「AIに仕事を奪われる」不安より大きいもの
ATD×UMU調査で見えた、AI人材育成のリアル 第2回

ATD×UMU グローバル共同調査-2

 

前回(第1回)では、ATD(Association for Talent Development)とUMUが共同で実施したグローバル調査から、AIを「毎日使っている」人は増えたものの、「使いこなしている」と言える人はまだ一部にとどまるというギャップについて紹介しました。第2回となる今回は、その背景にある、現場で働く人たち自身の意識に目を向けます。

 

「仕事が奪われるかもしれない」という不安は、実在する

AIが台頭してきた当初と変わらず、AIに対する不安の声は決して小さくありません。同調査では、学習者の半数以上が、AIによって自分の役割が奪われることについて「多少」あるいは「非常に」懸念していると回答しています。TD専門家側でも、60%以上がAI導入の際の職の喪失を「大きな懸念」または「多少の懸念」としており、これは働く人にとって現実的なテーマだといえます。

地域によって温度差はあり、米国ではTD専門家の27%が職務消失の可能性に強い不安を感じている一方、日本は15%、中国は15%にとどまるなど、受け止め方には違いも見られます。

 

それでも、「学びたい」という意欲の方が大きい

一方で、「AIについてさらに学ぶことに興味があるか」を尋ねると、約7割の人が「非常に興味がある」または「極めて興味がある」と回答しました。この関心の高さは地域を問わず共通しており、日本75%、中国72%、米国68%と、いずれも高い水準です。

さらに、77%の人が「自分の仕事にAIを取り入れる新しい方法を模索している」と回答しました。興味深いのは、AIに関する正式な研修を受けたと答えた学習者が59%にとどまっている点です。

 

つまり、多くの人が、会社から用意された研修を待つのではなく、自ら情報を探し、試行錯誤しながらAIとの付き合い方を模索しているのです。実際、AIプロンプトの作成方法についても、eラーニングコースだけでなく、オンライン記事やブログ、試行錯誤を通じて学んだと答えた人が3割前後に上りました。

 

「学びたい人」に応える環境があるかどうかが、次の競争優位性になる

同調査では、この現場の学習意欲について「組織が提供する正式な研修のペースを上回っている」と指摘されています。この「ボトムアップの勢い」は、地域を問わず一貫して見られる傾向だといいます。

一方で、組織側の体制整備には差があります。AIに関する社員研修を「優先事項」としている組織の割合は、米国・中国では61%である一方、日本では33%にとどまりました。学びたい人がすでにこれだけいるにもかかわらず、それを受け止める研修体制が追いついていないことがわかります。しかし、これは裏を返せば、今すぐ着手できる伸びしろでもあります。

 

次回は、「使いこなす」ための次のステージについて

不安があるからこそ慎重に、しかし学びたいという意欲があるからこそ前向きに。この両方の声を無視せず、現場の意欲を組織としてどう受け止めるかが、これからのAI活用を左右していきます。次回(第3回)では、「使えている」状態から「使いこなす」状態に進むために、組織として何ができるのかを、調査のアクションプランをもとに具体的に見ていきます。

 

今回ご紹介した内容は一部です。中国・日本・米国のTD専門家500名と学習者479名、合わせて979名を対象にした調査結果全体や、AI活用を次の段階に進めるための具体的なアクションプランは、ホワイトペーパー「AIリテラシーを世界標準へ」で詳しくご覧いただけます。

 

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