営業練習のロープレで残した記録は、次に見る人へ渡りますか
営業練習のロープレを続けている組織では、上司や担当講師が替わったあと、新しく見る側が本人への聞き取りから始めます。前の担当者も同じ聞き取りを済ませ、同じ見立てにたどり着いていました。人が替わるたびに、同じ仕事がもう一度行われているのです。
同じ見立ては、なぜ二度作られるのか
引き継ぐ材料がないまま始まります
異動でマネージャーが替わる時期には、着任した側が担当メンバーの練習の状況を確かめようとします。ところが手元に届くのは、実施した回数と提出済みかどうかの一覧までです。着任した管理職が一覧を開いたまま、何を読めばよいか決められないという場面が起こります。どの場面を通したのか、どこで言葉が止まったのか、本人が次に何を試すと決めたのかは、そこには出てきません。そこで着任した側は、一人ずつ話を聞き、商談に同席して見立てを組み立て直します。前任者もかつて同じ順序で通っており、癖も詰まりやすい段もすでに把握していました。それが本人の説明を介さずに読める形になっていないため、新しく見る側は自分の目でもう一度確かめる以外にありません。育成を設計する側から見れば、同じ作業が人の交代ごとに繰り返されている状態です。
引き継げる形で残すには何が要るか
営業練習のロープレで人が作る見立ては、本人の話し方や間の取り方から受け取った印象でできています。印象のままでは、別の人に同じものは渡りません。渡る形になるのは、どの場面で、どの受け答えのあとに言葉が止まったのかまで書き出されたときです。ここまで残っていれば、見ていなかった人でも同じ場面を思い浮かべられると言えます。
引き継ぎの多くは口頭で行われます。前任者が時間を取れれば癖や詰まりやすい段まで伝わりますが、交代の時期は双方が慌ただしく、伝わるのは担当と進度の確認までにとどまります。伝えた側は伝えたつもりで、受けた側は材料が足りないまま初回の1on1に入り、また聞くところからやり直します。
そこで問いは、練習の記録そのものに移ります。回数と点数の並びは、見る側が替わっても読めますが、それだけでは次の一手を決められません。研修部門が読めるようにしておきたいのは、通した場面、言葉が止まった箇所、本人が次に試すと決めたこと。この3点が本人の説明を介さずに読める形で残っているかどうかが、引き継ぎの成否を分けます。
通した場面と止まった箇所が読めます
個人ごとの練習の記録
UMU AIロープレを活用すると、練習ごとの記録が場面別に分かれた形で残ります。通した場面、段ごとのスコア、前回からの変化を、一つの画面で確かめられます。着任した側は、本人に聞く前に、どの段で言葉が止まりやすいかまで読み取れるのが特徴です。
次に何を試すかまで記録に残ります
個別の改善提案
練習が終わるたびに、AIがその対話に即した改善の提案を返します。全員に同じ助言を返す形ではないため、本人は次に何を練習するかをその場で決められます。決めた内容も記録に残るため、指導を受け継いだ側は、本人が何に取り組む途中なのかを読み取れるのです。
引き継いだ直後から同じ材料で見られます
チーム単位の練習データ
チームの練習データは、場面別や課題別に絞り込めます。着任した管理職は、個人の事情なのかチーム全体の傾向なのかを、同じ材料から判断できます。なお、AIが担うのは相手役と評価の基準をそろえるところまでで、目標の置き方や動機づけは人の役割として残ります。
見る側が替わった組織での例
眼鏡小売・次世代リーダー候補
全国に店舗を展開する眼鏡の小売チェーンでは、エリアマネージャー候補の育成が、実績による抜擢型から立候補型のキャリアパスへ移っていました。候補者に求められる傾聴力と伝達力は座学では身につかず、話してフィードバックを受ける場がありませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、候補者がAIを相手にコーチングと説明の会話を重ねる形を用意しました。2024年10月から2025年2月までの5カ月間、研修の当日以外にも同じ会話へ戻れます。
担当者は「感覚的な指導から、言葉と図解で論理的に伝えられるようになりました」と振り返ります(出典:導入企業へのヒアリング)。指導の中身が言葉と図になったことで、同じ内容を次の候補者にも、別の担当者からも示せます。
業種は小売ですが、指導の中身が本人の頭の中にとどまる限り、次の担当者へは渡りません。営業練習のロープレの運営にも重なる条件です。
大手製薬・新任チームリーダー
日本国内の大手製薬企業では、新任のチームリーダー約100名が、メンバーを見る立場に移った直後の状態にありました。研修で考え方を学んでも、実際の1on1で何を手がかりに進めるかは、その場で決めることになっていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、「行動コーチング」「スキルコーチング」「動機づけコーチング」の3種類の対話を用意しました。全3回のセッションに分け、リーダーは同じ型を回ごとに通し直しています。
第3セッションの時点でコーチングを実践した割合は98.1%、実践した人のうちメンバーに変化があったと答えた割合は93.1%でした(出典:導入企業へのヒアリング)。いずれも成果を示す指標ではなく、練習した型が1on1で使われたかどうかを表す割合です。型が手元にあれば、見る立場に移った直後でも会話を始められると言えます。
相手は部下で、営業練習のロープレとは前提が異なります。共通するのは、見る立場に移った人の手元に何が残るかという点です。