外回り営業のツール、選ぶ場面まで設計していますか
外回り営業のツールをそろえるとき、支援する側の仕事は、用意して説明した時点でひととおり終わったように見えます。ただ、外回りでは、どれを使うかを訪問の直前にその場で一人で決めます。事務所でまとめて伝えた使い方は、その判断の場に立ち会えません。手元に戻ってくるのは、使われなかったという結果だけなのです。
外回り営業のツールは、どこで選ばれなくなるのか
選ばれなかった理由は、戻ってきません
訪問の直前、担当者は次に会う相手のことを考えます。前回の話の続きから入るのか、新しい提案から入るのか。そのとき手元には、支援側が用意した資料や仕組みが複数あります。どれを開くかは、その場の判断になります。例えば、訪問先の入り口で、用意された三種類の資料のうちどれを出すかを決めきれず、結局いつも持ち歩いている一種類だけで話し始める。こうした場面がこれにあたります。選ばれなかった二種類について、支援側に届く情報はありません。開かれた形跡がないという事実だけが残り、内容が合わなかったのか、それとも選ぶ手がかりがなかったのかは、区別できないのです。
区別がつかないと、次の一手が絞れません
この区別がつかないままだと、支援側は次に打てる手を選べません。内容を作り直すのか、選び方を伝えるのか、どちらに手を入れるべきかが決まらないからです。支援する側に見えているのは、渡した記録と開かれた記録までです。訪問の直前に何を迷ったのかは、担当者の頭の中だけで終わります。なお、このページでは個別の製品の比較や選定は扱いません。外回りには車での移動も含まれますが、運転しながらの操作や学習を勧めるものではありません。
選び方は、どこで身につくのか
選べる状態とは、手元にある選択肢を覚えていることではありません。相手の状況を聞いたときに、どれが合うかを言葉にできることです。この力は、選択肢の一覧を渡されただけでは身につきません。相手の話を聞いて、その場で選び、口に出してみる往復が必要になります。
訪問の場で選び直すと、話の流れが止まります。そのため担当者は、言い慣れている一種類を選びがちになります。選ばなかった理由を後から思い出すのも難しく、次の訪問でも同じ選択が繰り返されます。
支援の仕組みを見比べるときは、渡せるか、記録できるかだけでなく、選ぶ場面を練習として置けるかで見ると判断がつきます。相手の条件が変わったときにどれを出すかを言わせてみて、その選択を後から見返せる形になっているかを確認します。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
相手の話を聞いてから、選ぶところまで試せます
条件が変わる相手役の設定
相手の職位や関心を変えた相手役を設定できます。同じ商材でも、聞いた条件によってどれを出すかが変わることを、その場で試せます。選んだ理由を言葉にする練習にもなります。
選び直しがきく場所を、本番の外に置けます
訪問と訪問の間に通せる練習
訪問先を回る途中、停まっている時間に一件分だけ通せます。次に会う相手を想定して、どれを出すかを決めてから入れます。同じ場面を何度でも選び直せるため、選択の理由が固まっていきます。
どの場面で何を選んだかが、記録に残ります
選択を後から見返せる記録
練習のたびに、どの条件でどれを選んだかが残ります。支援する側は、選ばれなかったものがどの場面で外れたのかを確かめられます。内容を作り直すのか、選び方を伝えるのかを、記録から決められるようになります。AIが引き受けるのは、この繰り返しと記録までです。
支援した内容が現場の判断に届いた例です
複数の国と地域で店舗を展開する衣料品グループ
複数の国と地域で店舗を展開する衣料品グループでは、新しく入ったスタッフに、価格帯の高い商品を求める相手との対話の経験が足りていませんでした。長く勤めるスタッフは値引きをきっかけにする接客に慣れており、地域や店舗をまたぐ全員に専門的な練習を用意することは、これまでのやり方では難しい状態でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、顧客タイプごとの相手役を用意し、地域や店舗をまたぐスタッフが同じシナリオライブラリを共有して取り組める形にしました。
その結果、本部が定めた能力開発の基準が、店舗ごとの現場にも同じ形で行き渡りました。導入年の大型セールでは自社チャネル経由の売上が前年を大きく上回り、会員の獲得も前年を超え、オンラインの年間売上は目標を達成しました(出典:導入企業へのヒアリング)。用意した基準が、店舗ごとの判断にまで行き届いた形と言えます。
業種は外回り営業と重なりません。ただ、本部が用意したものを現場が選べる状態にするまでを一続きの仕事として設計した点は、訪問先を回る仕事にも置き換えられます。
ある疾患領域を受け持つグローバル製薬企業
製品知識研修体系を長年運用してきたグローバル製薬企業があります。ある疾患領域を受け持つ組織で、定期的に学べる仕組みも整っていました。新しい製品を出す前に分かったのは、相手の職位が変われば伝える中身も話す順番も変わるのに、顧客タイプ別の練習が足りていないことでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこで相手のタイプごとに専用の相手役を用意し、担当者が現場に出る前に、一つずつ対話を通しておける形にしました。
この案例で示されているのは、知識を学ぶ仕組みと、相手ごとの対話戦略を練習する仕組みは別に必要だという順序です。成果の数値は公開されていないため、取り組みの内容だけをお伝えします。
すでに支援の体系が整っている組織が、次に何を足すかを決める場面で参考になります。用意する仕事の次に、選んで話す場面の練習が来るという順番です。