営業の合宿研修で扱う題材が、一般論に寄っていく理由
年に一度あるかどうかの営業の合宿研修を終えたあと、参加者の感想は良いのに、何が変わったかを聞くと答えが人によってばらばらになることがあります。扱った題材はどれも大事な話でしたが、大事な話ほど、その場にいる全員に当てはまる一般的な内容になりやすいのです。
なぜ題材は全員に共通する話になるのか
機会が貴重なほど内容は一般に寄る
合宿という形をとる研修は、年に一度あるかどうかの機会です。会場と宿泊の費用がかかり、参加者全員の業務も同じ日程で止まります。それだけの条件がそろうからこそ、主催を担う側は、この機会にしか扱えないものを選ぼうとします。ところが、全員を同じ時間に集めた場で扱える題材は、全員に当てはまる話に限られるのです。商談の進め方や、自社の強みの伝え方。どれも外せない題材ですが、外せないと言えるのは、誰にとっても外れていないからです。一方で、参加者が実際に詰まっている場面は一人ずつ別々です。初回の面談で相手の関心がどこにあるか読み切れない人もいれば、価格の話に移った瞬間に言葉が出なくなる人もいます。こうした場面は共通していないため、題材を選ぶ段階で外れていきます。結果として、一年でいちばん高くついた時間が、一年でいちばん一般的な内容に使われることになります。
一人分の場面は見学になる
例えば、ある参加者が前の週の商談で言葉に詰まった場面を持ち込んだとします。その場面を全員の前で扱えば、同じ相手に当たったことのない参加者にとっては、見学の時間になります。だから主催の側は、共通の話を選ばざるを得ません。これは設計の失敗ではなく、全員を同じ時間に集めたことから来る必然なのです。
集まった時間に何を残すか
題材を共通性で絞り込むと、残るのはどの参加者にも当てはまる話です。そこで、選び方を逆にしてみてください。参加者に、直近で答えに詰まった場面を一つずつ持ち寄ってもらい、その一覧を先に作ります。そのうえで、当日にしか扱えないものと、後からでも届けられるものに仕分けます。なお、合宿の日程を勤務時間としてどう数えるか、参加を任意とするか、費用をどこが負担するかは、このページの範囲外です。労務の判断が要る部分には触れずに、当日に何を扱うかだけを扱います。
共通の話は、集まらなくても届けられます。資料でも動画でも、読む側の都合に合わせて渡せます。反対に、集まった時間にしかできないのは、話した相手がその場で反応を返してくれることのほうです。この線引きを先に引くと、当日に扱える中身が変わります。
残る問いは、各自が持ち込んだ場面を扱っても、他の参加者が見学にならない形を作れるかどうかです。一人ずつ順番に前へ出す形では、人数が増えるほど待ち時間が長くなります。全員が同時に、それぞれ違う場面を進められる手段があるかが分かれ目になります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
各自の場面をそのまま練習の題材にできます
シナリオの個別設定
UMU AIロープレでは、練習で相手が返してくる反応を、あらかじめ設定できます。初回の面談で関心が読めない相手、価格の話に入ると口数が減る相手など、参加者が持ち寄った場面に合わせて別々の顧客像を用意できます。共通の題材に寄せ直す必要がないため、持ち寄った場面がそのまま練習の対象になります。誰の場面を選ぶかで迷う時間も、そこで減らせます。
集まらずにできる練習を、日常に置けます
日程を合わせずに始める練習
練習の相手役をAIが担うため、日程を合わせる必要がありません。移動中や訪問の合間に携帯端末から始められ、同じ場面を何度やり直しても、付き合わせる相手がいません。合宿の当日までに各自が場面を試しておけば、集まった時間は、試した結果を持ち寄るところから始められます。事前に配った資料を読み合わせる時間も、そこで空きます。
全員が同時に、自分の場面を練習できます
同時実施と個別のフィードバック
参加者の人数が増えても、練習を一人ずつ順番に回す必要はありません。全員が同じ時間に、それぞれ違う場面を進められるのです。練習が終わると、どの段階で何が起きたかを示す振り返りが個別に返ります。なお、AIとの練習で置き換わるのは、相手役と採点の部分に限られます。何を題材にするかを決めることも、練習のあとに参加者へ話しかけることも、主催を担う側の仕事のままです。
集まる場を残したまま練習を移した企業
食品スーパーを営む企業
日本で食品スーパーを営む企業では、店舗を預かる責任者と売り場の担当者に向けて、集合の形で行う育成が長く中心に置かれていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、集まって行う研修に、店舗にいたまま進められる対話練習を重ねる形へと改めました。
対応の難しい相手との会話を安全な環境で何度でも試せる部分が、日々の勤務のほうへ移りました。成果を数値で公表した記録はなく、ここに書けるのは組み替えの中身までです。
集まる場を手放さずに、集まらなくても進められる部分を切り分けた例と言えます。
生命保険を扱う大手企業
生命保険を扱う大手企業では、紙の資料と集まって行う講習を軸に、知識を入れる形の学習が長く中心でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、覚えた内容を口に出して試す練習を、担当者が自分の持ち時間の中で進められる形に広げました。
同社が目指したのは、覚える形から試す形への転換と、記録をもとに直属の上長が助言を返せる状態でした。数字の公表がないため、ここでは変化の中身を説明にとどめます。
集めて渡していた部分と、集まった時間に返してもらう部分を、それぞれ別の場所へ置き直した形です。