【仕事の科学】なぜ売上と成果にばらつきが生まれるのか ベテラン頼みが組織を不安定にする理由

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「同じ商品を扱っているのに、人によって売上が大きく違う」

「対応する社員によって、サービスの質に差が出る」

 

多くの組織で、こうした悩みが繰り返し語られます。個人の努力ややる気の問題として片づけられがちですが、実はその原因は、もっと構造的なところにあります。それは、会社としてナレッジを整理し、共通の基準として提供できていないことです。現場の社員一人ひとりの経験や感覚に任せて、営業や接客を回していないでしょうか。実はこのやり方は、想像以上にギャンブル性の高い運営方法です。

 

経験に頼るほど成果が不安定になる理由

「ベテランがいるから大丈夫」「経験豊富な人に任せておけば安心」。そう考えるのは自然です。しかし、経験は必ずしも一貫した判断を保証してくれるものではありません。

 

人はそれぞれ異なる経験を積み、異なる成功体験を持っています。同じ状況を見ても、何を重視するか、どこを危険と感じるかは人によって違います。その結果、判断や行動に大きなばらつきが生まれます。この「ばらつき」は、感覚的な話ではありません。行動科学の分野では、はっきりと示されています。

ベテラン同士でも判断は大きくズレる

行動経済学者の ダニエル・カーネマン は、著書の中で非常に示唆的な実験を紹介しています。ある大手保険会社で、長年の経験と、しかるべき資格を持っているプロの方々に、まったく同じ複雑な保険金の見積もり案件を評価させました。

 

そして経営陣に、彼らの見積もり金額はどれくらいの差が生じるかを問いかけたのです。すると経営陣は、「さすがにプロ同士なのだから、評価の誤差は 10%程度に収まるだろう」と予想していました。ところが、実際に出てきた見積もり額を並べてみると、そのズレは想像を大きく超過。同じサービス内容であるにも関わらず、1.5 倍以上も金額が違う判断が平然と出ていたのです。例えるなら、月額 10,000 円の見積もりと、1,5000 円の見積もりが出たと言うことです。

 

これは、誰かが未熟だったからではありません。全員が資格所有者で経験豊富なプロフェッショナルです。それにも関わらず、このようなズレが生まれたのです。つまり、経験がそこまで豊富ではなく、資格もまだ低い人の場合、この差はより大きくなると言うこと。考えるだけでも恐ろしいですよね。

ベテラン任せの組織が抱えるリスク

この実験が示しているのは、専門性や経験があっても、人の判断には大きなノイズが含まれるという事実です。これをそのまま営業や接客に当てはめると、何が起きるかは明らかです。

 

社員ごとに売り方や説明の仕方が違い、対応品質にムラが生まれます。その結果、売上は安定せず、サービスの質もばらつきます。つまり、ベテランの経験値に依存した組織運営をしている限り、「成果が安定しない」「再現性がない」「将来の安定経営が脅かされる」という重大な問題につながるのです。

成果を安定させるために必要なこと

では、どうすればよいのでしょうか。答えはシンプルです。個人の経験に任せるのではなく、組織としてナレッジを集約し、共通の基準として教育システムに落とし込むことです。

 

会社として定めた売り方、判断の軸、必要な知識やスキルを明確にし、それを全員が同じ形で学び、練習できる状態を作る。知識面だけでなく、実際の行動や技術として身につくところまで設計することが重要です。こうして初めて、成果に再現性が生まれます。

UMU によるナレッジとスキルの標準化

UMU は、社内に散らばったナレッジを集約し、共通の学習コンテンツとして提供できるプラットフォームです。さらに、AI エクササイズを通じて、知識を使う練習を繰り返し行うことで、人による判断や行動のばらつきを抑え、技術として定着させることができます。

まとめ

成果のばらつきは、個人の能力差だけで生まれるものではありません。判断を個人の経験に任せている構造そのものが、不安定さを生み出しています。ベテランであっても判断は大きくズレる。この前提に立ち、ナレッジを集約し、共通の基準で学び続けられる仕組みを作ることが、成果を安定させる最短ルートです。変えるべきは人ではなく、組織の学習と判断の構造だと言えます。

 

 

【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏

栃木県で公務員を経験し独立。ハーバード大学やスタンフォード大学などの論文や研究データ、脳科学・心理学の文献などを年間700冊読み込む。科学的に効果が実証された方法で社内研修や、組織構築を提供する株式会社HYBRID THEORYを設立。また、脳科学に基づいた学習方法を用いた学習塾を運営している。能力や才能に関わらず、誰でも結果の上がる「科学的に正しい方法」を伝えて、個人の人生の満足や会社の利益向上を目指している。

 

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