営業トークの講座で覚えた言い回しは、誰の言葉に聞こえますか
営業トークの講座では、そのまま使えそうな言い回しが示されます。よくできた言い方ほど、持ち帰ってすぐ試したくなるものです。ところが、同じ言葉でも話す人が替われば、相手に届くときの響きは変わります。この違いがどこで生まれるのか、言葉の出どころという一点から見ていきます。
自分が言うと浮いて聞こえるのはなぜか
二、三回でやめてしまう
講座の直後は、覚えた言い回しをそのまま試す人が多いものです。ところが二、三回で使わなくなります。手応えがないというより、口に出した瞬間に自分の声から浮いて聞こえるからです。例えば、営業トークの講座に出た翌日、価格の話を切り出す言い方をそのとおりに使ってみたとします。その一言だけ声の調子が変わって続く言葉が出てこず、相手も少し間を置いてから返してきます。受講した人どうしで話せば、同じ回に出た三人が同じ場面で同じ言い方を並べることにもなるでしょう。言い回しの中身に難があるわけではありません。むしろ、よく練られているからこそ、そのまま持ち帰りたくなります。噛み合わなくなるのは、その言葉を支えていた持ち主が別にいる、という一点なのです。
言い回しの前後にあるもの
示されるのは言い回しそのものです。その言い方が成り立っているのは、話し手が、前後の間の取り方や次の一言まで自分のものとして持っているからです。この部分は、聞いて書き取ることができません。講座は言い方を示す場であって、受講した人がそれを口にしたときの届き方までを引き受ける場ではないと言えます。役割が違うだけの話です。
借りた言い回しを自分の言葉に置き換える
ある言い方が自分のものになるのは、意味を理解したときではありません。普段その人が使っている語や語順に置き換えられ、口に出しても引っかからない状態になったときです。営業トークの講座で得た言い回しは、この置き換えの出発点として扱えます。手を入れずに使うと、出どころのほうが先に相手へ伝わってしまうのです。
置き換えは、黙って読み返すだけでは終わりません。自分の声で言ってみると、書き言葉のまま残っている部分や、普段は口にしない語がすぐに分かります。読んだときには自然だった一文が、声にすると長すぎることもあります。
では、置き換えた言い方を誰に向かって試せばよいのでしょうか。相手役を引き受けてもらうには相手の予定が要り、言い直せる回数も限られます。人前で言い直すこと自体をためらう場合もあります。ここに、練習の道具を考える余地が出てきます。
言い直す回数を、自分の側で決められます
言い直しから入れる練習
置き換えた言い方が自分の声に乗るかどうかは、口に出した回数でしか分かりません。UMU AIロープレなら、相手の都合を待たずに練習へ入れます。同じ場面を続けて通し、引っかかった一言だけを重ねられます。人に聞かれていると飛ばしてしまう部分も、ここでは残さず試せます。
相手の受け取り方が、その場で見えます
言葉以外の反応が返る
AIの相手役は、こちらの言い方に応じて、表情や間の置き方まで返してきます。借りたままの言い回しを出したときと、置き換えた言い方を出したときでは、返り方が変わります。自分の耳だけでは分からない部分を、相手側の様子から確かめられるのです。
どこまで自分の言葉で運べたかが見えます
運び方が残る記録
点が付くのは、決められた言い方を口にできたからではありません。その場面をどの順で運んだのかが、段階ごとに残ります。借りた言い回しをそのまま置いた部分と、自分の言葉で組み立てた部分の差を、あとから見返せます。AIが引き受けられるのはこの記録までで、置き換えた言い方を実際の顧客の前でどう使うかは、受講した本人と、育成に携わる立場の人が決める部分です。講座や資格、公的な制度がどのような位置にあるのか、どれが優れているのかについては、ここで答えを出す立場にありません。
用意された言い方を、口に出して試した例
生命保険・自社の営業手順
国内大手の生命保険会社では、それまでの研修が商品の知識と資格の取得を軸に組まれていました。顧客との距離をどう縮めるかといった、対話そのものに関わる部分を鍛える手立ては手薄でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
同社は、顧客開拓からアプローチ、提案へと進む独自の営業プロセスを体系化していました。ただ、その進め方を対話のなかで自然に運べるまでには開きがありました。
そこで、スマートフォンを使い、場所を選ばずにAIと対話できる環境を用意しました。営業プロセスの要になる部分を、何度も通せる練習の場面として組み直しています(出典:導入企業へのヒアリング)。
本部が定めた進め方を、営業職員が自分の言葉になっているかを声に出して確かめる場に置き換えた点は、このページで見ている問題と重なります。公表されている数値がないため、ここでは成果の数字を挙げません。
製薬・管理職向けの対話練習
グローバルに事業を展開する製薬企業では、広く知られたコーチングの枠組みを社内の指導に取り入れていました。ただ、その枠組みは資料の上で追えても、一対一の面談でそのまま口に出せる形にはなっていませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこで、その枠組みを、実際に何度も練習できる対話の形に分解しました。比較的経験を積んだ管理職を対象に、面談の場面での対話練習を行いました。
外から借りた枠組みを、自分の言葉になっているかを声に出して確かめる形に置き換えた点で、本ページの論点と重なります。この事例では成果の数字が公表されていないため、数値は扱いません。