インタラクティブ教材の違いは、答える場面に表れます
新人向けの手順書や商品資料を本部でまとめ、現場へ配信します。閲覧率が上がったことをもって、内容が浸透したと判断する場面があります。ただ、受講者が答えを出す場面が入っていなければ、記録に残るのは閲覧の事実までです。
インタラクティブ教材の定義と見分ける基準
受け取る時間と、答える時間
インタラクティブ教材とは、受講者が説明を読んだり動画を見たりするだけでなく、自分で答えを出す場面を組み込んだ教材です。設問に答える、二つの条件を比べて選ぶ、手順を自分の言葉で言い直すといった動きが含まれます。組み込み方の名称は動画の分岐やシミュレーションなどさまざまですが、受講者に出力を求める場面を含む点は共通しています。紙の資料や動画をなくす形ではなく、受け取る時間と答える時間を組み合わせる形です。
答えを確定させる工程があるか
見分ける手がかりになるのは、受講者が自分の答えを確定させる工程が入っているかどうかです。クリックで次の説明が開いたり、図が動いたり、音声が流れたりする教材もあります。こうした作りでも操作の回数は増えますが、受講者が答えを一つに絞る工程は生まれません。一度の学習で、受講者全員が少なくとも一度は自分の答えを出す組み方になっているか。そこを確かめると、形式の名前だけでは見えない中身の差が見えてくるのです。
答えを出すまで見えない、理解のずれ
答えを出したときに見える箇所
読んでいる間、受講者は内容を追えている感覚を持てます。ただ、自分がどこを説明できないかは、その時点では見えません。選択肢を一つ選んで答えを確定させたとき、あるいは自分の言葉で言い直そうとしたときに、手が止まる箇所が本人に見えてきます。分かったつもりでいた箇所ほど、言葉にしようとすると出てこないのです。答えを出す工程は、理解を確かめる工程でもあります。
閲覧率では読み取れないもの
一方、教材を配った側に残るのは、誰がどこまで開いたか、最後まで見たかという記録です。全員が視聴を終えても、その記録から理解の状況までは読み取れません。営業担当者がどの内容で判断に迷うのかは、担当先を回り始めてから表に出てくると言えます。閲覧の記録と理解の状況は、別のものとして扱う必要があります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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読むだけの教材に戻っていく理由
作れるのは、業務を知る一部の人
既存のマニュアルや商品資料に答える場面を足すには、受講者がどこでつまずきやすいかを知っている人の判断が必要です。この判断ができるのは、業務を長く担当してきた現場の中核メンバーや本部の企画担当に限られます。いずれも通常業務を抱えており、教材づくりにまとまった時間を確保しにくい立場にあります。
改定のたびに、後回しになります
商品や手順の改定が年に何度もある領域では、答える場面まで作り直す前提が負担になります。手を入れられないまま時間が経てば、配るものは読むだけの資料と録画に戻っていきます。一度は答える場面を入れた教材でも、この後戻りは繰り返されやすいと言えます。
変わるのは、準備にかける時間の使い方
下書きづくりは、AIが引き受けます
既存の商品資料や手順書から、答える場面を含む教材の下書きを組み立てる作業は、AIが引き受けられる範囲に入ってきました。資料の整理、構成の組み立て、初稿づくりに、業務を知る人が一から取りかかる必要は薄れます。改定に合わせた作り直しでも同じです。ただし、その下書きが自社の運用に合っているかを確かめる工程は、これまでどおり人の側に残ります。
残るのは、確かめて判断する仕事
空いた時間は、扱う範囲の判断や、想定した場面が実務に合っているかの確認に充てられます。内容を確かめ、現場に配ってよいと判断する責任は、業務を知る人の側から動きません。確認と調整には、引き続き実質的な関与が必要です。負担が消えるわけではなく、時間のかけ先が移るのです。
配って終わりにしない、教材の運用へ
現場に出る前に、確かめられます
答える場面を含む教材を配属前から配れると、どの内容で理解が止まりやすいかを、現場に出る前に確かめられます。配属後に同じ質問が繰り返される前に、説明の足りない箇所を補いやすくなります。ただし、そこから分かるのは、用意した場面と設問のもとでの学習の状況までだと言えます。
手を入れて、出し直せる形へ
商品や手順が変わったときも、教材全体を組み直す前提ではなくなります。関係する箇所に手を入れて出し直す進め方を取りやすくなる分、読むだけの資料へ戻る流れも起こりにくくなります。どこを直すかを決め、内容が実務と合っているかを確かめる手間まで消えるわけではありません。それでも、改定の内容が教材に反映されるまでの時間差は縮めやすくなるのです。
重要なポイント
インタラクティブ教材が成り立つかどうかは、動画の分岐やシミュレーションといった形式の種類だけで決まるものではありません。受講者が自分の答えを出し、その答えに対する修正が返ってくる場面が入っているか。それも、この教材を成り立たせる条件の一つです。操作の回数を増やすことと、受講者が自分の答えを出すことは別の話です。
教材の見直しに手をつけるときは、二つの点を確かめておくと、着手する場所が定まります。一つは、受講者全員が少なくとも一度は自分の答えを出す組み方になっているかという点です。もう一つは、改定のたびの手直しを、担当者が無理なく続けられるかという点なのです。この二つがそろっていれば、閲覧率だけでは見えない差も把握しやすくなります。