ソリューション営業の育成で、練習が提案に偏る理由
ソリューション営業の育成では、提案の場面が練習の中心になります。提案書があり、話す順番も決まっているからです。ところが提案の中身を決めているのは、その前にある聞き取りと組み立ての工程です。この二つは途中の状態が形として残らず、講評する側も手がかりを持てないのです。
練習の題材は、なぜ提案に寄るのか
形が残る工程だけが題材になる
ソリューション営業の育成を設計するとき、最初に手がつくのは提案の場面です。提案書という形があり、想定問答も文書として残っています。目の前に材料があるぶん、そのまま練習に使いやすいと言えます。講評する側も、どの説明が足りなかったのかを具体的に指し示せます。たとえば研修の場で提案の練習を見たあと、話す順番や資料の見せ方には細かな指摘が集まります。一方、その提案の中身を決めているのは、顧客から何を聞き出せたか、聞いた内容をどう組み立てたかという二つの工程です。聞き取りは会話の中で終わり、あとに残るのは商談メモの数行にとどまります。組み立てにいたっては担当者の頭の中で進むため、どの情報を軸に置いたのかは本人の言葉にもなりにくいものです。途中の状態が形として残らないので、この二つの工程は練習として取り出しにくいのです。
説明力だけが伸びていく
この偏りは、育成を設計する側の熱意の差から生まれるものではありません。練習の題材は、形として残っているものから選ばれます。提案書は残り、聞き取りの過程は残りません。結果として、提案の説明はうまくなるのに、提案そのものの精度は変わらないという状態が生まれます。手をつけるべき工程は、別のところに残っています。
残らない工程を練習の題材にするには
ソリューション営業の育成で最初に問われるのは、聞き取りの工程を単独で扱えるかどうかです。実際の商談では、聞き取りから提案までが一続きの会話として流れます。練習でも同じ流れをなぞると、時間の大半は後半の説明に使われます。工程を切り分けて、前半だけを繰り返せる形が求められます。
聞き方の良し悪しは、相手の反応にしか現れません。同僚を相手にした練習では、聞き漏らしても会話が同じように進みます。踏み込んで聞けたときと、そうでないときの違いが、その場では見えないままになります。
組み立ての工程は担当者の頭の中で進むため、あとから振り返る材料が残りません。どの情報を軸に置いたのかを本人も説明しにくく、講評する側は結果だけを見て話すことになります。途中の判断を記録に残す仕組みが要ります。
聞き取りの工程だけを練習できます
聞き取りだけのシナリオ
AIが顧客役を担うため、商談の全体を通さなくても、聞き取りの場面だけを取り出して練習できます。育成を設計する立場からは、練習させたい工程を指定してシナリオを用意できます。担当者は、質問を重ねて相手の状況を引き出すところだけを、何度でも試せます。
何を聞けたかで、相手の答えが変わります
聞いた内容で変わる返答
AI顧客は、決められた台本をなぞりません。担当者がどこまで踏み込んで聞いたかによって、返ってくる言葉が変わります。確認が足りないまま提案に入れば、相手の反応もそれに応じたものになります。聞き取りの精度が、その場のやりとりとして返ってくるのです。
どこで評価が下がったか確かめられます
改善が必要な工程の記録
練習が終わると、聞き取り、組み立て、提案のどの工程で評価が下がったのかが記録として残ります。研修を組み立てる担当の方は、個人の課題か、営業チーム全体の傾向かを確かめられます。AIが担うのは相手役と評価の記録までで、どこを重点に置くかの判断は人に残ります。
聞き取りの工程を練習に組み込んだ例
自己免疫疾患領域の製薬企業
自己免疫疾患領域の革新的医薬品企業では、新薬の相次ぐ承認で営業チームが1.6倍に拡大し、人による模擬訪問だけでは訪問時の対応力を高める練習が追いつかない課題がありました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、導入トーク、ヒアリング、情報提供、異議対応という工程ごとに課題を示す練習環境を構築しました。
その結果、専門トレーニング期間は90日から28日に短縮され、フォローアップ評価でのパフォーマンスは41.8%向上しました(出典:導入企業へのヒアリング)。工程ごとに課題が見えたことで、練習の的が絞られたと言えます。
日本大手の生命保険会社
日本大手の生命保険会社では、顧客開拓、アプローチ、提案という段階を踏む営業プロセスを体系化していましたが、プロセスを知っていることと、顧客との対話の中で実行できることの間にギャップがありました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、お客さまとの距離の縮め方といった対話の工程を、反復練習できるシナリオに落とし込みました。
その結果、全国に分散する営業職員が、スマートフォンから同じ基準で対話練習を重ねられるようになりました。担当者からは「営業職員が自信をもってお客さまへ説明できるよう、人材育成を強化していく」という声をいただいています(出典:導入企業へのヒアリング)。