アクティブラーニングラボは、終わり方から決めます
新しい進め方を試すとき、社内に名前を付けた枠を立てることがあります。名前が付けば、期間も担当も費用も付いてきます。ただ、始め方が決まっただけで枠は動き出すため、どう畳むかは決まらないまま残るのです。
名前が付いた枠と、付かない試み
ラボという言い方で立てる枠
アクティブラーニングラボという言い方について、本ページはどこかの団体や取り組みを名指しして論じるものではありません。ここで扱うのは、社内で新しい進め方を試すときに、ラボという名前で通常の運営とは別の枠を立てる場合の話です。枠を立てるというのは、いつからいつまで続けるのか、誰が受け持つのか、費用をどこから出すのかを、通常の年間講座とは切り離して決めておくことを指します。研修責任者にとっては、年度の計画書に一つの行として載る単位になります。
名前が付かないままの試み
同じことを、名前を付けずに進める形もあります。年度の計画に、今年は少し新しい形も試していきます、と一行だけ添える書き方です。この形でも計画は通ります。ただ、試す分の工数はどの講座の担当にも入っていないため、日々の運営が立て込んでくると、そこから先に削られていきます。名前が付くというのは、期間と担当と費用の置き場所ができるということです。二つの違いは、そこに出るのです。
始めるときに決めずに済むもの
いつから、誰が、いくらで
枠を立てるとき、始め方は自然と決まります。承認する側が必ず聞くからです。いつから始めるのか、誰が受け持つのか、費用はどこから出すのか。この三つに答えられなければ、そもそも枠として立ちません。年度の計画書に載る時点では、たいてい埋まっている項目です。裏を返せば、始め方さえ書けていれば、枠は動き出せるのです。
決めなくても始められる終わり方
一方で、どうなったら通常の運営に組み入れるのか、どうなったら見送るのか。この二つは、決めないままでも枠を立てられます。始める時点では、誰も聞かないからです。決めずに置いた枠は、時間がたつほど畳みにくくなります。続けていても年度の報告の場で何を言えばよいのか分からず、途中でやめれば、周囲はうまくいかなかったものとして受け取ります。判断に使う材料が、最初から手元に用意されていないためです。研修責任者にできるのは、進め方を見比べるより、この枠をどう終えるのかを先に書いておくことだと言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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枠は立ったのに、動かない中身
回してみないと書けない基準
終わり方を先に決めるといっても、机の上だけで書き切れるものではありません。どうなったら通常の運営に移すのかという判断は、その枠で実際に何回か回してみて、初めて言葉になります。受講者から何が出てくるかも、当日に足りなくなる時間も、回してみるまでは見当がつきません。一回だけでは、その回の顔ぶれによる違いなのか、進め方そのものの問題なのかも切り分けられません。
一回ごとに要る教材
そして回すたびに、その回の教材を用意することになります。通常の年間講座を抱えた研修部門で、追加の一回分にまとまった時間を割ける日は、そう多くありません。結果として、枠は年度の計画に載ったまま、中身の動かない状態が続くのです。
一回分の教材を用意する工数へ
一から起こさずに済む部分
試す回で扱う中身そのものは、多くの場合すでに社内にあります。制度の説明書き、業務の手順、前の期に使った資料。新しく要るのは、受講者が答えたり比べたりできる並びに置き直すところからです。AIは、この置き直しの下書きづくりを担えるようになってきています。どの順で示すか、どこに補足を挟むかまで含んだ形で出てきます。試す枠で使う一回分であれば、扱う範囲もあらかじめ絞られています。
残る手間と、残る判断
出てきた下書きを、そのまま当日に配れるわけではありません。社内で通じている言い回しと合っているか、前提の説明が抜けていないかを確かめる工程は要ります。扱う場面を選び、受講者にどこまで手を動かしてもらうかを決めるのは、枠を受け持つ担当者です。手間が消えるという話ではありません。それでも、小さく一回試すことが、年度の途中でも選べる範囲に入ってくると言えます。
回した記録が残る進め方へ
何度か回してから決める
枠の中で小さく何度か回せると、終わり方を決めるための材料が手元にたまります。どの内容なら通常の講座に載せられるのか、どこは載せずに置くのか。回した回ごとに、受講者から出た質問や、当日に足りなかった時間が残ります。年度の途中で経営層からこの枠は続けるのかと聞かれたときも、何を試し、何が分かったのかをその場で答えられるのです。
決め直した記録も材料になります
先に決めた終わり方が、途中で合わなくなることもあります。そのときは決め直せばよく、いつ何を理由に決め直したのかが残っていれば、それも判断の材料になります。見送るという結論も、枠として立てた以上は一つの結果です。畳んだ理由が書かれていれば、次に別の形で試すときの出発点になると言えます。
重要なポイント
ラボという名前で枠を立てると、期間と担当と費用が付き、試す分の工数に置き場所ができます。効いているのは、その点なのです。ただ、始め方だけで枠は動き出せるため、どうなったら通常の運営に移し、どうなったら見送るのかは、決めないままになりがちです。いつまでの期間かを含めたこの三つを、枠を立てる前に書いておきます。
試す枠を立てるときは、どうなったらやめるのかが先に決めてあるかを確かめてみてください。目標の数値を置くという話ではなく、どういう状態になったらどう判断するのかという、言葉の取り決めです。途中で合わなくなれば決め直して構いません。決め直した経緯が残っていれば、それも次の判断に使えます。書いてあれば、畳むときの話も進めやすくなります。