証券マンの営業トークで、間隔が空いた相手とどう再開するか
証券マンの営業トークは、前回の面談が終わった位置から再開しがちです。ところが間隔が空くあいだにも、相手を取り巻く状況は、こちらの手が届かないところで動いています。前回いちばん関心を示していた話題への反応が薄い。触れていなかったことを先に尋ねられる。続きから話し始めると、その差に気づかないまま数分が過ぎるのです。
再開の数分が探り合いになるのはなぜか
前回の続きから始めてしまう
証券マンの営業トークの準備で手元にあるのは、前回の記録です。どこまで話したか、次に何を持っていくと伝えたか。準備としては正しく、その通りに切り出すことになります。ところが相手の側では、こちらが関わっていない出来事がその間に起きています。担当している仕事が変わった、別の相談を先に受けた、予定の立て方そのものが変わった。中身までは分かりませんが、何かが動いていること自体は確かです。例えば、前回いちばん時間を割いた話題から入ったところ、返事が短くなり、代わりにこちらが触れていなかったことを尋ねられる、といった具合です。担当者はその場で話を組み替えますが、最初の数分はすでに使われています。前回の続きという入り方は、あいだに何も起きていないことを前提に置いているのです。
確かめる会話が練習に入っていない
準備しにくいのは、何がどう動いたかを、相手に聞くまでこちらで判断できないからです。かといって近況を漠然と尋ねるだけでは、相手も何を答えればよいのか決められません。会わない期間が長い相手ほど、この入り口は重くなります。ここで扱う範囲を先に区切っておきます。商品や制度をどう読むか、この先がどうなるかという見立ては、ここには置きません。残すのは、会話をどう組み立てるかという一点です。
再開の一往復を組み立てる
この入り方が身につくのは、前回の続きを一度手放したときです。再開の入り口で確かめるのは、前提が動いたかどうかの一点に絞ります。動いていなければ、そのまま続けて差し支えありません。動いていれば、話す順番を決め直します。どちらに転んでも先へ進める形にしておくと、最初の数分が探り合いにならずに済むのです。
難しいのは尋ね方です。近況を広く聞くと、相手は答える範囲を自分で決めることになります。前回話した内容を一つ挙げて、そこが今も同じかを聞く形にすると、相手は短く答えられます。返ってきた答えの長さからも、前提が動いたかどうかの見当はつきます。
頭で分かっていても、本番では前回の続きに戻ります。間隔が空いた相手との再開だけを取り出して、一往復ずつ繰り返せる場があるかどうか。ここが実務では効いてきます。相手役を毎回頼めるとは限らないところが、この入り方を身につけにくくしている制約と言えます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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間隔が空いた相手を、先に置いて試せます
間隔を置いた再開の場面
証券マンの営業トークのうち、再開の入り口だけを取り出して設定できます。前回どこまで話したかを条件に入れておけば、続きから入ったときに相手の反応がどう変わるのかも試せます。実際の面談の前に、入り方だけを何度か置き直せるのです。
尋ね方を変えて、返り方の違いを見られます
尋ね方の作り分け
同じ再開でも、前回の話題を一つ挙げて聞く場合と、広く近況を尋ねる場合とでは、返ってくる長さが変わります。両方を続けて試すと、その差を自分の耳で確かめられます。相手役の出方はこちらの聞き方に応じて動くため、決まった筋書きをなぞるだけの練習にはなりません。短い時間でも、入り口の一往復だけなら通せます。
どこで前回の続きに戻ったかが残ります
入り方の記録
記録には、確かめる問いを先に置いたのか、前回の続きから入ったのかが残ります。自分がどちらへ戻りやすいかは、回数を重ねるほどはっきりしてくるのです。ここでAIが引き受けられる範囲は、場面を何度も置き直すことと、入り方を書き出しておくところまでにとどまります。相手の状況をどう受け止め、次に何を確かめるかを決めるのは、人の側の仕事になります。
間隔が空いた相手を練習に入れた例
若手MRを育てる製薬企業
取り上げるのは証券とは別の業種です。ある製薬企業の日本の組織では、経験の浅い担当者と長く現場にいる担当者との間で、力の差をどう埋めるかが課題になっていました。前者は知識を覚えている途中で、実務の場数が足りません。後者は日々の仕事に追われ、指導へ回せる時間が限られていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
対策として、AIを相手にした対話の練習を導入し、経験の浅い担当者が安全な場で訪問の場面を高い頻度で通せるようにしました。実地に近いやり取りを、短い期間のうちに数多く経験できる形です。
数値の変化について、このページでは触れずにおきます。注目したいのは、訪問というひとまとまりのやり取りが、そのまま練習の対象へ移された点です。
本ページの論点に引きつけると、間隔を置いて会う相手との再開を練習に入れた例として読めます。
子ども靴の店舗を営む会社
こちらは小売の現場で、業種はさらに離れます。子ども靴を軸に複数のブランドを持つ企業では、本部が販売の進め方を細かく決めても、それが店頭のやり取りにそのまま出るとは限らない状態が続いていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
取り組みとして、店頭で声をかけてから購入が決まるまでのやり取りを、対話の場面へ組み直しました。迷っている人、急いでいる人といった異なるタイプの相手を、AIが演じる形にしています。
公表されている数字は、本ページでは並べません。目を向けたいのは、店頭で交わされる会話が練習の対象として切り出された点です。
久しぶりに顔を出した相手と、どこから話を始めるか。ここも、間隔が空いた相手との再開にあたります。