不祥事防止研修のロールプレイ、誰に向けて言う練習ですか
不祥事防止研修でロールプレイを行うと、受講者は迷わず正しい対応を答えます。その場で引き受けずに上位者へ確認するという流れは、受講者の側もすでに知っているのです。難しいのは、その答えを誰に向けて言うかです。同じ一言でも、相手が変わると口から出てこなくなります。ところが練習の設定には、その相手が書かれていません。
なぜ全員が正解できてしまうのか
理解度を測っても差が出ません
不祥事防止研修でロールプレイの題材になるのは、規程から外れた進め方に気づいた場面です。その場で引き受けずに上位者や所管の部署へ確認するという対応は、あらかじめ決まっており、受講者の側も知らないわけではありません。ですから研修の場では、ほぼ全員が正しい対応を答え、記録の上では全員が理解している状態になります。理解度を測っても差が出ないため、次に何を足せばよいのかが見えにくくなるのです。ロールプレイを重ねたからといって、不祥事が起きないと言い切れるわけではありません。とはいえ、規程の周知そのものが不要になるわけでもありません。eラーニングや確認テストは、何が禁じられているかを全員に共有するための工程です。足りていないのは、その先の段にあります。
言いにくさは立場から生まれます
言えないことを、本人の倫理観の問題として扱うわけにはいきません。取引先の担当者から、規程にない進め方を持ちかけられた場面を思い浮かべてみてください。相手は長く付き合いのある人で、その場には同席者もいるため、確認しますという一言は頭の中で決まっているのに口からは出てきません。言いにくさは、相手との立場の差から生まれているのです。
練習の設定に、相手を書き入れる
答えを言えるようになるまでには、何が正しいかを知る段と、それを相手に向けて口にする段の二つがあります。前の段は資料や確認テストでも扱えますが、後の段は声に出してみないと通せません。相手の反応が返ってくると、同じ内容でも順番や前置きを組み替える必要が出てきます。この組み替えを試した回数が、本番で言えるかどうかを分けると言えます。
取引先の担当者に言うときと、自分より経験の長い相手に言うときでは、同じ一言の重さが変わります。人が複数いる場では、さらに変わります。練習の相手が言いやすい相手のままだと、この差は現れません。受講者は正解を答えて終わり、設計する立場からも詰まる場所が見えないままになります。
手段を比べるとき、扱える事例の数や設問の量は並べやすい材料ですが、軸を移してみてください。言いにくい相手を設定して、その相手に向けて口に出す形にできるかどうかです。この軸なら、自社で使っている題材で一場面だけ通してみれば、ご自身で確かめられます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
言いにくい相手を、設定に書き込めます
多面的なAI相手役の設定
UMU AIロープレを活用することで、練習の相手を、職位や経験、話し方まで指定して用意できます。取引先の担当者や、自分より経験の長い相手のように、言いにくさが出る相手を設定に書き込めます。研修を設計する立場は、題材を変えずに相手だけを差し替えた場面を並べられるため、受講者は言いにくい順に通していけるのです。
決まっている答えを、声に出して試せます
一人で使える練習の場
UMU AIロープレを導入することで、受講者は同僚や上司の前に立たずに、同じ場面を何度でも口に出して通せます。言えなかった場面をやり直しても、相手側の反応が悪くなることはありません。言いにくさに慣れるまでの回数を決めるのは、受講者本人なのです。AIが担うのは反復練習と記録までであり、規程の中身や社内での判断は、引き続き人の役割です。研修そのものは社内規程や関係する法令に沿って運用されるものであり、その解釈をこのページで示すことはできません。
言えたかどうかが、記録に残ります
段階別の即時レポート
練習が終わると、どの段階でどこまで言えたのかが、段階ごとのレポートとして残ります。選択式の設問では、正しい答えを選べたことまでしか確かめられません。実際に口に出した内容が残るため、人材開発のご担当者は、理解度ではなく言えた場面の側から次の設計を決められます。
決まりごとを扱う研修での例です
店舗運営企業・6,000名
全国で通信キャリア系の店舗を運営する企業では、育成の対象が全社員6,000名にのぼり、教育の範囲は販売の受け答えだけにとどまりませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。守るべき決まりごとの教育も、同じ育成期間の中に置く必要がありました。
そこでUMU AIロープレを活用し、決まりごとの確認を、読んで済ませる形から対話の中で言葉にする形へ置き換えました。独り立ちまでに通しておく場面の一つとして扱っています。
その結果、コンプライアンス研修のサイクルは2カ月から1カ月に短縮され、練習の頻度も大幅に増加しました(出典:導入企業へのヒアリング)。周知した回数ではなく、口に出した回数が増えたことが、周期の短縮として表れたのです。
業種は店舗運営で異なりますが、決まりごとを口にする段を練習の側に置いたという条件は、不祥事防止の研修にも持ち込めます。
眼鏡チェーン・管理職候補
全国に眼鏡の専門店を展開する企業では、エリアマネージャー候補の育成において、相手に向けて話す部分だけが練習の外に残っていました(出典:導入企業へのヒアリング)。話して、フィードバックを受けて、もう一度話すという往復の場がなかったのです。
そこでUMU AIロープレを活用し、2024年10月から2025年2月までの5カ月間、候補者が話す側に立つ場面を繰り返せる環境を整えました。相手役はAIが務めるため、部下やスタッフを呼び出さずに同じ場面を通し直せます。
担当者からは「対話型なので話す練習になり、実際の接客にも活かせています」という声をいただいています(出典:導入企業へのヒアリング)。話す側に立つ回数が増えたことが、現場での応対にも表れたという受け止めです。
小売の管理職候補という前提は異なりますが、相手に向けて言葉にする往復を練習の側に置いた点は、不祥事防止の研修にも重なると言えます。