アクティブラーニングの課題解決型で使う、二種類の課題
課題解決型の研修では、受講者がグループで課題に取り組み、案を発表します。進行が滞ることは多くありません。ただ、その課題が学習のために用意されたものか、まだ答えの出ない業務のものかで、研修の前に決めることは変わるのです。
課題解決型の進め方と、二種類の課題
受講者が課題から学ぶ形式
アクティブラーニングの課題解決型は、先に答えを講義で渡すのではなく、受講者が課題に取り組む過程で必要な知識を確かめていく進め方です。企業研修では、少人数のグループで検討し、最後に案を発表する形が多く見られます。講師が正解を示す時間は短く、受講者どうしの対話が中心になります。研修マネージャーにとっては、当日の進行よりも、何を課題として配るかが準備の中心になります。
用意された課題と、業務の課題
その課題は、性質の違う二種類に分かれます。一つは、学習のために用意された課題です。あらかじめ想定した答えがあり、判断に必要な情報も課題の中にそろえてあります。もう一つは、現場でまだ答えが出ていない業務上の課題です。取引先との条件交渉や、手順の見直しのように、社内でも見解が分かれている題材が該当します。どちらが優れているという話ではなく、その回で何を確かめたいかによって選ぶものです。
使う課題で変わるのは、進行と結論の扱い
読みやすい進行と、答え探し
学習のために用意された課題は、進行が読めます。想定した答えに向かって議論が進むため、時間内に収まり、どこでつまずいたかも後から追えます。一方で、受講者の側からは、講師が期待している答えを探す作業になりがちです。手元の情報だけで結論が出る以上、現場の判断に伴う迷いは再現されにくいところがあります。
結論を引き取る先の有無
営業部門向けの回で、社内の方針がまだ固まっていない取引条件を題材に配ると、受講者の姿勢は変わります。ただ、判断に必要な情報は課題の外にあり、研修の時間内に結論まで届かないことも少なくありません。そして見落とされやすいのが、出た結論の行き先です。受講者が時間をかけてまとめた案を、誰がどこで引き取るのかが決まっていないと、検討した内容は現場に返りません。次の回で同じ課題を出しても、真剣に扱われにくくなるのです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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実務の課題を使う回で、手が回らない二つの準備
情報を補って作り直す工数
業務上の課題は、そのまま配ることができません。案件記録や手順書に散らばった情報を切り出し、前提を補う作業が要ります。受講者の経験差に合わせて難易度の違う版を用意すれば、その分だけ作業も増えます。案件の状況が動けば、次の回には同じ課題をそのまま使えません。手が回らないまま開催日が近づけば、作り込み済みの課題を使い回す判断に落ち着きます。
引き取り先を決める段取り
出た案を受け取る部署や会議を、研修の前に押さえておく作業も残ります。ただ、当日の開催は引き取り先が決まっていなくても成立するため、日程調整や講師の手配に紛れて後回しになりやすいと言えます。研修の後で引き取り先を探す形になると、受講者がまとめた案は行き場を失います。
作り直しの重さから、使い分けの判断へ
改定のたびに一から作らない
AIは、社内にすでにある案件記録や手順書、事例を起点に、課題案や設問の下書きを整えます。前提や難易度の異なる版を作り分ける作業、状況が変わったときの手直しも、白紙から書き起こすよりは負担が軽くなります。同じ資料から、新人向けと中堅向けのように前提の違う版を起こすこともできます。ただし、事実関係の確認と、研修で扱える形かどうかの見極めは、人の作業として残ります。
代われない選び方と渡し先
どちらの課題を配るかは、その回の目的と受講者の経験に照らして決める判断であり、下書きの支援では代われません。出た結論をどこへ渡すかも、事業部門との調整を含む仕事です。下書きの負担が軽くなっても、この二つは研修マネージャーの手元に残ります。負担そのものが消えるわけではありません。時間の使い先が入れ替わる、と捉えるほうが実態に近いところです。
目的に合わせて課題を選ぶ設計へ
回ごとに課題を入れ替える
アクティブラーニングの課題解決型を年間の研修に組み込む際、基礎を確かめる回は用意された課題、応用の回は業務上の課題、という組み合わせを取りやすくなります。開催のたびに一から作り直す前提が薄れるためです。年間の計画を立てる段階でも、どの回でどちらを配るかを先に並べて確かめられます。
準備の時間の向かう先
課題づくりに充てていた時間の一部を、結論の引き取り先を押さえる調整に回せます。研修で出た案が現場のどの会議に上がるのかを先に決めておけば、受講者にも開始の時点でその前提を伝えられます。検討した内容が実際に扱われると分かっていれば、受講者の取り組み方も変わってきます。
重要なポイント
アクティブラーニングの課題解決型で結果を分けるのは、進め方の工夫だけではありません。その回にどちらの課題を配るかを決めた時点で、準備の中身も当日の議論の質も変わってきます。学習のために用意された課題と、まだ答えの出ていない業務上の課題は、目的が違えば向き不向きも変わります。
業務上の課題を扱うのであれば、出た案を誰がどこで引き取るのかを、研修の前に決めておくことが目安になります。受け取る部署や会議を先に押さえておけば、検討した内容は現場に戻ります。引き取り先が決まらないまま検討だけを重ねると、次に同じ形の課題を出したときに、受講者は真剣に扱いにくくなるのです。