営業のコミュニケーションツールで、相談が短くなる理由
営業のコミュニケーションツールを増やしたあと、やり取りの件数そのものは伸びています。ところが中身は、確認と連絡が大半を占め、込み入った相談はあまり出てきません。短い文で足りる用件ほど流れやすく、一行にまとまらない話は、書き出す前に止まってしまうのです。
連絡は増えたのに相談が増えないのはなぜか
短く書ける用件だけが通ります
チャットのような形式は、短く書いて短く返すのに向いています。だからこそ、営業部門から社内に持ち出される相談も、短く書ける範囲のものに寄っていきます。あの資料はどこにあるか、明日の午後は空いているか。こうした用件なら、数分で片づきます。一方で、この案件をこの先どう進めるべきか、先方の断り方をどう受け止めればよいのか。この種の話は、一行では書けません。書き出しの一文を決めようとしても、まだ自分の中で順番が固まっていないため、途中で手が止まります。そのあいだにも画面には別の用件が流れ、書きかけの文面は送られないまま消えます。社内で言葉になるのは、はじめから短く書けた話のほうに寄ります。込み入った相談は、次の訪問が終わったあと、あるいは数字の動きが鈍ってから、ようやく話題にのぼるのです。
書かれない相談は数えられません
営業のコミュニケーションツールを通ったやり取りの件数は、後から集計できます。しかし、持ち出されなかった相談は、どこにも記録が起きないため、不足として数え上げる手立てがありません。件数が伸びている時期ほど、社内のやり取りは活発に見えます。育成を担う担当者の手元にそろう数字も、その見え方を裏づけます。足りていないものだけが、数字の外側に置かれたままになると言えます。
相談は、声にしてから形になります
込み入った話は、書く前に一度声に出してみると輪郭が出てきます。頭の中では、どこから話すか、何を先に確かめたいのかがまだ固まっていません。声にしてみると、決まっていない箇所が自分でも見えてきます。そこまで来てから文字にすれば、二、三行で足ります。書けないのは、言葉になる前の状態にあるからです。
話す相手が見つかっても、まとまらない話を最後まで聞いてもらう場面は多くありません。半分ほど話したところで、相手が要点を先に言い当ててくれます。その場の話は前に進みますが、自分の言葉で頭から組み立てる機会は、そのたびに通り過ぎていきます。
短く書いて速く返すための道具は、すでに手元にそろっています。足りないのは、まとまらない話を途中で止められずに説明してみる場のほうです。この場を、人の予定に合わせずに用意できるかどうか。ここが、営業のコミュニケーションツールを見直すときの分かれ目になるのです。
まとまる前の話を声に出して確かめられます
予定を合わせずに始められる
UMU AIロープレを用いると、AIが聞き手を務めます。日程を押さえる段取りが挟まらないため、思いついた時間にそのまま話し始められます。順番が固まらないまま口に出し、途中で言い直しても構いません。育成を担う担当者は、話す機会そのものを、集まりの予定とは切り離して用意できます。
説明しきるところまで一人で到達できます
筋書きどおりに進まない対話
AIの顧客役は、受け答えに応じて返し方を変えます。用意した順番のまま進むとは限らず、途中で別の論点が挟まることもあります。そこで話を組み立て直し、言い終えるところまで一人で運べます。込み入った話ほど、この到達までの経験が要ります。
次に何を話すかが、その場で分かります
個別の見立てと次の一手
話し終えたあと、どの部分で説明が途切れたのか、次はどこから試すとよいのかを個別に確認できます。全体的によかった、という言葉で終わらないため、社内へ持ち出すときの一文を組み立てる材料になります。ここで用意できるのは、話してみる機会と、その記録までです。相談の中身をどう扱い、誰と決めるかは、これまでどおり組織の側で判断することになります。なお、記録をどこまで残し、どこへ共有するかの線引きは、社内で定められた手続きと所管部署の判断による領域です。このページでは、その読み方を示していません。
声に出す場から整えた二つの事例
製薬・リーダー着任期の育成
国内で医薬品を扱う大手企業では、チームリーダーに着任したばかりの層が、自分の担当先を持ったままメンバーの支援も引き受ける形になりました。1on1で使うコーチングの対話は、研修で扱ってから現場でこなせるようになるまでに、相応の期間を要していました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、1on1で交わす対話の型を、AI相手に何度も試せるようにしました。研修は複数のセッションに区切り、段階を追って進めています。
整理しきれていない話を、相手の予定を待たずに口に出せる場が置かれた点が、このページで扱った見立てと重なります。到達した割合の数字はここでは引き写さず、進め方だけを取り上げました。
生命保険・対面機会の減少
生命保険を扱う国内でも屈指の規模の会社では、営業担当者が各地の拠点に散らばっており、顧客と対面で会う機会そのものが以前より減っていました。研修は紙の教材と集合形式が主で、全員を継続して見ていく形はとりにくい状態でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこで、知識を受け取る形式から、口に出して試す形式へ組み替えました。学ぶ材料が現場へ届くまでの速さと機会を広げ、練習の記録を見ながら直属の上長が具体的な助言を返せるようにしています。
拠点に人が集まる日を待たずに話す機会を持てるようになった点が、このページの筋道につながります。公表された数値の引き写しは避け、体制の組み替え方だけを紹介しています。