アクティブラーニングの進め方は、研修の前後を含む設計です
アクティブラーニングの進め方として語られるのは、講義とグループワークをどう並べるかという当日の段取りです。ただ、受講者が学んだ内容を自分の言葉で取り出す機会は、当日の中だけに収まるものではありません。
決めるのは、アウトプットをどこに置くか
当日の順番より、アウトプットの置き方
アクティブラーニングの進め方は、導入、講義、グループワーク、振り返りという当日の順番を組む作業として説明されることが多くあります。ただ、順番を入れ替えても、受講者が聞くだけの時間が長ければ、学びの質は変わりにくいものです。決めておきたいのは、受講者が学んだ内容を自分の言葉で説明したり、条件を比較して選んだりするアウトプットの機会を、どこに、どれだけ置くかという配分なのです。
事前から事後までを一続きに
配分を考えるうえで区切りになるのは、研修の事前、当日、事後という三つの時点です。事前に置くのは、受講者が現在どこまで理解しているかを、短い設問で書き出してもらう機会です。当日は、説明を聞く時間を絞り、判断が求められる局面に答えてもらう時間を確保します。事後は、期間を空けてから同じ論点をもう一度たずねます。三つの時点それぞれにアウトプットの機会を置いて、はじめて一続きの進め方として形になると言えます。
同じ回数でも、置き方で生まれる差
時間を空けてこそ残る理解
同じ回数のアウトプットでも、研修当日にまとめて行う場合と、期間を空けて繰り返す場合とでは、後から思い出せる度合いが変わってきます。製品知識の研修では、当日に設問へ答えられた受講者が、数週間後の商談準備で仕様の条件を思い出せずにいることもあります。こうした状態は、学んだ内容を一度も自分で取り出さないまま時間が過ぎたときに起こりやすいものです。時間を置いてから思い出す作業そのものが、記憶に残す働きを担っています。
事前の回答が示す当日の配分
置き方を決めるには、受講者の前提知識のばらつきも見ておく必要があります。同じ設問を全員に一律で出すと、配属直後の受講者には答える手がかりが足りず、経験を重ねた受講者にはすでに知っている内容の確認になります。どこでつまずくかは受講者ごとに違うため、当日の時間をどの論点に使うかは、事前の回答を見てはじめて判断できるのです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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後回しになりやすい事前と事後
モジュール単位で増える準備
事前と事後にも機会を置くとなると、用意するものは当日の資料だけでは足りません。研修コースのモジュール単位に、設問と、答えに返す説明を組み立てることになります。ニーズ調査から講義、実施後のフォローまでを一人で受け持つ担当者にとって、この作業量は小さくありません。
更新のたびに戻る作り直し
用意した設問を、そのまま使い続けられるわけでもありません。扱う製品や社内の手順が変われば、設問も、返す説明も合わなくなります。更新のたびに同じ作業を繰り返すため、前回の設問を使い回すか、事後の機会を省くかという選択になりやすいのです。
下ごしらえが軽くなり、続けやすい運用へ
AIが引き受ける下ごしらえ
手元にある製品資料や手順書から、設問と、答えに返す説明の初稿までを用意する作業は、AIが引き受けられる範囲に入ってきました。講師がゼロから書き起こす分量が減るため、当日の資料をつくる時間の中で、事前と事後の設問まで一緒に組み立てやすくなります。ここで軽くなるのは下ごしらえの部分です。その設問が実際の業務に照らして適切かを判断し、公開を認める工程は講師に残ります。
期間を空けて出し続ける運用
一度用意して終わりにせず、期間を空けて出し続ける運用も、続けやすくなります。これまでは事後の設問をつくり直す負担が大きく、研修の終わりとともに機会が途切れがちでした。準備にかかる負担が下がれば、同じ論点を時期をずらして扱う、状況を変えてたずね直すといった調整にも手を回せるようになるのです。どの論点を残すかを決めるのは、引き続き講師です。
当日で完結する研修から、前後に続く流れへ
割れた論点に寄せる当日の時間
事前の回答が手元にあると、当日の組み立て方が変わります。全員に同じ説明を最初から行うのではなく、回答が割れた論点に時間を寄せられます。説明を聞く時間が短くなる分、受講者が判断を求められる局面に向き合う時間を長く取れるようになるのです。
研修後にもう一度たずねる機会
研修が終わった後にも、同じ論点をたずねる機会を置けます。数週間後に短い設問へ答えてもらえば、受講者は学んだ内容を自分で取り出す経験をもう一度重ねられます。ただし、そこから講師が読み取れるのは、その設問に対する答え方までです。現場で実際に動けるかどうかは、上司の関わり方や業務の進め方にも左右されます。
重要なポイント
アクティブラーニングの進め方を考えるとき、選ぶ手段や当日の順番に目が向きがちです。ただ、受講者が学んだ内容を自分の言葉で取り出す機会を、事前、当日、事後のどこにどれだけ置くか。この配分も、研修が終わった後に何が残るかを左右する要素の一つです。手段を選んだ時点では、この配分はまだ決まっていません。
進め方を見直すときの手がかりは二つあります。一つは、アウトプットの機会が当日に偏らず、事前と事後にも置かれているかという点です。もう一つは、その機会を毎回用意し続けられる分量に収まっているかという点。設計として整っていても、続かない分量であれば、いずれ当日だけの形に戻ります。