アクティブラーニング型は、受講者の段階に合わせて設計します
グループワークや事例検討を取り入れたアクティブラーニング型の研修で、答えに詰まる受講者と、手だけを動かす受講者が同じ回に並ぶことがあります。ただ、活動の種類だけの問題ではないのです。
アクティブラーニング型とは何か
主役を受講者の活動に移す組み方
アクティブラーニング型とは、研修時間の中心を講師の説明から受講者の活動へ移した組み方を指します。講義を省くかどうかが分かれ目ではありません。事例をもとに判断を選ぶ、覚えた手順を同僚に説明する、想定した顧客とのやり取りを試すなど、受講者が自分で答えを出す場面を、研修のどこにどれだけ置くかで中身は変わるのです。呼び方が事例検討でもロールプレイングでも、この配分に型の性格が表れます。
全員が答える時間はあるか
型として成り立っているかを確かめる目安は、二つあります。受講者が30人を超える回では、発言するのは数人にとどまり、残りは聞くだけで終わることも起こります。まず確かめたいのは、受講者一人ひとりが自分の言葉で答える時間を、研修の中に確保できているか。次に、その課題が本人の経験段階に合っているかという点です。形式の名前だけでは、この中身の差は見えてきません。
受け身に戻る、難易度のずれ
難しすぎる課題の前での沈黙
配属して半年の新人に、扱ったことのない案件の判断を求めても、答えを組み立てる手がかりがありません。その場は、経験者の発言を書き写す時間になります。担当者から見れば全員が着席して作業しているため、活動そのものは成立しているように見えます。ただ、自分の頭で考えて答えを出した経験は、その受講者に残らないのです。
すでに知っている内容の消化
反対に、日々担当している業務と同じ内容を課題にすると、経験者は考える前に答えを書き終えます。手は動いていても、理解が更新される場面ではありません。同じ回に、この両方の受講者が混在するため、一律の難しさで組めば、どちらかは受け身に戻ると言えます。アウトプットが学びにつながるのは、自力で届きそうな範囲より少し上の課題に取り組むときです。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
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段階ごとに作り分ける余裕のなさ
兼任のまま増える設計の工数
企業内研修では、一人の担当者がニーズ調査からコース設計、講義、実施後のフォローまでを兼ねることが少なくありません。同じ内容を新人向けと経験者向けに分けるとなれば、課題も確認の観点も二通り用意することになるのです。日々の業務と並行して、その時間を確保できる担当者は多くありません。
改定のたびに追いつかない見直し
制度や製品が変わると、段階別に用意した課題は、その数だけ見直しの対象になります。改定のたびに全段階を作り直す前提では、見直しは後回しになりがちです。手を入れきれないまま実施日が来れば、全員へ同じ資料を配る形に戻ると言えます。
段階に分ける下準備から、難易度の判断へ
下準備を一から抱えない
資料を扱いやすい単位に分け、経験段階ごとの課題の初稿を用意する作業は、AIを使うと着手までの負担が軽くなります。難しさの異なる課題案を並べて比べる作業も、以前より短い時間で進められます。担当者が全体を一から書き起こす前提ではなくなるのです。どの段階にどの課題を置くかを決める判断は、引き続き担当者の側に残ります。
空いた時間を判断に充てる
下準備に充てていた時間が空くと、課題の難しさが受講者の経験段階に合っているか、想定した場面が実務に合っているかを確かめる作業に、時間を回せます。ここで動くのは、労力の総量ではなく、その配分。負担そのものがなくなるわけではありません。内容を確認し、公開してよいかを判断する工程は、引き続き担当者の側に残ります。
一律の配布から、段階を追う学習へ
入口を経験段階ごとに分ける
アクティブラーニング型の研修を、全員が同じ課題から始める形から、受講者が自分の経験段階に合った課題から入る形へ組み替えやすくなります。新人は手順を自分の言葉で説明する課題から、経験者は判断が分かれる案件の検討から始める、といった分け方です。
回を重ねて難しさを上げる
一度の研修で完結させる前提から、期間を置いて課題の難しさを段階的に上げる運用にも移しやすくなります。前回の答えを踏まえて次の課題を出せば、受講者は同じ内容を別の角度から扱えるようになるのです。ただし、どの回でどこまで上げるかは、担当者が受講者の状況を見ながら決めることになります。
重要なポイント
アクティブラーニング型が成り立っているかどうかは、活動の名前や当日の盛り上がりだけでは測れません。受講者が自分の経験段階に合った課題に取り組めているかどうかも、あわせて確かめたい点です。同じ課題を全員に配ったままでは、答えられない受講者と、考えずに答えられる受講者が並ぶのです。
進め方を見直すときは、課題の難しさを何段階に分けるかを、担当者が改定のたびに手を入れられる範囲で決めておくと、形は定着しやすくなります。段階を細かく分けるほど設計は丁寧になりますが、更新の負担も同じだけ増えます。まずは無理なく回せる段階数から始める方法も、選択肢の一つと言えます。