営業トレーニングのプログラム、順番の理由は残りますか
営業トレーニングのプログラムを組むと、資料と日程は形になって残ります。ところが、なぜこの順番にしたのかという理由は、組んだ人の頭の中にしかありません。担当が代わると、次の人は資料をそのまま回すことになります。変えてよい部分と、動かしてはいけない部分の区別がつかないのです。
営業トレーニングのプログラムで、引き継がれないもの
渡されるのは、資料と日程です
プログラムの引き継ぎは、たいてい資料の受け渡しで終わります。何回あって、どの順番で、どれだけ時間をかけるか。ここまでは書かれています。書かれていないのは、その順番にした理由です。例えば、二回目に反論への応じ方を置いたのは、初回で聞き方を試した人が、たいていそこで詰まると分かっていたから。この判断は、組んだ人が現場を見て決めたものですが、資料には現れません。次の担当者は、順番を疑う手がかりを持たないまま回すことになります。変えてよいかどうかが分からないので、いちばん安全な選択はそのまま続けることになります。こうしてプログラムは、何年も同じ形で残るのです。
形が残ることと、動かせることは別です
同じ形で続くこと自体が問題とは言えません。困るのは、現場が変わったときに動かせないことです。扱う商材が増えても、受ける人の経験の幅が変わっても、順番を検討する材料がありません。そのため見直しは、中身ではなく日程の調整だけになりがちです。順番の理由が言葉になっていれば、どこから変えるかを次の人が選べるようになります。
順番の理由は、どう書けば残るのか
その回が終わったとき、受けた人が何を言えて、何ができていればよいかを一行で書きます。内容の要約ではなく、終わりの状態を書くところが違います。これがあると、次の回をその後ろに置いた理由も読み取れるようになります。
気持ちや理解の度合いではなく、口に出せるかどうかで書きます。確かめられない到達点は、次の担当者にとって判断の材料になりません。言えたかどうかで書いておくと、達成したかを本人も自分で分かります。
資料と日程だけを渡すと、受け取る側は形式を守ることしかできません。到達点が並んでいれば、順番を組み替える判断も、削る判断もできるようになります。受け取った側が手を入れられる状態で渡すことが、引き継ぎの中身だと言えます。
各回の終わりに、何ができたかが残ります
到達点に沿った練習の設定
その回で身につけたい会話の場面を、そのまま練習の設定にできます。受けた人が口に出せたかどうかが記録に残るため、到達点に届いたかを後から確かめられます。同じ場面を何度か試したうちのどれが通ったのかも分かります。
口に出せたかどうかで、確かめられます
言葉として残る到達の記録
理解しているかではなく、実際に言えたかどうかで見られます。同じ到達点を、期間をおいてもう一度確かめることもできます。担当が代わっても、同じ基準で見られる状態が残ります。
順番を組み替える判断も、記録から選べます
到達点ごとに見える進み具合
どの到達点で人が止まっているかを並べて見られます。止まりやすい場所が分かると、回の順番を入れ替える判断もできます。AIが引き受けるのは、この練習と記録までで、順番を決めるのは設計する人の仕事です。
練習の記録を次の人に渡した例です
外資系の生命保険会社
外資系の生命保険会社では、新人の育成が支社ごとに進められており、育成の質にばらつきが出ていました。指導の方法も基準も支社によって違うため、標準化された育成の流れをつくることが課題でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、対面での指導と、AIを使った学習と練習を並べて比べる形で進めました。さらに、成約に成功した受講者の練習記録をコースへ取り込み、あとから入った新入社員向け学習コンテンツにも回しています。
その結果、三カ月後には提案の数が伸び、育成の対象となる人数も大きく広がりました(出典:導入企業へのヒアリング)。うまくいった対話が記録として残り、次に入った人がそれを教材として使える形になったのです。
順番の理由を文章で残すのが難しくても、うまくいった回の記録があれば、次の担当者はそこから読み取れます。引き継ぎの単位を、資料から記録へ移した例と言えます。
大手のバイオテクノロジー企業
大手のバイオテクノロジー企業では、学びと成果のつながりが見えないという問題を抱えていました。学んだことが業績達成にどれだけ近づいたのかは、数として取り出せないままでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこで練習の記録に決まった形を与え、行動の変化の手がかりを見えるようにしました。準備から研修、そのあとの後押し、行動の変化、業績達成までを一続きとして扱い、そのうちAIが受け持つのは中間の二つだけと位置づけています。
読み取れるのは、どこまでをAIに任せ、どこから先を人が担うのかを先に決めていた点です。区切りを置いたので、記録が何を示す材料なのかもはっきりしています。
プログラムを引き継ぐときも、どの回までが練習で、どこから先が現場の話なのかが分かれていれば、受け取る側の判断は軽くなります。