医療機器の営業のノルマが、社内の段取りに左右される理由
医療機器の営業では、ノルマは一人ひとりの名前で管理されます。ところが一件を前に出そうとすると、使い方を説明する担当や、保守を受け持つ担当の予定を押さえる必要が出てきます。数字は一人に付きますが、仕事は一人では終わりません。この差が、案件の進みの遅さとして表に出るのです。
案件が止まる場所は、なぜ社外ではないのか
日程だけが過ぎていく
顧客から良い感触を得ても、その先の一件は自社の予定に合わせて動きます。使い方の説明に立ち会ってもらう日、保守の条件を確かめてもらう日、学術的な問い合わせに答えてもらう日。どれも相手の本来業務の合間に入るため、希望どおりの日程にはなりません。しかも、依頼をメールで送った時点で伝わったつもりになり、返事がないまま一週間が過ぎることもあります。割り当てられたノルマは自分の名前で見られていますから、催促するたびに引け目を感じ、確認の一言が遅れてしまうのです。なお、ここでは医療機器そのものについて説明できる範囲や、決まりごとの中身には立ち入りません。取り上げるのは、同じ会社で働く人にどう伝えるかという部分だけです。
ある水曜日の午後
例えば、こんな場面があります。水曜の午後、担当者は病院での打ち合わせを終え、翌週の同席を説明担当に頼もうとしました。相手は別件で外出中で、戻りは金曜です。メッセージには用件だけを短く書き、こちらの締め切りは書きませんでした。金曜に返ってきたのは、来月なら空いているという返事です。一件は一週間ではなく、一カ月動かないことになりました。相手を責める話ではありません。頼み方のなかに、日程を決めるための材料が入っていなかったと言えます。
社内への依頼は、どこで技術になるのか
同じ会社の相手に必要なのは、何を、いつまでに、なぜ必要なのかという情報です。このうち「なぜ」が抜けると、相手は自分の予定のどこに入れてよいか判断できません。順番を決めてもらうには、こちらの事情を相手の仕事の言葉に置き換える手間がかかります。
顧客との会話は練習の題材になりますが、社内でのやり取りは「調整」と呼ばれ、技術として扱われません。そのため、段取りが進む人と進まない人の差は、本人の性格の違いとして片づけられがちです。実際には、頼む順番と言い方が変われば、返事の速さも変わります。
社内の相手は毎回同じ人です。うまく伝わらなくても次の機会があると考えてしまい、その日のやり取りは振り返りの題材になりません。顧客との商談のように、同じ場面をもう一度作って言い方を変えられる場所があるかどうか。ここが、練習の道具に確かめたい点になります。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
頼みたい相手を、そのまま相手役にできます
社内向けの場面設定
相手役の立場や口調、その人が抱えている事情は、UMU AIロープレの管理画面から決められます。別件で手一杯の説明担当へ翌週の同席を頼むような一場面も、顧客との商談と同じように用意できます。作った場面はそのまま保存でき、チーム内で使い回せるため、うまく伝わった頼み方を持ち寄れます。後から異動してきた担当者も、同じ条件から練習を始められるのです。
相手の予定を待たずに、何度でも試せます
相手を待たない反復練習
人に頼む会話は、相手がその場にいなければ試せませんでした。UMU AIロープレはスマートフォンからも動くため、移動中でも、席に戻ってからでも、思いついたときに一人で始められます。誰の時間も使わないので、同じ依頼を言い方を変えて何度か試すことにためらいがありません。気兼ねなく繰り返せることが、本番での一言の落ち着きにつながるのです。
伝わらなかった場所が、その場で分かります
段階ごとの評価
練習を終えると、話の切り出し方から締め切りの伝え方まで、段階ごとに評価が出ます。見ているのは、相手が判断するために必要な情報を渡せていたかどうかです。どこで情報が足りなかったのかが分かるため、次の一回で直す場所を一つに絞れます。AIに任せられるのは、この繰り返しと評価までです。誰に頼むのが早いかという判断や、日ごろの関係づくりは、引き続き人が受け持ちます。
顧客以外との会話を練習に入れた例
眼鏡チェーンの運営企業
全国に眼鏡店を構える企業では、エリアを束ねる立場を任される候補者に、聞く力と伝える力をどう身につけてもらうかが課題になっていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、次のリーダーを担う人が、場所や時間帯を選ばずにコーチングと説明の進め方を繰り返せる環境を整えました。取り組みは5カ月にわたって続きました。
数値での成果は公表されていません。それでも、練習の相手が顧客ではなく同じ会社で働く人であっても、同じやり方で鍛えられることを示した取り組みです。医療機器の営業とは扱う商材が違っても、頼み方と伝え方が仕事の進みを左右する点は変わりません。
生命保険の営業組織
日本の大手生命保険会社では、営業担当者が練習に手をつけにくい状態が続いていました。相手役を頼めばその人の時間を使うことになり、申し訳なさが先に立ちます(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、相手役を人ではなくAIが務める形に変えました。予約も日程の調整も要らないため、同じ問いかけを何度繰り返しても気兼ねがありません。現場の担当者にも、管理職にも、それぞれの場面が用意されています。
こちらの取り組みでは、成果を表す数字は開示されていません。ただ、人に頼むという一点が練習の回数を決めてしまう形は、社内へ依頼するときの引け目とよく似ています。保険と医療機器では売るものが違っても、その一点は重なります。