インタラクティブ研修の質は、一人あたりの出番も基準の一つです
講義や動画を配信するだけでは受講者の反応が見えないという理由から、インタラクティブ研修を取り入れる企業が増えました。ただ、場のやり取りが増えることと、受講者一人ひとりが自分の言葉で答えを出すことは、同じではありません。
インタラクティブ研修とは何か
講師と受講者がやり取りする形
インタラクティブ研修とは、講師が一方的に説明するのではなく、講師と受講者、あるいは受講者同士がやり取りをしながら進める研修の形を指します。グループワーク、ディスカッション、その場での投票や質疑応答などが、代表的な進め方と言えます。集合研修に限らず、オンラインの研修や、動画教材の途中に設問を挟む形も、この範囲に入ります。共通しているのは、受講者が聞くだけの立場から外れる場面を、進行の中にあらかじめ組み込んでいるという点です。
形式だけでは質は決まりません
ただし、この形をとれば双方向になるとは限りません。同じディスカッション形式でも、発言する人が数名に固まる進行と、全員が一度は自分の考えを出す進行とでは、受講者の経験は別のものになるのです。形式は入口にすぎません。一人あたりが何回、自分の答えを外に出せたか。この点も、研修の質を分ける要素の一つです。
答えを出す側に回ると、理解の深さが変わります
話す人と、聞く人に分かれる時間
双方向の研修でも、一人の受講者が話している間、ほかの受講者は聞き手にまわります。たとえば20人の研修で1時間を質疑に充てたとしても、単純に割れば一人あたりは3分です。残りの時間は、ほかの人のやり取りを追う時間になるのです。場としては活発に見えても、個人の側から数えれば、自分の考えを言葉にする場面はそれほど多くありません。
自分の言葉にすると見えてきます
文書や講義、動画は、内容を届けるところまでを担います。受講者がその内容を理解し、必要な場面で引き出せるようになるには、学習の途中で内容を能動的に処理する過程が要るのです。質問に答える、学んだことを自分の言葉で説明する、複数の選択肢を比べて判断するといった場面が、これにあたります。こうした場面を通ることで、どこまで分かっていたかが受講者自身にも見えてきます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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出番を増やすほど、講師の手が足りません
当日の時間で回しきれません
一人ずつに問いかけ、返ってきた答えを受け止めるには、それだけの時間が要ります。受講者が20人を超えると、当日の進行の中で全員分を回すことは難しくなります。班に分けたところで、講師が一人であれば、すべての班のやり取りを同時には追いきれないのです。手が回った班と、そうでない班とで、理解の差が開いていきます。
作り直しは後回しになりがちです
問いかけや演習は、コースごとに中身が変わります。製品や制度が変わるたびに、資料だけでなく設問も直す必要が出てきます。通常業務を抱えた講師はまとまった時間を取りにくく、まず資料の差し替えを優先することになるのです。双方向の仕掛けは、そのたびに後回しになりやすいと言えます。
問いかけの用意は、どこまで軽くできるか
講師は中身の確認に時間を使えます
資料の整理、設問の下書き、選択肢の組み立てといった準備の一部を生成AIが担うと、講師が一から作る場面は減ります。空いた時間は、問いの中身が業務の実態に合っているか、返ってきた答えをどう受け止めるかの検討に充てられます。ここで変わるのは、労力のかけどころなのです。内容の確認と調整には、引き続き講師の関与が必要になります。
手間が消えるわけではありません
用意にかかる負担が軽くなると、問いかけを置ける場面も増えます。研修当日の限られた時間だけでなく、事前の予習や事後の振り返りにも、一人ひとりが答える場面を用意しやすくなると言えます。ただし、手間がなくなるわけではありません。どの問いを残し、返ってきた答えをどう扱うかの判断は、これまでどおり講師が引き受けます。
インタラクティブ研修が、当日の前後へ広がります
当日は論点の検討に使えます
事前に一人ひとりが答える場面を置ければ、当日は、答えの分かれた論点から始められます。全員に同じ説明を繰り返す時間を減らし、判断の分かれる場面の検討に時間を充てやすくなります。講師は、どこでつまずいているかを見てから当日の進め方を決められるのです。研修の時間は、伝える場から、考えを突き合わせる場に近づいていきます。
分かるのは問いの範囲までです
やり取りは、当日の一度きりではなくなります。日を空けて問いかければ、受講者は覚えている範囲を自分で確かめられます。研修が終わった時点で区切らず、思い出す機会を挟みながら、期間を通して続けていけるのです。ただし、そこから分かるのは、用意した問いの範囲での受け答えです。現場で使えるようになったことまでを示すものではありません。
重要なポイント
インタラクティブ研修の質は、やり取りを組み込んだかどうかだけでは決まりません。同じ形式でも、一人あたりが自分の答えを外に出す回数が変われば、研修のあとに残るものも変わるのです。形式を整えたその先で、一人ひとりの出番をコースのどこに置くかを考えることになります。
進め方を見直すときの観点は、二つあります。一つは、受講者一人あたりが自分の答えを出す場面がコースの中に何回あるかという点、もう一つは、その場面を研修当日の枠の外にも置けているかという点です。この二つがそろうほど、人数が増えても双方向の設計を保ちやすくなるのです。