インストラクショナルデザイン講座の学びを生かす条件
インストラクショナルデザイン講座は、入門から資格認定まで幅広く開かれています。ただ、講座で持ち帰れるのは設計判断の基準までで、それを自社の教材にどう当てはめるかは、受講後の進め方に委ねられているのです。
講座では何を学び、どう選ぶか
講座の種類と、共通して扱う内容
インストラクショナルデザインの講座は、扱う深さでおおよそ三つに分かれます。用語と工程の全体像をつかむ入門講座、自社の教材を題材に設計まで進める実践講座、体系的な履修と試験を経て資格が得られる認定講座。深さは違っても、共通して扱う内容は変わりません。習得目標の立て方、内容の分け方と教える順序、学習中に取り組むアクティビティ、習得の確かめ方。この四つを、どの講座も設計判断の基準として教えます。
自社の資料を題材にできるか
講座を選ぶときは、肩書きや修了証よりも先に、形式と題材を確かめておきたいところです。集合形式の公開講座、動画を中心としたeラーニング、講師を招く社内向け講座。それぞれ演習に割ける時間が違います。題材も、あらかじめ用意された事例を使う講座と、自社の製品資料や制度文書を持ち込める講座に分かれます。受講後に自分が担当するコースへ、そのまま当てはめられる題材かどうか。これが、選ぶときの基準の一つになります。
講座の後に残る、毎回の判断
渡されるのは、答えではなく基準
講座を修了しても、コースを組み立てるたびに決めることは残ります。1つの学習単位にどれだけの内容を入れるか、どの順序で扱うか、どこで受講者にアウトプットを求めるか、習得をどう確かめるか。扱う項目が増えれば、同じ種類の判断を何度も下すことになります。同じ枠組みをなぞっても、出来上がるコースが担当者ごとに変わるのは、この判断を一つずつ決めているからなのです。
実務で使うまでに間隔が空きます
講座の演習と、自社の教材づくりの間には、時間の隔たりがあります。受講は数日で終わりますが、コースの改定は年に何度も回ってきます。演習で使った事例と、手元にある製品資料や業務プロセス文書。分量も前提知識も違います。学んだ手順を最初に当てはめるまでに時間が空くほど、講師は資料を読み返しながらの作業になりやすいと言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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学んだ判断に時間を回せない事情
一人で設計から講義までを担います
企業では、コース設計から講義、実施後のフォローまでを一人の担当者が兼任していることも少なくありません。限られた時間で先に片づけるのは、当日の研修を滞りなく実施するための準備です。製品資料の章立てをそのまま目次に移し、説明の順番も資料の並びに沿わせた構成。講座で学んだ基準に照らして内容量や順序を練り直す作業は、後ろに回りやすいのです。
試せるのは、担当する数本のコース
学んだ基準を当てはめる相手も、自分が受け持つ数本のコースに限られます。周囲に同じ講座を受けた担当者がいなければ、判断を見比べる相手もいません。改定のたびに内容量と順序を決め直す作業。それが積み残るほど、一度組み立てた構成をそのまま使い続ける選択になりがちです。
教材を書く側から、確かめる側へ
下書きづくりをAIが引き受けます
資料の整理、コース構成の組み立て、初稿の作成といった準備作業をAIが担うと、講師が一から書き起こす必要は薄れます。空いた時間は、講座で学んだ基準に沿った確認へ回せます。この内容量は受講者の前提知識に見合っているか、習得の確かめ方は実際の業務と結びついているか。労力のかけどころが、書く作業から確かめる作業へ移るのです。
残るのは、確かめて調整する仕事
関与が軽くなるわけではありません。内容が自社の業務と合っているか、想定した受講者に対して内容量が適切か。AIが下書きを整えても、そこを判断するのは講師です。公開してよいかを確かめて認める工程も、これまでと同じように残ります。変わるのは時間の使い方であり、専門的な責任の所在ではないと言えます。
一度きりの受講から、毎回の判断へ
判断の単位が小さくなります
起点となる下書きが手元にあると、講師が向き合う対象は、コース全体の組み立てから一つひとつの学習ポイントへ移ります。この項目にどこまで内容を入れるか、どこで受講者にアウトプットを求めるか。判断の単位が小さくなるほど、講座で学んだ基準を当てはめる機会も増えます。配属直後の受講者には内容が多すぎ、経験者には既知の説明が続くという箇所も、その単位で手を入れられます。
改定で手を入れる範囲
制度や製品が変わったときも、関連する学習ポイントだけを見直す進め方を取りやすくなります。全体を組み直す前提が薄れる分、変更から研修への反映までの時間差は縮めやすくなるのです。ただし、どこを直すかを決め、内容が実務と合っているかを確かめる工数までなくなるわけではありません。
重要なポイント
インストラクショナルデザイン講座で持ち帰れるのは、設計判断を下すときの基準です。基準を手にした後も、内容量や順序、習得の確かめ方を決める作業は、コースを組み立てるたびに残ります。学びが生きるかどうかは、その判断に時間を割ける進め方があるかにも左右されるのです。
講座を選ぶときは、二つの点を確かめておきたいところです。一つは、演習の題材に自社の資料を持ち込めるか。もう一つは、受講後にコースを組み立てる時間のうち、どれだけを判断に回せるか。この二つがそろっていれば、講座で学んだ基準を、次に担当するコースから使い始められます。