その営業指導の仕事、部下が真似できる形になっていますか
営業指導の仕事を長く担ってきた方ほど、商談中の判断は体に入っています。だからこそ助言は「自分ならこうする」という形で出ます。受け取る側には、それが基準なのか好みなのかを見分けられません。部下が同じ判断にたどり着けないのは、経験が足りないからではなく、その経験を他の人が使える言葉にする作業が残っているのです。
助言のあと、部下の商談は何が変わったのか
「自分ならこうする」で終わる助言
営業指導の仕事について調べると、募集や待遇の情報に行き当たることもあります。ここで取り上げるのは、指導そのものの中身と進め方です。営業マネージャーは、自分で成果を出してきた人です。商談中の判断はすでに体に入っており、どこで話を止め、どちらの論点を先に出すかを迷う場面は多くありません。そのため部下に助言するときも、言葉は自然と「自分ならこうする」という形になります。ここに落ち度はありません。体に入っているのは、経験を積んだ結果なのです。ところが受け取った部下は、その助言をどう扱えばよいか決めきれません。守らなければならない基準なのか、マネージャー個人の好みなのか、言葉の形からは区別がつかないためです。基準だと受け取れば、成果に関係のない部分まで守ろうとします。好みだと受け取れば、押さえるべき論点まで自分の裁量で外してしまいます。どちらに転んでも、次の商談で同じ判断が再び起きるとは限りません。
その場の納得では確かめられません
たとえば、商談の直後に「今日は結論を急ぎすぎたね」と伝えたとします。その場では部下もうなずき、理由まで分かったように見えるでしょう。ところが翌週、相手が変わった商談で、また同じところで結論を急いでいます。その場の納得は、次の場面で同じ判断ができることまでは保証しません。
経験を、部下が使える基準に落とし込む
その場面で自分が何を見たのか、何と何を比べたのか、なぜそちらを選んだのか。この三つを分けて言葉にします。分けるのは、見たものが違えば同じ判断にたどり着かないからです。何を見るかを伝えずに結論だけを伝えると、部下は別の材料から別の結論を出します。
言葉にできたかどうかは、相手が別の場面で同じ判断を再現できるかで見ます。その場で納得したかどうかでは確かめられません。同じ論点を、顧客の反応を変えて二度三度置いてみると、基準として伝わったかが分かります。
どちらを選んでも成果が変わらない部分は、好みとして明示したうえで伝えます。基準として伝えると、部下は不要な制約まで守ることになります。この切り分けを、指導のたびに一人で続けられる仕組みが自社にあるでしょうか。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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判断の基準を、採点の土台にできます
自社の商談フレームの組み込み
UMU AIロープレを活用することで、自社で定めた商談の段階と、段階ごとに見るべき点を、AIの採点基準として設定できます。マネージャーが言葉にした判断の分かれ目が、そのまま練習の採点項目になります。部下は毎回同じ基準で採点を受けるため、どこを直せばよいかを自分で読み取れます。
場面を変えて、再現できるか確かめられます
複数の顧客像での反復練習
役職や性格、話し方の違う顧客像を、いくつも並べて用意できます。慎重な相手にも関心の薄い相手にも、同じ論点で練習を重ねられます。相手が変わっても同じ判断にたどり着けているかを、マネージャーは練習の記録から確かめられると言えます。
重く見る観点は、自分たちで決められます
評価の重みづけの設定
段階ごとの配点や観点は、自社の方針に合わせて設定できます。成果に差が出ない部分の配点を下げれば、好みが基準として伝わることを防げます。AIが担うのは、反復練習の相手役と採点の統一までです。何を基準とし、何を好みとして残すかを決めるのは、営業マネージャーの仕事です。言葉にしきれない領域は残りますが、素質ではなく、まだ言葉になっていないものとして扱えます。
指導の基準づくりに取り組んだ組織の例
製薬企業の営業組織
日本市場で事業を展開する製薬企業では、中堅・ベテランのMRが豊富な経験を持ちながら、日々の業務が忙しく、大量のOJTや指導を担う余裕がありませんでした。
そこでAIロールプレイを活用したトレーニングを導入し、若手MRが安全な環境で実際の訪問シーンを高い頻度で練習できる仕組みを構築しました。
業種は異なりますが、経験を持つ側が指導のすべてを引き受けられないという状況は、営業指導の仕事にも重なります。
生命保険会社の営業組織
日本最大級の生命保険会社では、営業担当者が全国の拠点に分かれて働いており、集合研修だけで全員を継続的にカバーすることが難しい状況でした。
同社が目標に置いたのは、可視化された研修成果をもとに、直属のマネージャーが精度の高いフィードバックを行える状態です。
業種は異なりますが、指導の精度を担当者ごとの記録に結び付けるという考え方は、営業指導の仕事にも当てはまります。