営業のアダプティブラーニングで、次の練習をどう選ぶか
営業のアダプティブラーニングは、知識の習得では素直に成り立ちます。設問に正誤があるため、間違えた分野を次に多く出せばよいからです。ところが商談の対話には、正誤が一つに決まる設問がありません。同じ受け答えでも、相手の状況で適切かどうかは変わります。では何を手がかりに、次の練習を変えるのでしょうか。
詰まる場所が人ごとに違うのはなぜか
正誤で並べ替えられない対話
知識の習得であれば、アダプティブラーニングは素直に働きます。設問に正誤があるため、間違えた分野を次に多く出せばよく、難度と出題範囲を調整できます。ところが商談の対話では、同じ切り返しが正解にも不正解にもなります。価格の話を早めに出したほうが進む相手もいれば、その一言で警戒される相手もいるからです。採点の正誤を手がかりにできない以上、次の一回を何に寄せるかは、担当者本人の記憶と先輩の印象に委ねられてきました。ロープレの回数を増やしても、伸びる人と止まる人の差がそのまま残るのです。育成を担う立場からは、その差がどこから来ているのかが見えません。同じプログラムを同じ日程で受けている以上、記録に残るのは受講の事実だけになります。
練習の中身が全員同じになる
現場では、日程に合わせて全員が同じシナリオに取り組みます。導入の切り出しで止まる人も、条件を確かめる段で止まる人も、次に取り組む内容は変わりません。人ごとに違うはずの課題が、一律の進行に吸収されてしまいます。適応の対象が人ではなく日程になっている状態と言えます。
何を手がかりに次を選ぶか
営業にアダプティブラーニングを持ち込むとき、直前の結果を次の課題へ反映する手がかりが要ります。知識のテストでは、その手がかりが正誤でした。営業の対話にそれがない以上、別の手がかりを用意しない限り、次の一回は前回と同じ内容になります。
同じ受け答えでも、相手の関心や検討の段階によって適切かどうかは変わります。そのため、答え合わせの形で次の難度を決められません。練習を重ねるほど、何を厚くするかの判断が担当者任せになっていきます。
手がかりになるのは、商談のどの場面で言葉に詰まったかという位置の情報です。導入の切り出しか、条件を確かめる段か、断られた後か。この位置が人ごとに残る仕組みをどこに置けるかが、分かれ目になります。
どの場面で言葉が出なかったかが分かります
5段階の商談フレームワーク
UMU AIロープレでは、導入、ヒアリング、価値提案、反論対応、クロージングの5段階に沿って対話が進みます。練習が終わると、段ごとに分かれたスコアカードがその場で出ます。「全体的によかった」で終わらず、次に手を入れる段が一つに絞られます。
改善の中身が、担当者ごとに変わります
対話ごとの改善アクション
担当者は、その回の会話内容に基づいた改善アクションを、練習のたびに確認できます。同じ点数でも、詰まった場所が違えば示される内容は変わります。診断だけで終わらないため、次の練習で何に取り組むかを迷わず決められるのです。
場面ごとの記録が、指導の根拠になります
場面別のスコア推移
初回スコアと最高スコア、その間の伸びが受講者ごとに残ります。人材育成の担当者は、チームのどの場面に課題が集まっているかをダッシュボードで確かめられます。AIが担うのはここまでで、目標設定や動機づけは引き続き人の役割です。
練習の記録から次を決めた事例
製薬・新薬の立ち上げ
自己免疫疾患領域の革新的医薬品企業では、営業チームの急拡大により、一人ひとりに構造化したフィードバックを返しきれない状況でした(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでUMU AIロープレを活用し、導入トークから異議対応まで、どのプロセスに課題が出たかを練習ごとに示しました。
詰まるプロセスを人ごとに絞れたことで、専門トレーニング期間は90日から28日に短縮されました(出典:導入企業へのヒアリング)。
生命保険・新人育成
日本の大手外資系生命保険会社では、新人育成が各支社の主導で進み、育成の質にばらつきが生じていました(出典:導入企業へのヒアリング)。
そこでOJTの一部をUMU AIロープレで代替し、成約に至った受講者の練習記録を、次の入社者向けの学習コンテンツへ組み込みました。
記録が次の教材を決める流れが生まれ、3カ月後の顧客向け提案数は30%増加しました(出典:導入企業へのヒアリング)。