アクティブラーニング型研修、答える機会は全員に回るか
アクティブラーニング型研修を取り入れ、当日の場は活発になったものの、自分の言葉で答えたのは一部の受講者だったという振り返りが残ることがあります。参加型という形式の名前だけでは、この差までは見えてきません。
アクティブラーニング型研修とは
参加型の進め方をまとめた呼び名
アクティブラーニング型研修は、実務の場では、グループワークやケーススタディ、教え合い、疑似的な商談の練習といった、受講者が手や口を動かす進め方をまとめて指す言葉として使われています。講義を聞くだけの形と区別するための呼び名であり、この使い方そのものが的を外しているわけではありません。年間の研修計画を組む場面でも、参加型の枠をどれだけ確保するかという単位で語られることが多いと言えます。
共通しているのは、答える場面
呼び方は違っても、これらの進め方には一つの共通点があります。受講者が受け取った内容を自分の言葉で言い換えたり、選択肢を比べて判断を示したりする場面を、研修の中に組み込んでいる点です。席の並べ方を変えても、話し合いの時間を長く取っても、受講者が自分の答えを出す場面がなければ、聞くだけの研修と中身は変わりません。その場面が入っているかどうかが、区別の入り口になります。
能動性を左右する、回数と配分
同じ研修で分かれる経験の中身
同じアクティブラーニング型研修を実施しても、受講者に残るものは同じとは限りません。手を挙げて答えた人には、考えを整理し、言葉にした経験が残ります。うなずきながら聞いていた人には、その経験がありません。場が活発だったかどうかと、一人ひとりが能動的だったかどうかは、必ずしも重なりません。その場の空気よりも、答えを出した場面が何回あったかを数えてみると、違いが見えてきます。
一人あたりに回る回数の差
もう一つの観点は、その回数が誰にどれだけ行き渡っているかという点です。進行役が一人ずつ指名して答えを聞く形では、一人あたりに回る回数は、参加人数と当日の時間で割った分に落ち着きます。人数が増えるほど取り分は小さくなり、発言に慣れた人へ偏りやすくなるのです。能動的かどうかを見分ける手がかりの一つは、答えを出した場面の回数と、その配分にあります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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集合研修で頭打ちになる機会の総量
進行役が拾える応答の限界
答える場面を増やそうとしても、集合の場には上限があります。一人が答え、進行役が内容を確認して補足を返すという流れには、そのつど時間がかかります。これに受講者の人数を掛け合わせると、当日の枠には収まりません。進行役が一人で全員の応答を拾い切ることは難しく、確保できる機会の総量は、人数と時間で頭打ちになるのです。
当日だけで完結する組み方
機会を置ける場所が研修当日に限られやすいことも、制約の一つです。事前学習や実施後のフォローにも答える場面を置ければ、総量は増やせます。ただし、そのための教材や設問を用意し、返ってきた内容に目を通す作業は、担当者の通常業務に上乗せされます。
答える場面は、教材の側へ
教材の側に置かれる応答の場面
文書や動画は、内容を届ける役割を担っています。受講者がその内容を理解し、必要な場面で引き出せるようにするには、途中で自分の言葉に置き換えたり、条件を比べて選んだりする処理が欠かせません。AIを使うと、こうした応答を求める場面を、教材そのものに組み込みやすくなります。答える機会が、集合の場と進行役の手持ち時間から切り離されるのです。
進行役の時間は、確認の側へ
進行役が担う仕事も変わります。一人ずつ順番に答えを聞いて回る時間が減る分、どこで理解のずれが起きやすいかを見て、扱う範囲を決める側に時間を寄せやすくなります。ただし、内容が実務に合っているかを確かめ、公開してよいと判断する工程は、人の側に残ったままです。手間がなくなるわけではありません。かける場所が移るという程度の変化です。
機会の配分は、当日から前後へ
事前と事後にも置ける機会
答える場面を教材の側に置けるようになると、機会の配分は当日一日から前後へ広がります。事前に基本的な内容を自分の言葉で言い換えておけば、当日は答えが分かれる論点の検討に時間を使えます。実施後にも、間隔を空けて再び答える場を置けるのです。アクティブラーニング型研修は、一日の企画から続く運用へと移しやすくなります。
偏りの小さい配分に近づく
一人あたりに回る回数が当日の時間で割られる状態からは離れ、人数の多い研修でも、全員が一度は自分の言葉で答える組み方に近づきます。ただし、そこから分かるのは、用意した場面と設問のもとで受講者がどう応答したかという範囲にとどまります。業務での行動がどう変わったかまでを、その記録が示すわけではありません。
重要なポイント
アクティブラーニング型研修が成り立つかどうかは、グループワークやケーススタディといった形式の名前だけでは判断できません。受講者一人ひとりが自分の言葉で答えを出す場面が何回あり、それが誰にどれだけ行き渡っているか。中身の差は、そこに表れるのです。形式の枠を年間計画に確保できても、経験する中身は受講者によって変わります。
進め方を見直すときは、答える場面の回数と、その配分の両方を確かめておきたいところです。当日の枠だけで機会を確保しようとすると、人数が増えるほど一人の取り分は小さくなります。研修の前後にも機会を置ける形にしておくと、確保できる総量が参加人数に左右されにくくなると言えます。