アクティブラーニングスタジオで変わるのは、進めやすさです
話し合いや発表を前提に、机や椅子を動かせる部屋を用意する企業が増えました。研修講師にとって、席の組み替えも書き出しも短い時間で済みます。ただ、受講者がその場で何を出すかは、部屋の側では決まりません。
向き合う形を、その場で変えられる部屋
動かせる什器と、書ける壁面
アクティブラーニングスタジオとして紹介されるのは、受講者が話す時間を前提に設えた部屋です。机と椅子は動かせる形で、島の数も大きさもその場で変えられます。壁面やホワイトボードは書き出す先として使え、手元の画面を前方に映す手順も短く済みます。呼び名や設えの範囲は導入した企業ごとに違いますが、共通しているのは、人が向き合う形をその場で組み替えられるという点だと言えます。
切り替えの多い研修ほど差が出ます
こうした部屋があると助かるのは、進行を切り替えるところです。4人ずつの班に分かれてもらい、10分後に全体へ戻す。この往復を一日に何度か挟む研修では、机を並べ替える時間そのものが積み上がり、参加人数が増えるほどその時間も伸びていきます。書き出した紙を貼る場所が決まっていれば、班ごとの結果を見比べる手間も減ります。設えによって進めやすさが変わる場面は、確かにあるのです。
部屋より先に決まる、その回に求める活動
同じ部屋に置ける、二通りの進め方
ただ、部屋の設えが受講者のアウトプットを生むわけではありません。机を動かせる部屋で、講師が最後まで説明を続ける研修も成り立ちます。机が固定された会議室で、受講者全員に自分の言葉で説明してもらうことも可能です。同じ部屋に、どちらの進め方も置けるのです。分かれ目になるのは、その回に受講者へ何を求めるかという設計の側です。
条件が決まるのは、活動の後です
順序を置き直すと、先に決まるのは求める活動です。班ごとに結論を一つにまとめてもらうのか、一人ずつ短く説明してもらうのか。それが決まって初めて、席をどう配置するか、書き出す先をどこに用意するか、話す順番をどう決めておくかという条件が出てきます。この条件の多くは、机を寄せる、模造紙を用意するといった、通常の会議室でも整えられる範囲に収まります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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会場が変わるたびに、組み直す進め方
人数と机の並びで変わる指示
順序どおりに進まない理由は、講師の心構えよりも工数の側にあります。同じ内容の研修でも、会場が変われば人数も机の並びも変わるからです。4人の班を想定した指示は、6人の島では通りません。配布物の枚数も、書き出す先の数も、そのつど数え直すことになります。
用意しやすい形に寄っていきます
準備に充てられる時間が限られていれば、どの会場でも同じように運べる形、つまり説明と質疑を中心とした進め方に落ち着きやすくなります。求める活動から決めていたはずが、会場の条件のほうが先に効いてくるのです。専用の部屋があると話が早い、という感覚はここから生まれます。
会場ごとの作り直しから、条件の差し替えへ
手元の資料から起こす活動案
変わりつつあるのは、この作り分けにかかる工数です。製品資料や業務手順書のような手元の文書をもとに、その回の活動案と進行の下書きをまとめるところまでは、AIが引き受けられるようになりました。班に配る課題文も、人数の違いに合わせた版を並べて出せます。一から書き起こしていた部分が、手を入れる作業に近づいてきました。
差し替えるのは会場に関わる部分です
もちろん、出てきた案がそのまま使えるわけではありません。人数や机の並びが変われば、指示の文言も配布物も用意し直す手間は残ります。ただ、会場が変わるたびに内容ごと起こし直す必要は薄れるのです。その回に何を求めるか、どこまでを受講者に任せるかを決めるのは、引き続き講師の仕事です。AIが軽くするのは、その判断を形にするまでの手数のほうです。
日程調整の前に決まる、その回の活動へ
会場に出す条件が、後から決まります
作り分けにかかる負担が下がると、打ち合わせで話す順番も変わります。日程を押さえる段階で先に決まるのは、その回で受講者に何をしてもらうかです。会場の担当者へ伝える希望は、そこから割り出した条件として並べられます。島を4つ置けること、書き出す先が2面あること、といった形です。
振り返りで読み返す材料
研修が終わった後に読み返す材料も入れ替わります。部屋が使いやすかったかどうかではなく、求めた活動が実際に起きたかどうかを先に確かめられます。起きなかった場合も、条件のどこが足りなかったのかを、次の回の設計に持ち帰れるのです。会場の手配は、その後で決めても間に合います。
重要なポイント
アクティブラーニングスタジオが引き受けるのは、進めやすさの部分です。席を組み替える時間、書き出す先を確保する手間。こうした条件が整えば、講師は進行そのものに集中しやすくなります。ただし、受講者がその場で何を出すかまでは、部屋の側では決まりません。そこを決めているのは、その回の設計です。
研修の中身を、専用の部屋があるかどうかから決め始めると、順序が入れ替わります。先に決めるのは、その回に受講者へ何を求めるかです。そこから必要な条件を割り出し、通常の会議室で満たせるかどうかを確かめます。設備の検討に進むのは、その条件では足りないと分かったときです。