運送業の営業方法で、お断りする場面まで練習できていますか
運送業の営業方法を考えるとき、題材になりやすいのは受注に向かう商談です。ところが荷主からの相談は、出荷の期日、積地と卸地、車両の種類や荷姿が決まった状態で入ってきます。空きが合わなければ、提案らしい話に入る前に「今回はお受けできません」と答えることになります。その返し方が、次の相談が来るかどうかを分けているのです。
断る場面が、次の相談を左右します
条件の可否から始まる商談
提案から入る営業と、運送業の営業は入口が違います。多くの業種では、相手の困りごとを聞き出し、そこに合う案を組み立てるところから商談が動きます。運送業の場合、荷主からの相談は、出荷の期日、積地と卸地、必要な車両の種類や荷姿が決まった状態で届きます。営業担当者が最初に取りかかるのは、案の組み立てではなく、その条件を自社の配車状況に照らし、受けられるかどうかを確かめる作業です。ここで条件が合えば、運行の段取りや見積もりの相談へ進みます。合わなければ、提案らしい話に入る前に返事をすることになります。同じ営業という言葉でも、入口で求められる動きはかなり違うと言えます。ただし、条件が合わなかったときの返し方については、まだ触れていません。
お受けできない返事も方法のうち
運送業の営業方法を見直すとき、多くの場合は受注に近い場面から手をつけます。ところが、荷主が次にどこへ相談を持ち込むかを分けているのは、条件が合わなかったときの返し方です。条件だけを伝えて終えるのか、どういう条件なら受けられるのかを添えるのか、いつなら空くのかを残すのか。同じ「お受けできません」でも、その後に届く相談の数は変わってきます。そのため、腕の差が出るのは受注の話術よりも、この短いやり取りのほうです。そして、この場面こそ練習の題材にしにくいところなのです。
断る場面が題材から外れる理由
ロールプレイングの題材を決めるとき、候補に挙がるのは初回の相談や見積もりの詰めなど、受注に向かう場面です。お受けできない返事は成果に結びつかないように見えるため、そもそも題材として検討されません。日々くり返している会話ほど、練習の外に置かれてしまいます。
同僚が荷主役を務める練習では、条件が合わないと伝えた後まで会話が続きません。相手役も次にどう出るか決めかねるため、そこで場が止まってしまいます。だからこそ、実際の荷主が見せる落胆や、条件を変えて聞き直してくる動きは、練習の中では再現されにくいのが現実です。
練習後の講評は、受注に近づいたかどうかを軸に組み立てられます。お受けできないと伝えた回は、その軸では測りにくいため、講評でも触れられません。その結果、どの伝え方が次の相談につながったのかを、チームとして振り返る材料が残りにくいと言えます。
条件が合わない場面から、練習を組めます
受けられない条件を組み込んだ設定
お受けできないと伝える場面を、練習の題材として最初から用意できます。UMU AIロープレでは、出荷の期日、対応できる時間帯、扱える荷姿や車両の種類といった条件を対話シーンに組み込み、そもそも条件が合わない相談として設定できます。実際に多い相談の型をそのまま持ち込めるため、日々くり返している会話を、そのまま練習に移せます。
添えた一言で、荷主の出方が変わります
一言の違いで表情が動く荷主役
条件だけを伝えた場合と、いつなら空くかを添えた場合とで、荷主役の出方がどう変わるかを確かめられます。AIは決まった筋書きをなぞらず、営業担当者の返し方に応じて、そのまま引き下がることもあれば、条件を変えて聞き直してくることもあります。何を足せば会話が続くのかを、返ってくる反応から試せるのです。
断った回の中身まで、講評に載せられます
お断りの場面に絞った評価項目
お受けできないと伝えた回についても、何がよくて何を足すべきだったのかを、対話の直後に見直せます。UMU AIロープレは、条件の伝え方、代わりの案の示し方、次につなぐ一言といった項目ごとに評価を出します。AIが担うのは練習の回数と評価の基準をそろえる部分であり、荷主との関係づくりは引き続き担当者の役割です。
受注以外の会話を練習に組み込んだ例
食品スーパー・3,300名
日本の大手食品スーパーでは、店舗のマネージャーや販売スタッフが顧客からのクレームに対応する際、体系的なトレーニングがなく、対応の質にばらつきが出ていました。
集合研修にAI対話型トレーニングを組み合わせ、対応が難しい顧客との会話を、安全な環境でくり返し練習できるようにしました。対象は全社員3,300名に広がっています(出典:導入企業へのヒアリング)。売上に直結しにくい会話を題材に据えたことが、現場の対応のばらつきを抑える土台になりました。
通信系店舗運営・6,000名
全国に店舗網を広げる大手通信キャリア系の店舗運営企業では、採用の加速に伴い、販売の話し方だけでなく、守るべき条件を伝える場面の教育も課題になっていました。
接客スキルとコンプライアンスを一つの対話シナリオに組み込んだ結果、新入社員が独り立ちするまでの期間は1カ月未満に短縮され、研修サイクルも2カ月から1カ月に短縮されました(出典:導入企業へのヒアリング)。両方を同じ練習の中で扱えるようにしたことが、期間の短縮につながりました。