法人営業の方法を見直す前に、省いた箇所は見えていますか
法人営業の方法は、初回の訪問から課題の確認、提案、条件の詰め、決めてもらうまでと、たいてい一通り決まっています。研修でも共有され、順番を知らない担当者はいません。それでも案件を落としたあと、方法そのものが合わなかったのか、その案件で通らなかった箇所があったのかは、切り分けられないまま残るのです。
同じ方法なのに、原因を絞れないのはなぜか
省いた箇所が人ごとに違います
営業マネージャーとして週の予定を見ると、担当者ごとに持ち件数も相手の事情も違います。件数が立て込んだ週には、課題の確認を短めに切り上げて提案に進み、条件の詰めは口頭で済ませておくこともあるでしょう。こうした省き方は、限られた時間の中では妥当な判断と言えます。手を抜いているわけではありません。問題が出るのは、省いた箇所が担当者ごとに違うところです。ある担当者は課題の確認を短くし、別の担当者は条件の詰めを飛ばしています。それでも案件を落としてから振り返ると、どこを通らなかったのかは担当者の記憶の中だけ。そのため、方法そのものが合わなかったのか、通らなかった箇所が響いたのかを分けて説明できません。会議では方法を見直す話と、決めた通りに進んだかどうかの話が、混ざったまま進んでいくのです。
直近3件で確かめられます
この状態は、いま手元にある記録で確かめられます。直近で落とした案件を3件選び、初回の訪問から決めてもらうまでのどこを通らなかったのか、担当者に確認せずに挙げてみてください。本人に聞かないと挙がらない案件が混じるようであれば、方法の話と実行の話は、まだ分けて扱えていません。日報や商談の記録に並ぶのは、訪問した日と話した内容、つまりやったことの側だからです。通らなかった箇所は、記録の上では最初から存在していないことになります。
方法と実行を分けて見る
標準の流れそのものは、たいてい言葉になっています。初回の訪問から決めてもらうまでの順序は研修で共有され、資料としても残っています。担当者に尋ねれば、順番はすぐに出てくるはずです。ここを書き直しても、現場で起きていることは変わりにくいものです。
実際にどこを通るかは、その週の持ち件数や相手の都合で変わります。同じ方法を渡していても、短くする箇所は一人ずつ違います。この違いは、やったことを書き残す形の記録には表れません。担当者を集めて聞き取れば分かりますが、案件ごとに毎回それをやる余裕は、なかなか取れないものです。
育成の仕組みを比べるとき、方法論の網羅性や研修の内容量に目が向きます。ただ、そこを増やしても実行の差は見えません。比べる軸は、標準の流れのどこを通らなかったかが、担当者をまたいで同じ形で並ぶかどうかに置けます。並んで見えるようになってから、ようやく方法を見直す話に入れるのです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
標準の流れに沿って、対話を進められます
流れに沿った対話設計
UMU AIロープレを活用すると、社内で定めた訪問の流れに沿って、AIとの対話が進みます。練習では決めた順序どおりに一つずつ通るため、どこまで進んだかは対話の側に現れるのです。資料として配る形とは別に、同じ順序で通した記録が残るのが特徴です。
通らなかった箇所が、記録に残ります
段階ごとの評価レポート
練習を終えると、AIが段階ごとに分けたレポートを返します。どの段階が何点だったのか、どこを飛ばしたのかが項目として並ぶため、所感を書き足す形とは別の材料です。担当者本人も、次に通す箇所をその場で決められます。マネージャーが読み合わせる相手も、記憶ではなく同じ項目になります。
担当者をまたいで、同じ形で並べられます
チーム全体の練習状況
マネージャー向けの画面では、チームの練習の広がりと一人ひとりの推移を、同じ項目で確認できます。誰がどの段階を通っていないかが並ぶため、方法を見直す会議に、実行の差を分けた材料を持ち込めます。AIが担うのは、反復練習と評価の基準をそろえる部分です。どこまでの省き方を認めるのか、その線を引く判断は、引き続きマネージャーの役割になります。
段階ごとに確かめた企業の例
バイオテクノロジー分野の大手
グローバルに事業を展開するバイオテクノロジー分野の大手企業では、研修を受けた担当者が実際に何を習得し、行動がどう変わったのかを数字として把握しにくい状態が続いていました。研修後の評価に主観的な要素が多く、研修部門が経営層へ投資の効果を説明しにくい状況でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、準備、教育・研修、研修後のフォロー、職場での行動の変化、業績目標の達成という流れのうち、教育・研修と研修後のフォローを受け持たせました。人による評価に頼っていた部分は、標準化されたAIの評価に置き換えています。
その結果、それぞれ切れていた研修の単元が、端から端までつながった一続きの学習の流れに変わりました(出典:導入企業へのヒアリング)。構造化された練習のレポートから、行動の変化の兆しをたどれるようになったのです。
業種は異なりますが、どの段階を通ったのかを段階の側から確かめる進め方は、法人営業の方法を見直す場面にも重なります。
製薬・新任リーダー育成
日本国内の大手製薬企業では、新任のチームリーダー約100名が、プレイヤーとしての業務を抱えながらメンバーの支援も担っていました。研修でコーチングの知識を入れても、実際の1on1で自然に使えるようになるまでには時間がかかっていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、1on1で必要になる対話を3種類のシナリオに分け、研修を全3回のセッションに区切って進めました。回ごとに、AIを相手に同じ型を練習しています。
その結果、第3セッションの時点で98.1%が実際にコーチングを実践し、そのうち93.1%がメンバーに変化があったと回答しました(出典:導入企業へのヒアリング)。この割合は第1セッション以降も上がり続け、回ごとの変化が数字として残りました。
扱う対話は部下との1on1で、法人営業の商談とは相手が違います。それでも、設計した段階を通ったかどうかを回ごとに数えた点は、方法の見直しにも当てはまると言えます。