マイクロラーニング配信で問われる、学習単位の区切り方
マイクロラーニング配信の仕組みが整い、業務の合間に短い学習コンテンツを届けやすくなりました。ただ、1本に何をどこまで入れるかが決まっていなければ、短く区切っても受講者の負担は変わらないのです。
マイクロラーニング配信を成り立たせる条件
配信が担うのは、届けるところまで
マイクロラーニング配信とは、業務の合間でも取り組める短い単位に学習内容を区切り、スマートフォンや社内のポータルを通じて継続的に届ける進め方です。5~10分という時間の目安が語られることも多く、届ける手段も選びやすくなりました。ただ、配信という言葉が指すのは、コンテンツが受講者の手元に届くところまでです。届いた1本で何を扱い、受講者に何を求めるかは、手段とは別に決めておく必要があるのです。
1本に収める学習単位の基準
では、1本をどう区切ればよいのでしょうか。基準になるのは何分に収めるかではなく、1本で扱う学習ポイントを1つにとどめ、受講者がその場で答えられる範囲に収まっているかという点です。製品知識研修であれば、主要な3製品の違いを1本にまとめず、製品ごとに分けて、その違いを自分の言葉で説明する場面を添えます。この形であれば、受講者は移動中の10分でも1本を終えられます。
短さと学びやすさは、別のもの
短く割っても、情報量は変わりません
10分の動画に判断基準が3つ並んでいれば、受講者はどれを覚えるべきかを自分で切り分けながら進むことになります。長い研修を時間で割っただけでは、1本あたりの情報量は変わりません。短く区切ることが効くのは、1本で扱う対象が絞られているときに限られます。学習内容の総量は変わらないため、区切る位置を決めないまま本数だけを増やしても、受講者の負担は分散されないのです。
一覧に残らない、学ぶ順序
もう一つの観点が、届ける順序です。1本ずつ独立して届く形では、前提知識の積み上がりが見えにくくなります。新人向けの入門編と管理職向けの応用編が同じ一覧に並んでいれば、受講者はどこから手をつけるべきか判断できません。研修マネージャーが年間計画で引いた階層ごとの順序も、配信の一覧に残らなければ、受講者には伝わらないと言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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区切り方まで手が回らない配信の運用
まず優先されるのは、当日の実施です
研修マネージャーは、年間の研修計画、受講率の管理、経営層への報告を同時に抱えています。コース設計を兼任している場合、限られた時間でまず優先されるのは、予定した研修を滞りなく実施することです。既存の資料をページの並び順のまま区切って配る運用に寄り、1本ごとに何を扱うかまでは決めきれません。
更新のたびに増える組み直し
制度や製品の内容が変われば、関係する1本を探し出し、区切りと順序を組み直すことになります。本数が多いほど、この作業は積み残っていきます。手を入れられないまま時間が経つと、配信の一覧には古い区切りのままのコンテンツが並び続けるのです。
素材を分ける作業から、区切りの判断へ
下書きづくりを、AIが引き受けます
既存のマニュアルや製品資料を学習単位に分け、それぞれに説明の下書きを添える作業には、まとまった時間がかかります。この準備作業をAIが引き受けると、研修チームが一から書き起こす必要は薄れます。空いた時間を、区切った位置が業務の実態に合っているか、受講者の前提知識に対して難しすぎないかという確認に充てられるようになるのです。どこで区切るかを決め、内容を確かめて公開を認める工程は、これまでどおり人の側に残ります。
無理のない難易度の段階づけ
難易度の段階づけも同じです。前提知識の少ない受講者には補足の説明を添え、進むにつれて求める判断を重くしていく並べ方は、1本ずつ手作業で組むと負担が大きくなります。整理にかかる手間が軽くなれば、研修チームは同じ工数のままでも、段階を踏んだ並びに手をつけやすくなると言えます。並びが妥当かどうかを判断する作業がなくなるわけではありません。
時間の区切りから、学習の単位へ
1本ごとに完結する学習
配る単位が学習ポイントごとに変わると、受講者の手元の一覧も変わります。1本で扱う対象が絞られ、答える場面が添えられていれば、受講者は再生して終わらせるのではなく、その場で自分の理解を確かめながら進みます。移動中や訪問の合間に1本を終えたという区切りも、はっきり残ります。
確かめられる範囲には限りがあります
研修マネージャーの側も、どの学習単位で理解のずれが集まりやすいかを確かめやすくなります。次に区切りを見直す場所も、そこから判断できるのです。ただし、そこから分かるのは、用意した設問と条件のもとでの学習の状況までです。受講者が現場で同じ判断をできるかどうかは、業務の進め方や上司の関わり方にも左右されます。
重要なポイント
マイクロラーニング配信を見直すとき、先に検討したくなるのは届ける手段や1本あたりの時間です。ただ、受講者の負担を分けるのは、1本で扱う学習単位をどこで区切り、どの順で届けるかという設計の側です。手段だけを整えても、届いた1本の中身が変わらなければ、受講者にできることは増えません。
自社の進め方を確かめる手がかりは二つあります。一つは、1本が学習ポイント1つに絞られ、その場で答えられる範囲に収まっているかという点です。もう一つは、区切りと順序を改定のたびに組み直せるかという点です。一度作り切る前提より、続けられる範囲で組んでおくほうが、配信は機能しやすいと言えます。