属人化対策の順番は、二件が重なった日に表れます
属人化対策の話は、退職や異動に備えた引き継ぎから入ることがほとんどです。ただ、自部門の研修を受け持つ社内講師の現場では、急ぎの案件と定例の作業が同じ日に重なり、一人しかできない工程がその日のうちに止まります。
属人化対策は、順番を決める仕事
一人しかできない工程を減らす取り組み
属人化対策は、一人しかできない工程を、ほかの人も担える状態に近づける取り組みです。作業としては二つに分かれます。その工程で何をどう見て決めているかを言葉にする作業と、それをほかの人に教える作業です。事業部門の社内講師が受け持っているのは、後者にあたります。自分もその工程を担当してきたので、どこが経験のある人にしか決められない部分か、見当のつく立場にいるのです。
どの工程から手をつけるかで変わります
ただし、部門が抱える工程をすべて教材にして並べる進め方は、現実には取れません。工程の数に対して、本業と兼任で研修を受け持つ社内講師が使える時間は限られています。そこで属人化対策は、どの工程から教えるかを選ぶ形になります。同じだけの時間をかけても、選んだ順番しだいで効き方は変わってくるものです。部門の全体像を先に描くことより、一本目にどれを置くかを決めるほうが、実務では先に来る判断だと言えます。
順番の手がかりは、繁忙期の記録
誰が抜けるかを当てる進め方
属人化対策の順番を、退職や異動の予定から逆算して決める考え方があります。ただ、部門の人の動きを前もって読み切るのは難しいものです。読みが当たったとしても、手当てが届くのは、その一人が受け持っていた工程に限られます。同じ時期に別の工程で待ちが出ても、そちらまでは回りません。予測を出発点に置くかぎり、対策の対象は人の側に寄り、工程の側が見えにくくなるのです。
重なった日に止まった工程が挙がります
もう一つの決め方は、直近の繁忙期を思い返すことです。急ぎの対応と定例の作業が同じ日に来て、どちらかを待たせた工程がいくつか挙がるはずです。担当する人が席にいても、体は一つしかありません。欠員が出ていなくても、属人化はその日に表面化していたと言えます。ここで挙がる工程が、教える順番の候補になります。もっとも、二件が重なっても止まらない仕事のほうが多いはずです。すべての工程を二人体制にする話ではなく、順番を決めるための見方として使うものです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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順番を決めた後に残る、教材の用意
教える形になっていない手元の資料
順番が決まっても、その工程を教える教材が整っているとは限りません。手元にあるのは、作業のときに書いたメモ、過去にまとめた申し送り、客先に出した書類といったものです。どれも仕事のために作ったもので、初めてその工程に入る人が読んで分かる形にはなっていません。
取りかかる日が先に延びます
本業を抱えたまま、優先度の高い工程から一本ずつ作っていくことになります。最初の一本を組み立てるところが、いちばん時間を要する部分です。合間の時間で始めようとしても、まとまった単位で手をつけないと形にならず、順番を書いた紙だけが机に残るのです。
着手までの重さが変わる条件
資料は、すでに部門の中にあります
教材のもとになる資料は、部門の中にすでにそろっています。工程ごとの作業メモ、過去の申し送り、客先とやり取りした書類。散らばった形ではあっても、中身は残っています。AIが引き受けるのは、これらを読み込んで教材の骨組みを起こし、説明の文章をひととおり用意するところまでです。何をどう見て決めているかを知っているのは社内講師の側なので、その部分を白紙から書き起こす負担は軽くなります。
決めるのは、引き続き部門の側
どの工程を先にするかを選ぶのは、引き続き社内講師と部門の判断です。出てきた下書きが自部門の進め方や取引先の事情に合っているかは、読んで直す作業として残ります。負担が消えてなくなる話ではありません。短くなるのは、最初の一本に手をつけるまでの時間です。決めた順番のとおりに一本目へ入りやすくなると言えます。
止まる工程から順に教えている状態
一本目に入れる範囲が決まります
一本目の中身は、どの工程を先にするか決めた段階でおおよそ定まります。二件が重なったときに待ちが出た工程を取り出し、その工程で判断が要るところを中心に組み立てる形です。部門の全工程を網羅した教材をそろえてから始めるという構えから離れられます。範囲が絞られる分、一本の中身は具体的になります。
順番を部門と見直す場
繁忙期が明けたあと、どの工程で待ちが出たかを部門で挙げてみる進め方も取れます。挙がった工程が、次に教材を用意する対象になります。年によって重なり方は変わるので、順番も一度決めて終わりにはなりません。順番を社内講師だけで決めずに済むようになり、部門が感じている詰まりと、教える順番がつながっていくのです。
重要なポイント
一人しかできない工程は、その人が席にいる日でも、急ぎの案件と定例の作業が重なれば待ちを生みます。属人化対策の順番を決めるとき、誰が抜けるかを当てにいかなくても構いません。直近の繁忙期にどの工程で手が回らなかったかを思い返すほうが、挙げやすく、外れにくい手がかりになると言えます。
属人化への手当てをどこから始めるか迷ったときは、確かめる先を一つに絞れます。同時に二件来たときに止まる工程を、言葉にできるかどうか。書き出してみると、挙がる数は思っていたより少ないはずです。その少ない工程のどれから教えるかを決めるところまでが、社内講師の側で先に進められる範囲なのです。