保険営業の仕事、なぜ聞くのかを先に言えていますか
保険営業の仕事は、商品の説明より前に、相手の予定を聞くところから始まります。いつ家族が増えるのか、住まいをどうするのか、いつまで働くのか。どれも答えを聞かないと話が組み立てられない項目です。ただ、初対面の相手にとっては、答える理由が見えない質問でもあるのです。
保険営業の仕事は、どこから始まるのか
聞かないと組み立てられません
扱うものが目に見えないので、相手の状況に合わせて形を決めます。そのため最初にすることは、説明ではなく質問になります。相手の予定が分からないうちは、どの話をすればよいのかも決まりません。一方で相手の側から見ると、会って間もない人に生活の予定を尋ねられている状態です。例えば、家族の予定を尋ねたところで相手の返事が短くなり、そのあとの質問にも一言しか返ってこなくなる。こうした場面がこれにあたります。質問の内容が失礼だったのではなく、なぜ聞くのかが伝わっていなかったのです。
答えるかどうかは、相手が決めます
聞く理由が分からない質問には、答えない選択もあります。それは断りではなく、判断の材料が足りていないという反応です。理由を先に置けば、相手は答えるかどうかを自分で決められます。結果として答えが返らないこともありますが、そのときは別の項目から進められると言えます。答えが返らなかった項目は、時期を置いてもう一度尋ねる余地も残ります。最初の面談で全部そろえる前提を外すと、聞き方の選択肢は増えていきます。
聞く理由は、どう置くか
この質問で聞いたことを、どの判断に使うのかを一言で添えます。長い説明は要りません。使い道が見えれば、相手は答えの範囲を自分で選べます。一文で言えないときは、その質問がまだ絞りきれていない合図です。
今は答えにくい項目があってもかまわない、と先に言っておきます。逃げ道があるほど、答えられる項目については話が進みます。この一言は、聞かない範囲を決めておく行為でもあります。
生活の予定は、話しやすさに差があります。仕事の繁忙期のように外から見えることから入り、家庭の予定は後ろに置くと、相手が身構える時間が短くなります。順番は相手によって変わるので、一つに固定しないほうが動きやすくなります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
理由を先に置く言い方を、試せます
質問の前に置く一言の練習
質問に入る前の一言だけを取り出して、繰り返し試せます。相手が答えにくそうにした場合の続きも、あわせて通せます。
答えが返らない場合も、練習できます
答えが得られない場面の練習
相手が答えを避けた場面から、別の項目へ移る進め方を試せます。避けられたことを断りと受け取らずに続ける言い方も、通しておけます。短い時間でも一つの場面は通せます。
どの質問で止まったかが、記録に残ります
質問ごとに残る記録
どの項目を尋ねたときに会話が短くなったのかが、記録に残ります。順番を組み替える材料として、後から見返せます。AIが引き受けるのは、この繰り返しと記録までです。何をどこまで聞くかを決めるのは担当者になります。
聞く力を練習に置いた例です
支社ごとに新人を育てていた生命保険会社
新人を迎える体制が支社ごとにできあがっていた会社があります。外資系の生命保険会社で、指導のやり方も判断の基準も支社によって違い、育ちの質に差が出ていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
人が付く指導と、AIを使う学習および練習を、同時に走らせて結果を突き合わせました。あわせて、契約に至った受講者のやり取りの記録を教材の側へ取り込み、次に入る人が使えるようにしています。
三カ月が過ぎた頃には、出せる提案の数が伸びました。育成の対象にできる人数も大きく広がっています(出典:導入企業へのヒアリング)。うまく進んだ会話が残っていれば、聞き方も引き継げるようになります。
聞く順番や理由の置き方は、言葉で伝えるより、通った会話の記録から学ぶほうが早い場合があります。
国内で最も大きな規模の生命保険会社
なぜ知識を入れる研修だけでは足りないのか。国内で最も大きな規模の生命保険会社が、その問いに向き合っていました。当時の学びは読む形が中心で、声に出す場面は用意されていませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
進めたのは、読む形から、声にして使う形への切り替えです。全国に分かれた担当者が、そろえた基準のもとで練習に入れるようにしました。
同社が目指したのは、学ぶ機会を広げることと、可視化された成果をもとに直属の上長が的を絞った指摘を返せる状態でした。読む形のままでは、聞き方のような部分は確かめようがありません。
聞く理由を置く一言も、読んで覚えるより、声に出して確かめるほうが身につきやすい部分だと言えます。