度か手順が変わる業務ほど、この差は大きいと言えます。ただし、どこを残しどこを差し替えるかの判断は残り、確かめる手間がなくなるわけではありません。
業務の判断に沿って並ぶ、答える箇所
業務で迷う箇所に置かれる設問
答える箇所が業務の判断と重なってくると、受講者の読み方が変わります。次に進むために選ぶのではなく、現場で迷う順番どおりに考えることになります。値引きを求められたときにどこまで答えてよいか、在庫の回答をいつ確認するか。自分の言葉で理由を書く場面が挟まれば、読み流したまま先へ進むことも減っていきます。
教材と業務が、同じ周期で動きます
業務の改定と教材の見直しが、同じタイミングで回りやすくなります。手順が変わった週に設問だけでも直しておけば、次に受ける新人は、いまの業務に沿った判断を練習できます。教材が古いまま置かれる期間は、それだけ短くなるのです。作り込みの検討は、この形が回り始めてからでも遅くありません。
重要なポイント
インタラクティブeラーニングという言葉は、分岐や画面の作り分けと結びつけて受け取られがちです。ただ、答えてもらう形と、答えに応じて教材が変わる形とでは、必要な準備の重さがまったく違います。作り込みを避けるという話ではなく、軽いほうから順に始められる、という整理なのです。
見直すときは、受講者に何を出してもらうかを先に決め、それが業務のどの判断に当たるかを確かめます。操作の数が増えただけで、考える機会が増えていない教材は、この確認で見分けられるのです。分岐や演出をどこまで作り込むかは、その後で決めても間に合います。判断の中身を決める部分は、業務を知っている側に残ると言えます。