【営業の科学】最もシンプルで、最も確実な営業上達法「反復の力」-手続き記憶とスキーマ理論が示す「プロの立ち回りを再現する営業上達法」

【営業の科学】最もシンプルで、最も確実な営業上達法「反復の力」-手続き記憶とスキーマ理論が示す「プロの立ち回りを再現する営業上達法」

営業を上達させたいと考えたとき、多くの人は「話の引き出しを増やそう」「応用力を身につけよう」と考えます。

しかし、現場に立つと頭が真っ白になり、知っているはずの言葉が出てこない。こうした悩みは営業の世界では珍しくありません。

この状態に対して、「自分にはセンスがない」「経験が足りない」と結論づけてしまう人も多いですが、これは能力の問題ではありません。脳の学習プロセスを正しく使えていないだけです。

営業上達の最短ルートは、複雑な工夫を重ねることではなく、同じ型を何度も繰り返すことにあります。これは根性論ではなく、脳科学に基づいた極めて合理的な方法です。

 

なぜ「考えながら」営業すると上達しないのか

【営業の科学】最もシンプルで、最も確実な営業上達法「反復の力」-手続き記憶とスキーマ理論が示す「プロの立ち回りを再現する営業上達法」

 

考えながら営業をすることは、一見すると良いことのように感じます。しかし、脳科学的にはそれがマイナスに働く場面も少なくありません。

営業の現場では、相手の反応を見ながら、言葉を選び、次の質問を考え、全体の流れを組み立てる必要があります。このとき、回答そのものにすべての意識を集中させてしまうと、必ず別の部分が疎かになります。

具体的には、回答を考えるあまり笑顔が消える、トークの流れが不自然になる、といった状態です。

人間の脳は、同時に多くの情報を処理することが得意ではありません。特に、慣れていない動作や判断を意識的に行おうとすると、処理速度は一気に落ちてしまいます。
その結果、プレゼンやコミュニケーションそのものが不安定になり、営業がうまくいかなくなってしまうのです。

無意識で動ける「手続き記憶」という仕組み

この問題を解決する鍵が、脳の「手続き記憶」です。

手続き記憶とは、何度も繰り返すことで、意識せずに実行できるようになる記憶のことを指します。

自転車の乗り方を思い出してみてください。最初はバランスやペダルを強く意識していたはずですが、今ではほとんど考えずに乗ることができます。

これは、動作が手続き記憶として定着した結果です。一度この状態になると、その行動を実行するために多くの思考を使う必要がなくなります。

営業も同じです。トークの流れや基本的な話法を何度も繰り返し練習することで、会話の進行そのものを考えなくても進められるようになります。そうなれば、現場で余裕が生まれ、相手に集中できる状態になります。

「型しか話せなくなるのでは」という誤解

ここでよく出てくる不安があります。

「決められたフレーズばかり練習すると、応用が効かなくなるのではないか」「突発的な質問に対応できなくなるのではないか」というものです。

しかし、この心配は不要です。これを解決するポイントは2つあります。

まず1つはスキーマ理論です。人は会話の内容を一言一句バラバラに覚え、その場でゼロから組み立てているわけではありません。同じ流れを何度も経験することで、「この状況なら、この順番で進める」「こう言われたら、こう返す」という会話のまとまりが自然と頭の中に形成されていきます。

つまり、決められたフレーズや型の練習をしていても、脳に入る時には応用の形としてインプットされているという訳です。

結果として、相手の反応に応じて言い回しを変えたり、話の順番を調整したりといった応用がしやすくなります。

 

2つ目は、無意識で処理できる部分が増えることです。

自転車を思い出してください。最初は乗ること自体で精一杯だったのに、無意識で乗れるようになると、友人と会話をしながら走れるようになります。これは、自転車に乗るという行為に脳の思考を使わなくなった分、別のことに思考を回せるようになったからです。

営業でも同じで、トークの型や基本フレーズが無理なく出てくる状態になると、型を意識することなく、想定外の質問や突発的な反応に対して思考を巡らせることができます。

つまり、型を繰り返すことは応用力を奪う行為ではありません。応用に頭を使える余白を作るための準備なのです。

UMUのAIチャットボットが支える反復学習の設計

この手続き記憶とスキーマ理論の考え方を、日常的に実践できる形にしたのがUMUのAIチャットボットです。

AIチャットボットでは、話法の型や対話の流れがあらかじめ設計されており、その流れに沿って何度もロールプレイを行います。
設定されたキーワードやフレーズ、全体の意味が一定の基準を満たさなければ次に進めないため、曖昧な理解のまま練習が終わることはありません。

詰まった場合にはヒントが提示され、対話を完遂できるようサポートされます。
この反復によって、トークの流れは手続き記憶として定着し、考えなくても進められる状態が作られていきます。
その結果、会話全体をひとまとまりとして捉えられるようになり、応用的な対応が可能になります。

現場では「考えて話す」のではなく、「自然に話せる」状態が生まれます。

まとめ

営業の上達は、センスや才能の問題ではありません。脳の学習メカニズムに沿った練習をしているかどうかの違いです。

同じ型を繰り返し、手続き記憶として定着させることで、会話を考えなくても進められるようになります。

その結果、スキーマ理論が示すように応用力が自然と生まれ、相手や状況に合わせた対応に脳の思考を集中できるようになります。

複雑なテクニックを追い求める前に、まずはシンプルな反復から始めること。営業が自然に上達していく最も確実な道は、ここにあります。

 

【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。ハーバード大学やスタンフォード大学などの論文や研究データ、脳科学・心理学の文献などを年間700冊読み込む。科学的に効果が実証された方法で社内研修や、組織構築を提供する株式会社HYBRID THEORYを設立。また、脳科学に基づいた学習方法を用いた学習塾を運営している。能力や才能に関わらず、誰でも結果の上がる「科学的に正しい方法」を伝えて、個人の人生の満足や会社の利益向上を目指している。

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