福祉用具専門相談員の営業方法が一度で終わらない理由
福祉用具専門相談員の営業方法は、訪問先をどう回るかという話として語られがちです。ところが一件の相談を追っていくと、最初に連絡をくれた担当のケアマネジャー、次に会うご本人とご家族、納品の場に立ち会うリハビリ職や施設の職員と、聞き手は順番に入れ替わっていきます。同じ一件について、同じ内容を、立場の違う相手にそれぞれの目的で話し直すことになるのです。
聞き手は一件の中で替わります
一件の相談が進む順番
一件の流れを時間の順に追ってみてください。はじめに連絡が入るのは、担当のケアマネジャーからです。困りごとと、今どこまで話が進んでいるのかを聞き取ってから、日を置いてご本人とご家族に会います。同じ一件でも、ここで聞かれるのは毎日の使い勝手や、家の中のどこで使うのかといった話に変わるのです。その後の納品の場では、リハビリ職や施設の職員が同席し、使い方の説明が行われます。なお、制度や業務範囲の解釈を、このページで示すことはできません。ここまでを一度通すと、同じ一件を3度話していることになります。そしてこの3度は、同じ話の繰り返しにはなりません。
難しいのは話し直しの入口
3つの場面のうち、いちばん手が止まりやすいのは、2度目と3度目の入口です。前の場面で聞き取った内容のうち、相手がどこまで知っているのかは、その都度変わります。ケアマネジャーに話した順番のまま、ご家族へ同じ順番で伝えると、知りたいことの順番と合わなくなってしまいます。この入口の一言は、決まった型として持ち歩きにくく、練習の場でも扱われにくいところです。相談員として現場に立つ方が言葉を選ぶのは、話す内容よりも、次の聞き手へ渡すこの継ぎ目だと言えます。
話し直しを練習に組み込む難しさ
現場の担当者が重ねてきた練習は、相手一人とのやり取りを一度通したところで終わります。最初に相談を受ける場面だけを想定して組まれているため、そのあとに続く説明の場面は、はじめから練習の範囲に入っていません。
聞き取った内容のうち、どこをご本人とご家族に伝え、どこを納品の場に残すのかは、その場の判断に任されています。だからこそ、次の聞き手へ渡す言い方そのものを試す機会が、どこにも用意されていないのが現実です。
一件を通し終えたあとに、最初に聞き取った話が最後の聞き手まで残っていたのかを、確かめる手立てがありません。その結果、振り返りは「うまく話せた」という場面ごとの感想でとどまってしまいます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
一件を通して、相手を替えて練習できます
聞き手を替えて続ける通し練習
UMU AIロープレでは、一つのシナリオに立場の違うAIの聞き手を用意でき、相談を受ける場面から納品の場までを、順番に続けて通せます。回数の上限がないため、渡し方を変えて何度でも試せます。相手一人との一往復ではなく、一件を単位にした練習に切り替えられるのが特徴です。
聞いた話をどう渡すか、その場で試せます
質問して初めて開く隠れた事情
AIの聞き手には、こちらが尋ねて初めて出てくる事情を、あらかじめ設定できます。前の場面で聞けていないことが残っていると、次の聞き手の返答はそこで止まります。担当者は、どこを確かめ直し、何を先に伝えるべきかを、対話の途中で判断できるようになります。練習のたびに、渡す順番を組み替えられるのです。
どこで抜けたかは、通した直後に分かります
場面ごとに出る練習直後の評価
一件を通し終えた直後に、場面ごとに分かれた評価と、次に直す点を確認できます。どの場面で説明が薄くなったのかが分かるため、次に何を試すかが決まります。AIが担うのは、反復練習と評価基準の統一という部分です。ご本人やご家族との関係づくりは、引き続き人の役割になります。
訪問先で相手が替わる現場の例
体外診断分野の医療機器企業
体外診断の領域で事業を展開する医療機器企業では、研修を担当する2名が、中国法人の営業110名の育成を受け持っていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
練習の進め方は、段階を追って変わりました。対象と練習の中身を組み替えていき、第3フェーズでは現場の営業に絞って、実際の訪問での受け答えを練習の中身に据えています。
訪問先で相手が入れ替わり、現場で使う場面まで見届ける必要があるという点で、業務の構造には重なりがあります。ただし、練習を重ねたからといって、同じ進め方がそのまま成果につながると言い切れるわけではありません。