グローバルリーダー育成のアクティブラーニング、複数の出し方へ
拠点をまたいで参加者が集まる育成プログラムでは、講義よりも話し合いの形が選ばれます。ただ、共通語として使う言語を一つ置いた場では、発言の順番が話す速さで決まります。場に残るのは、その速さで言えた分なのです。
講義では練習できない、擦り合わせの場面
立場の違う相手と決めていく仕事
拠点をまたぐ育成プログラムが扱うのは、答えが一つに決まらない仕事です。事業の数字を持っている人と、現場の運用を抱えている人が、同じ議題を別の角度から見ています。どこまでを共通の前提にするか。その線引きは、相手と話しながら決めていくことになります。こうした擦り合わせは、資料を読んで覚えるだけでは身につきにくいと言えます。アクティブラーニングが選ばれるのは、参加者が自分の考えを場に出すところまでを含んだ形だからなのです。
話し合いと持ち寄りという形
具体的な形としては、少人数での話し合いや、各自が普段扱っている案件を材料として持ち寄る回が中心になります。講義の時間を減らし、そのぶん参加者が話す時間を確保する組み立てです。ここで積み上がるのは、講師が用意した内容より、参加者が出した考えのほう。誰の考えが場に出るかで、その回の中身は変わります。参加者が出さなければ、その回に残る材料は増えません。
話す速さで決まっていく発言の順番
考えの途中と、言葉の途中
口頭のやり取りでは、発言の順番が話す速さで決まります。考えがまだまとまっていない人と、まとまってはいるものの共通語として使う言語で組み立てるのに時間がかかる人。この二人が、同じ回に並んで座っています。その言語をどれだけ日常的に使ってきたかは人によって違い、業務では読み書きが中心という参加者もいます。外から見えるのは、どちらも黙っている時間だと言えます。この差は、その人の判断力や経験とは別のところにあります。
受け取られ方のほうが記録に残ります
それでも話し合いの場では、よく発言する人と、あまり発言しない人として受け取られていきます。回を重ねるほど、その受け取られ方は固まっていきます。育成プログラムの記録に残るのも、そのときの印象。本人が何を考えていたかまでは、そこに残りません。発言を促しても、話す時間を均等に割っても、この見え方は変わらないままです。誰の考えが場に出たかではなく、誰が速く言えたかが残ってしまうのです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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出し方を増やすほど増える用意
書いて出す形に要る様式
書いて出す形をとるなら、様式を先に決めておく必要があります。何をどれくらい書くのか、どこに出すのか、いつまでに出すのか。配る用紙を用意するのか、共有のファイルに書き込んでもらうのかも決めることになります。当日その場で口頭で伝えるだけでは、書く側の手が止まります。
時間を置く形に要る段取り
少し時間を置いてから出す形には、読む側の段取りが要ります。誰がいつ目を通し、次の回のどこで扱うのか。返ってきたものの扱いを決めていないと、出した側には届いたかどうかが分かりません。運営を抱えたまま二種類を用意するのは重く、結局その場で話す形だけが残るのです。
一つの問いに、三つの出し方を添える形へ
社内の資料から起こせる部分
変えられるのは、用意する側の工数のほうです。同じ問いについて、書いて出すための様式や、時間を置いて出すための手順を、社内にある資料をもとに組み立てます。その場で口頭で示す言い方、書き出してもらう様式、後日提出してもらう手順。この三通りの下ごしらえを、一度に起こせます。ここにかかる時間は、AIを使うことで短くできます。出し方が一つに絞られていた理由のうち、用意が間に合わないという部分は小さくなるのです。
どの問いに添えるかは運営が決めます
ただ、どの問いに、どの出し方を添えるのかを決めるのは運営する側です。この回は口頭だけにするのか、この問いには書いて出す形も置くのか。この選び方は、AIの側では決まりません。出てきた下書きを読み、自社の言い方に直す作業も残ります。
口頭だけの場から、出し方が並ぶ場へ
同じ内容を、別の形でも出せます
同じ問いに複数の出し方が添えてあると、その場で言葉にしきれなかった人も、書いた形で自分の考えを出せます。少し時間を置いてから出す道も残ります。その回で扱った議題について、後から出てきた考え。それも次の回の材料になります。場に積み上がる考えが、話す速さだけで選ばれなくなるのです。
その場で話す形にしか置けないもの
一方で、その場で話す形にしか置けないものもあります。相手の反応を見ながら言い直す練習は、口頭のやり取りでしか組み立てられません。その場に居合わせたときにしか起きないやり取りは、そのまま残しておくものだと言えます。出し方を増やすのは、口頭を減らすためではなく、口頭だけにしないためです。
重要なポイント
出し方が一つしかない場では、その一つが得意な人の考えだけが場に残ります。黙って見える時間の中身は人によって違いますが、外からは同じに見えます。場に出た発言の量と、その人が考えた量は同じではないのです。育成プログラムの記録も、その二つを分けずに受け取ってしまいます。振り返りのときに見えるのは、残ったほうだけです。
育成プログラムを見直すときは、同じ問いに対して出し方が一つに決まっていないかを確かめられます。その場で話す形、書いて出す形、少し時間を置いてから出す形。すべての回で三つそろえる必要はありません。どの回をどの形にするかを意図して選んであるかどうかが、見直しの手がかりになります。