アクティブラーニングサービスは、任せる範囲から考えます
解説中心の研修では、受講者が自分の言葉で答える場面はほとんど回ってきません。そこからアクティブラーニングのサービスを探す研修部門も多いのです。ただ、実施形式と費用の比較表には、研修後に社内へ何が残るかまでは出てきません。
アクティブラーニングサービスは何を担うのか
実施、設計、学習環境という三つの形
アクティブラーニングのサービスは、提供する範囲によって三つに分かれます。講師派遣やワークショップの運営を担う実施の形、教材やコースの設計を引き受ける形、受講者が自分で使う学習環境を提供する形です。名称は各社で違いますが、受講者に説明や判断、選択といったアウトプットを求める場面を用意する点は共通しています。聞くだけの時間を減らし、答える時間を増やすための手立て。それが、この種のサービスが扱う中身なのです。
先に決めるのは、委託の範囲
三つの形は代わりのきくものではなく、担う範囲が違います。だからこそ、比較を始める前に決めておきたいのが、どこまでを外に出すかという範囲です。当日の進行だけを任せるのか、教材や学習環境の整備まで含めるのか。ここを決めないまま費用や実績を並べると、扱う範囲の違うサービスを同じ表に並べることになります。範囲が決まって初めて、費用も実績も比べられる材料になると言えます。
同じ研修でも分かれる、アウトプットの回数
発言した人と、聞いていた人の差
参加型の進め方を取り入れた研修でも、受講者ごとに経験する中身は分かれます。自分の言葉で説明した受講者に残るのは、理解を組み立て直した経験。一方、うなずいて聞いていた受講者には、その経験がありません。20人を超える研修で全員に順番を回そうとすれば、一人あたりに割ける時間は数分に縮みます。外部の講師がどれほど進行に慣れていても、この持ち時間の上限までは動かしにくいのです。
置き場所で変わる、答える回数
一人あたりの回数を左右するのは、当日の進行の巧拙だけではありません。答える場面をどこに置いてあるかも関わってきます。教材や学習環境の側に、条件を比べて選ぶ場面や自分の言葉で言い直す場面があれば、受講者は順番を待たずに答えられるのです。当日の口頭のやり取りだけに頼る形では、回数は研修時間の枠に収まります。実施だけを委託した場合、この枠は研修が終われば閉じてしまいます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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委託しても社内に残る、教材の作り込み
作り込めるのは、業務を知る人だけ
答える場面を教材に組み込むには、学習目標の整理、押さえるべき知識の絞り込み、状況の設計が必要です。しかも、自社の製品や制度、業務の手順に沿った内容でなければ、受講者は自分の仕事と結びつけられません。この判断ができるのは、その業務を日々担っている社内の講師や中核メンバーに限られるのです。実施を外に委託しても、素材を用意する仕事は社内に残ります。
改定のたびに、途切れる機会
制度や製品が変われば、教材に組み込んだ場面も見直しの対象になります。改定のたびに外部へ依頼し直す前提では、費用も日程も毎回かかるのです。その間、受講者が答える機会は途切れがちです。手を入れられないうちに、読むだけの資料に戻っていきます。
社内資料から、アウトプットを含むコースへ
一から書き起こさない教材づくり
資料の読み込み、構成の組み立て、初稿づくり。この準備の工数をAIが引き受けると、学習設計を専門に学んでいない講師でも、手元の製品資料や業務手順書からアウトプットの場面を含むコースを組み立てやすくなります。ただし、専門的な責任がなくなるわけではありません。扱う範囲が自社の業務と合っているか、設定した状況が実務に照らして妥当か。そこを確かめて公開を判断する部分は、講師が担い続けます。
作り直しを前提にしない改定
制度や製品の改定があったときも、コース全体を組み直す前提ではなくなります。関係する箇所を探し、そこだけ手を入れる進め方が取りやすくなるのです。探す手間や、内容が実務と合っているかを確かめる手間は残ります。それでも、外部への依頼と日程調整を毎回はさむ場合に比べれば、変更が教材に届くまでの時間差は縮めやすくなります。
サービスの使い分けは、単発の実施から継続へ
外に出すのは、社内で足りない部分
日々のアウトプットの機会を社内で回せるようになると、外部サービスに任せる範囲も引き直せます。当日のファシリテーションや、社内に知見のないテーマの講義といった、外の力が生きる部分に絞る形。自社ですべてを抱える形とも、まるごと委託する形とも違う組み方が、現実的な選択肢になります。
単発の企画から、続く運用へ
研修の前後にも答える場面を置けるようになり、年に一度の企画で終わらせない形に近づきます。受講者が答えた記録も残るため、どの学習ポイントで理解のずれが起きやすいかを、講師は確かめやすくなるのです。ただし、そこから読み取れるのは、用意した場面と設問のもとでの学習の状況までです。現場で同じ判断ができるかどうかには、業務の進め方や周囲の支援も関わってきます。
重要なポイント
アクティブラーニングのサービスは、実施形式や費用だけで見比べられるものではありません。受講者が答える場面を、研修が終わったあとも社内で用意し続けられるかどうか。それも、サービスを選ぶうえで確かめておきたい観点の一つです。範囲が決まらないまま比較表を作っても、担う仕事の違うサービスが同じ列に並びます。
候補を絞るときの手がかりは、二つあります。自社の業務に沿った答える場面を、社内で用意できる形になっているか。そして、制度や製品の改定に合わせて、手を入れ続けられる進め方になっているか。この二つがそろって初めて、実施形式や費用の比較も判断の材料になってきます。実施を任せる範囲は、そのあとで決めても間に合います。