BIツールの営業データを、次の商談の前に使えていますか
BIツールの画面を開くと、営業チームの受注率も活動量も並んでいます。数字はどれも正確です。ただ、その一行が確定した時点で、もとになった案件はすでに決着しています。月末に傾向が見えても、その月の案件はもう動かせません。見えるようになるのは、いつも終わったあとなのです。
数字が出そろう頃、案件はどうなっているか
遅れは分かるが、理由は分からない
ダッシュボードを開けば、誰の進捗が遅れているかはすぐに分かります。段階ごとの滞留も、前の月との差も、数字として並びます。ところが、そこから先が続きません。本人に確認しても「頑張ります」という返事で終わり、翌週の面談でも同じやり取りが繰り返されます。例えば、ある担当者について、提案から見積の提示までにかかる日数が伸びていると分かったとします。画面から読み取れるのは、日数が伸びたという事実までです。その間に顧客が何を言い、担当者がどう答えたのかは、集計の外側にあります。数字は何が起きたかを正確に教えてくれます。ただ、なぜそうなったかまでは含んでいません。そして日数が確定した時点で、対象になった案件はすでに結論が出ています。
傾向が見えるのは、いつも翌月
この時間差は、月の締めが近づくほどはっきりします。傾向がまとまるのは翌月の頭で、そのとき手元にあるのは、すでに決着した案件の集まりです。読み取れた内容を活かせる相手は、これから動く別の案件しかありません。営業を見る立場の側が向き合っているのは、集計の精度という論点ではありません。数字が確定する時点と、働きかけられる時点が重ならないという順番なのです。
数字と商談のあいだにある時間差
BIツールに並ぶ指標は、受注や失注、金額、日数といった、確定した事実の集まりです。確定していないものは集計できません。そのため数字が動くのは、その案件の行方が決まったあとになります。これは作り方の巧拙とは別の話で、集計という方法そのものが持つ順番です。指標が精密になるほど、母数となる案件は過去の側に寄っていきます。
指標は、担当者が明日どう振る舞うかという形をしていません。そのため、営業を見る立場から伝えられる内容が「もっと件数を」から先に進みにくくなります。面談の材料が数字だけになると、話題は達成率の確認に寄っていきます。正確な情報がそろっているのに、翌日の一件をどう進めるかという相談にはなりにくいと言えます。
そこで問いは、読み取れた傾向をどこで使うかに移ります。傾向は過去からしか出てきませんが、それを試す場所は、次の商談が始まる前に置けます。ある段階で止まりやすいと分かったのであれば、その段階だけを取り出して、担当者が事前に一度通しておきます。この置き換えを、どんな仕組みで用意できるのかが次の論点になります。
止まりやすい段階だけを、先に通せます
反論対応シーンの事前設定
価格の話、競合との比較、社内の稟議で差し戻された場面など、実際に止まりやすいやり取りを、AI顧客との対話の中にあらかじめ組み込めます。担当者は訪問の前日に、その場面だけを取り出して一度通しておけます。集計から読み取れた滞留の傾向を、次の商談が始まる前の練習として置き直せるようになります。
その場で、どこで止まったかを確認できます
プロセス別の即時レポート
練習を終えた直後に、どの段階で評価が下がったのかが内訳として並びます。曖昧な総評で終わらないため、担当者はその日のうちに直す箇所を一つに絞れます。営業を見る立場の側も、月末の集計を待たずに、練習の記録から今の状態を確認できるようになります。
誰に何を勧めるかを、記録から決められます
練習状況のダッシュボード
誰がどの場面を何回通したか、どこで点が落ちやすいかが、チーム全体の一覧として表示されます。一人だけの課題なのか、同じ段階で多くの担当者がつまずいているのかを、面談の前に見分けられます。標準化できるのは、繰り返しの回数と採点の基準までです。そのうえで誰にどの場面を勧めるかは、日々のやり取りを知っている人が決めることになります。なお、練習の記録を評価や処遇にどう結びつけるかについて、本ページでは判断を示しません。運用の可否は社内の定めに沿って決められる事柄です。
記録を次の場面の前に使った例
体外診断分野の大手企業
体外診断分野の大手企業では、営業担当者の能力認定を人による模擬訪問で行っており、評価が相手役と評価者の経験に左右されやすい状態でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、自社で定めた訪問プロセスに沿って模擬対話を行い、終了と同時にスコアと改善点を確認できる仕組みを整えました。
認定を受ける時期は、日程の都合ではなく本人の準備が整った時点で決められるようになりました。この取り組みに伴う数値の変化については、本ページでは扱いません。
記録から見えた課題を、次の訪問が始まる前に試す形へ置き直した例です。
携帯電話販売店の運営企業
携帯電話の販売店を運営する企業では、接客の教育とコンプライアンスの教育が別の流れで進み、店舗運営での事故が増えていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、接客の流れと確認すべき事項を一つのシナリオにまとめ、店頭に立つ前に通しておける形にしました。
新入社員が売り場に一人で立てるまでの期間も、確認事項を学び直す周期も、それぞれ短くなりました。ここでは具体的な数値の引用を控えています。
起きた事故を後から数える順番から、起きやすい場面を先に通しておく順番へ変わった例です。