製薬会社のルート営業が、あいさつ回りで終わる理由
担当エリアの医療機関を定期的に回る製薬会社のルート営業では、訪問件数は計画どおりでも、面談が数分のあいさつで終わってしまう日があります。医師の側に確保できる時間は短く、適正使用情報やエビデンスを絞って伝える組み立てが問われます。課題は、訪問の回数が足りないことではありません。その短い時間で何を話すかという設計に、手を入れる余地があるのです。
本番は2回目以降の面談です
新規開拓の営業とは何が違うのか
製薬会社のルート営業は、新規開拓の営業とは前提が違います。新規開拓では会ってもらうこと自体が関門になりますが、担当施設を定期的に回るMRは、その関門をすでに越えた状態から対話が始まります。同じ医師に、同じ製品について、期間をあけて何度も情報提供します。毎回の面談で、前回にはなかった情報や視点を渡せるかどうかで、関係の深さが変わります。問われるのは第一印象の作り方ではなく、相手の関心がどこへ動いたかを読み取り、次に確認することを組み替える力です。ただし、この組み替えは、面談を重ねれば自然に身につくというものではありません。
型はどれも初回訪問向けです
研修で扱うロープレの型は、たいてい導入から始まり、ヒアリング、情報提供、質問への対応、次回の約束という流れをたどります。これは一度きりの面談を想定した組み立てです。ところがルート営業の現場では、前回の宿題への回答から入り、そこで得た反応をもとに話を組み替える面談が大半を占めます。研修設計の中に、この2回目以降を想定した練習がほとんど置かれていません。だからこそ、型を覚えたMRほど、訪問が定型化しやすくなるのです。
続きの面談を練習しにくい理由
研修で配られるロープレ台本は、導入から次回の約束までを1回で閉じる形になっています。そのため、前回の面談を引き継いだ設定を置く場所がなく、担当施設との関係が続いていく前提そのものを練習できません。
同僚が医師役を務める練習では、2カ月前に自分が何を尋ねたかまでは再現できません。だからこそ、実際の訪問で「前の話はどうなりましたか」と返されると、その場で答えを組み立てることになります。
練習後の講評は「落ち着いて話せていた」という印象論にとどまりがちです。その結果、どの質問を拾い損ねたのか、どの説明が承認範囲(認められた説明の範囲)に近づいたのかが記録に残らず、研修部門にも現場にも次の訪問に引き継ぐ材料が残りません。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
業務シーンを1つ選ぶと、AIが顧客役を務めてあなたと1回の会話を行います。終了後、評価フィードバックを確認できます。
2回目以降の面談から、練習を始められます
施設ごとに組み替えるシナリオ
研修責任者は、前回の面談で医師から出た宿題を織り込んだ設定を用意し、その続きから練習を始められます。UMU AIロープレでは、医師の役職や関心、これまでのやり取りをシナリオ側に書き込めるため、専門知識を持つ担当者が自分の手で、担当施設に近い状況を組み立てられます。
尋ね方しだいで、医師の関心が見えてきます
問いかけによって引き出す事情
MRは、こちらから踏み込んで尋ねたときだけ相手の事情が見えてくる、という手応えを練習で確かめられます。処方をためらっている理由や他剤との比較で気にしている点をAI側に持たせておけるため、資料を読み上げるだけの面談では、その情報が最後まで出てきません。聞く力そのものを試せる練習になると言えます。
拾い損ねた質問が、その場で分かります
面談ごとに残る構造化された記録
練習を終えた直後に、導入からヒアリング、情報提供、質問への対応まで、段階ごとの評価を受け取れます。研修責任者は、スコアの推移を担当者別にたどり、次の同行訪問で何を見るかをデータから決められます。AIが担うのは反復練習と評価の標準化までで、動機づけは引き続きマネージャーの役割です。
MR組織ですでに活用されています
日本市場の製薬企業/若手MR
日本市場で事業を展開する製薬企業では、若手MRの育成が同行訪問に頼っており、実践に近い練習の機会を高い頻度で確保できませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、若手MRが安全な環境で実際の訪問場面を繰り返し練習できる体制を整えました。
その結果、受講後7~9カ月の時点で、医師との双方向の面談回数が受講前の約2倍に増えました(出典:導入企業へのヒアリング)。経験の浅いMRほど伸びが大きく、自ら面談を取りに行く動き方が定着したことがうかがえます。
グローバル大手の製薬企業
糖尿病や免疫、がん領域を手がけるグローバル大手の製薬企業では、製品ラインごとの研修講師が3名にとどまり、MR一人ひとりの練習に講師が付き添えませんでした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、標準化された高頻度の練習を全社に広げ、マネージャー向けにはGROWモデルをコーチング対話のシナリオに組み込みました。
その結果、累計3,662名が102,834回の練習を重ね、一人あたりの平均トレーニング時間は76時間に達しました(出典:導入企業へのヒアリング)。練習回数とトレーニング成績のあいだに明確な正の相関が確認され、練習量を増やすほど成績が伸びることがデータで裏づけられました。