海外営業の研修で、本社側の担当者は対象に入っていますか
海外営業の研修は、現地に出る担当者に向けて設計されるのが一般的です。しかし案件が止まる場所は、現地の商談だけではありません。現地が引き出した要望は、見積や納期の確認という形で本社側に戻ってきます。その返答を組み立てる担当者は、受講の対象に入っていないことが多いのです。
なぜ現地に人を置いても案件は進まないのか
案件は返答を待つ間に止まります
海外の案件では、現地の担当者が顧客と向き合い、条件や要望を引き出します。その内容は、見積の可否、契約条件の確認、納期の見通しといった形で本社側に戻ってきます。ここから先を進めるのは、現地ではなく本社側の担当者です。ところが本社側の担当者は、海外の案件がどう進むのかを自分で経験していないことが少なくありません。どの前提から確かめればよいかが分からないため、関係部署への相談が一往復増えます。国内の案件なら同じ日のうちに片づく確認でも、互いの営業時間が重ならないため、時差の分だけ往復に日数が乗ります。現地の担当者は次の訪問まで待てますが、相手の検討は止まりません。止まっているのは現地の力量ではなく、返答が戻るまでの時間なのです。本社側の担当者を責める話でもありません。経験していない工程を任されている以上、時間がかかるのは自然なことです。
待ち時間は誰の記録にも残りません
たとえば、現地の担当者が条件の確認を送り、本社側が内容を読み、関係部署に確かめてから返答をまとめます。この間に現地は次の予定へ進み、顧客の側では検討が先へ動きます。現地の報告には訪問の結果が残りますが、本社側のやり取りは記録の外に置かれます。どの工程で日数が乗ったのかは、後から追いにくいと言えます。
研修の対象を、役割の側から見直す
対象を決めるとき、現地に出るかどうかで線を引くと、依頼を受ける側が外に出ます。案件の速度を左右しているのは、その外に出た側です。現地に出る担当者に向けた海外営業の研修が不要になるわけではありません。言葉が通じることも前提として必要で、語学の研修が要らないという話でもありません。足りていないのは、対象の範囲です。
練習の題材は、現地の商談そのものではありません。現地から来た依頼を受け、その場で何を返せるかを組み立てる場面です。自分で返せることと、確認に回すことを、口に出しながら振り分けていきます。
手段を選ぶ場面で並ぶのは、現地向けの教材がそろっているか、対応できる言語がいくつあるかという項目です。依頼を受ける側の場面を本社側の担当者が練習できるかは、そこには出てきません。直近の依頼を一件持ち込み、通せるかどうかを試すと、ご自身で確かめられます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
本社側の担当者も、練習の対象に入れます
役割別のシナリオ設定
UMU AIロープレを活用することで、現地に出る担当者向けの場面とは別に、依頼を受ける側の場面を用意できます。設定は業務の知識だけで進められるため、技術部門の順番を待つ必要はありません。研修を設計する立場は、対象を本社側まで広げても、場面を作り直す手間を人数分抱えずに済みます。
その場で何を返すかを、声に出して試せます
持ち時間のある対話練習
練習では、AIが依頼する側を務め、条件の確認を投げかけます。持ち時間が区切られているため、担当者は自分で返せることと、確認に回すことを、その場で振り分けながら言葉にします。同じ場面を何度でもやり直せるので、振り分けの判断そのものを練習として扱えます。AIが担うのは反復練習と評価の標準化までです。取引の条件や適用される制度の解釈は、社内の所管部署と専門家に委ねる範囲であり、このページで扱うものではありません。
返せた場面が、記録として残ります
段階別の練習レポート
練習が終わると、どの場面でどこまで返せたのかが、段階ごとのレポートに残ります。人材開発のご担当者は、現地に出る担当者と本社側の担当者を並べて、どちらの側で確認に回る割合が高いのかを確かめられます。次に対象をどこまで広げるかを、記録をもとに決められるようになります。
研修の対象を広げた企業の例です
バイオ医薬品・営業800名
ワクチンを主力とするバイオ医薬品企業では、研修予算の考え方が、コンプライアンス研修の受講時間を満たすという見方から、業績に直結する能力開発ができているかという見方へ移っていました(出典:導入企業へのヒアリング)。受講時間を満たしたかどうかから、誰にどこまで届いているかへ、問われるものが移りました。
対象は販売代理店のメンバーと社内営業を合わせて800名にのぼり、本部が渡せるのは主に研修資料でした。そこでUMU AIロープレを活用し、同じ訪問シナリオライブラリを800名が使える形に整え、立場の違う二つの集団を同じ対象に入れました。
その結果、新任営業が独り立ちするまでの期間は60日から30日に短縮され、新任営業に対する顧客満足度もフォローアップ調査で23.5%向上しました(出典:導入企業へのヒアリング)。対象の外にいた側を対象に入れたことが、立ち上がりの速さとして表れたのです。
業種はバイオ医薬品で異なりますが、本部が資料を渡すだけでは届かない相手が対象の外にいたという条件は、海外営業の研修にも重なります。
生命保険・外資系大手
生命保険分野の外資系大手企業では、成約に至った受講者の練習記録をそのままコースに組み込み、その後入社した社員向けの学習コンテンツとして使っていました(出典:導入企業へのヒアリング)。やり取りが起きた場所と、それを教材にする場所が、初めて重なりました。
もともと新人営業の育成は各支社に任され、質にばらつきがありました。そこで第1グループはオフラインのOJT研修、第2グループはUMU AIロープレによる学習と練習という形で、進め方を並べて比べました。
その結果、3カ月後にはUMU AIロープレのグループで顧客向けの提案数が30%増加し、アカウント数は2,000から7,000超に拡大しました(出典:導入企業へのヒアリング)。実際のやり取りを次の受講者の練習材料に回せたことが、標準化を続けられる形につながりました。
業種は生命保険で異なりますが、現場で起きたやり取りを練習の材料に戻せるという条件は、現地から本社側に戻ってくる依頼を扱う場合にも当てはまると言えます。