AIのソリューション営業で詰まるのは、どこまで任せられるか
AIのソリューション営業では、何ができるかを説明する場面で言葉に詰まることは、あまりありません。手元には資料があり、画面で見せられるものもあります。詰まるのは、その次に来る問いのほうなのです。うちの場合はどこまで任せられますか。そう尋ねられた瞬間に、用意してきた説明だけでは答えを組み立てられなくなります。知らないから言えないのではありません。相手の条件を聞くまで、答えが決まらないだけと言えます。
なぜ境界の問いだけ答えが決まらないのか
相手の条件で答えが変わる
どこまで任せられますか。この問いに答えようとすると、手が止まります。任せられる範囲は、相手の状況によって変わるからです。手元にどれだけ材料が揃っているか。判断が人によって分かれる場面がどれだけあるか。関わる部署がいくつあるか。ここが違えば、同じ問いに対する答えも違ってきます。あらかじめ用意しておける答えは、そもそも存在しないのです。この場面で選ばれる進め方は、たいてい二つに分かれます。一つは、はっきり言わずに済ませるやり方。すると相手の手元には、良いほうの可能性だけが残ります。膨らんだのは相手の期待ではありません。こちらが言葉を濁したことが、そう見せてしまったのです。もう一つは、その場で線を引いて断るやり方。相手は考えを進める材料を失い、検討はそこで止まってしまうと言えます。どちらを選んでも、その場の会話は収まりますし、気まずさも残りません。それでも、次の一手にはつながらないままです。
検討はどこで止まるのか
商談が流れた場面を思い返すと、はっきり断られた瞬間よりも、判断が保留されたまま連絡が途切れる形のほうが多いのではないでしょうか。相手は迷っていたのではなく、決めるための材料が最後まで手元に揃わなかったのです。境界を濁して進んだ商談も、線を引いて終えた商談も、相手の側では同じ扱いになります。次に進めるかどうかを相手自身が判断できないまま、その案件が置かれ続けるからです。
条件つきで言い切るには
必要なのは、知識を増やすことではありません。一般論のまま答えを終わらせず、この条件までならここまで、という形で持っておくことなのです。覚えるべきは範囲そのものではなく、範囲が動く理由のほうです。相手の話を聞いた時点で答えの形が定まるのは、そのためだと言えます。
条件つきで答えるには、答える前に相手の条件を一つ尋ねることになります。実際の商談で崩れやすいのは、この順番のほうです。問いを受けた側は、間を置かずに答えようとしがちではないでしょうか。その結果、相手の状況を確かめないまま、一般論か線引きのどちらかに流れます。尋ねてから答えるという順番そのものが、この仕事の中身なのです。
尋ねてから答えるという順番は、手元の資料を何度読み返しても身につくものではありません。相手の前提が毎回変わる対話を、繰り返し試せる場が要ります。同じ問いを別の条件で受け直したとき、答えがどう変わるか。そこを自分の口で確かめられる環境が用意できているか、振り返ってみてください。
条件ごとの言い方を、繰り返し試せます
AI顧客像の作り分け
AI顧客の設定は、役職や性格、話の進め方まで細かく変えられます。材料が十分に揃っている相手と、判断する人が何人もいる相手。同じ問いでも、返すべき答えは違ってきます。その違いを、頭の中の想定ではなく実際の対話として確かめられるのです。設定を一つ変えるだけで、同じ場面がまったく別の商談として立ち上がります。どの条件のときにどこまで言い切れたのか、練習を重ねるほど自分の言葉として整理しやすくなります。
尋ねる順番から、練習に組み込めます
商談プロセスの型
対話練習は、導入のあいさつからヒアリング、情報提供、異議への切り返し、クロージングまでの流れを土台にして進みます。相手の条件を確かめる前に答えへ入った回は、その進み方がそのまま記録に残るのです。あとから見返せば、どこで順番が入れ替わったのかがはっきりします。相手役の都合を待つ必要もありません。順番が身につくまで、同じ場面を何度でもやり直せると言えます。
答えを急いだ箇所が、その場で分かります
対話直後の評価まとめ
練習が終わると、プロセスごとの評価がその場でまとまります。ヒアリングを飛ばして答えに入った回は、その箇所が具体的に示されるため、次に直す一点を決めやすくなるのです。同じ相手設定で受け直せば、前回との違いを並べて見比べられます。ここで扱えるのは、繰り返し練習する場をつくることと、評価の目安を同じにすることまでです。相手の条件をどこまで踏み込んで聞くかという判断は、担当者と上長の側に残ると言えます。
相手ごとに対話を練習した例
呼吸器領域の製薬会社
呼吸器領域の製薬企業では、製品知識の学習を毎月続けていた一方で、相手が薬剤部門の責任者か診療科の責任者かによって、話すべき内容も進め方も変わるという課題がありました。
そこでUMU AIロープレを活用し、相手のタイプごとに専用の設定を用意しました。現場に出る前に、それぞれの相手を想定した対話を何度でも練習できる体制を整えました。
その結果、同じ製品でも相手の立場に応じて説明の入り方を変えられるようになりました(出典:導入企業へのヒアリング)。
全国展開の眼鏡店
眼鏡店を全国に構える企業が、次のエリア長を実績による抜擢ではなく立候補で選ぶ形に改めました。ここで必要になる聞く力と伝える力は、座学の時間を増やしても伸びにくい部分でした。
そこでUMU AIロープレを活用し、時間や場所を問わず対話の進め方を練習できる環境を用意しました。候補者は自分の予定に合わせて、伝え方を何度も試せる状態になりました。
その結果、感覚に頼っていた指導の中身を、順を追って説明できる形に変えられました(出典:導入企業へのヒアリング)。